11月22日、私たちは午前中のリハーサルの後、昼食をとり、それから朗読会をしました。多くの犠牲者を出した11月14日のテロ、そして16日にもまたテロがあり、その後の服喪のための歌舞音曲自粛期間が過ぎて、私たちのファミリーの従兄弟(14日のテロで襲われた憲兵隊の一員です)は依然として消息不明ですが、どこかに隠れて生き延びてくれていることを願いつつ、リハーサルを再開しました。仏軍が戦車などの大型の武器を大量に輸送しており、それを阻止するためのデモがその輸送の経路に沿って繰り広げられていました。警察が出動してデモに参加する市民に催涙弾などを投げつけていますが、人々は熱心にデモを続け、カヤという都市で武器輸送の一行は立往生していると聞いたのが、20日土曜日のことでした。その夜からなんと公共WiFiがカットされるという事態が起きて、インターネットへのアクセスも、モバイル通信も未だストップさせられたままです。
フランスによる過酷な新植民地主義的抑圧は、決して今に始まったことではないですが、現在の私の周りの人々のムードは明らかにこれまでとは違い、いつまでもこんな扱いに甘んじてはいられないと、誰もが考え始めているように感じられます。
このプロジェクトの意味合いも、自ずとはっきりしてきて、音楽的な新しさや豊かさを目指すことにはなんの変わりもないですが、それと同時に、アフリカの今を、世界の他の地域に暮らす方々に少しでも伝えたい、知っていただきたいという願いが強まっています。そのためには、自分たちが物事を断片的にではなく、深く知り、理解することが必須で、そんな中モイさんの自伝的小説を深く読み込むための朗読会を行いました。
朗読会といっても、モイさんの小説を直接朗読したのではありません。事情をご説明しますと、原作はフランス語で書かれており、アフリカの植民地時代から今に至る社会の状況を、ユーモアを交えながらも、鋭く、多角的に描き出しています。様々のレトリックも用いられていて、メンバーたちがそれを理解する度合いには個人差があります。全く字が読めないメンバーもいます。彼らの中で最もフランス語が堪能なマブドゥですら、わからない言い回しや単語があると言っています。そこで、ジュスタンというフランス語の教師をしていた、書き物にも優れた青年に、第1章から3章までの概要をまとめてもらうように依頼したのです。なかなか大変な作業とは思いましたが、ようやく第1章の部分が仕上がり、それを朗読してもらい、そしてボアモ語で丁寧に解説もしてもらいました。第1章の物語はすでに初演もしていますが、あらためてみんなが、原作の全体を知ることには大きな意味があります。家の女性たちも耳を傾けていて、朗読終了直後に大きな拍手がジュスタンに贈られました。植民地時代に上の世代がどんな風にフランスに対応してきたかという逸話が盛り込まれてもいますから、このタイミングで聞くのは、感慨深くもありました。
モイさんは30代前半、メンバーたちと同世代です。個人的な事情から9月末に南アフリカ共和国に引っ越しましたが、今週はまたブルキナファソを訪ねて来るそうで、再会を楽しみにしています。