竹石悟朗さん。
悟朗さんは内に秘めた情熱と芝居に対して真っ直ぐな誠実さを持っていて、
とても柔軟性がある役者で、しっかりと相手と向き合って話してくれて、
優しさを振り撒くわけでは無く、そっと置いていくような人だと感じました。
今回の役はとても難しかったと思います。
しかし、彼は彼の役を見事に演じてくれました。
実は、この映画の中で伝説になっていることがあるんです。
それは画の撮り方です。
悟朗さんとのシーンは重いシーンが多く、お互いの芝居が納得いくまで撮りたいと思ったところがあり、何度かテイクを重ねたシーンがありました。
ほんの少しのニュアンスなんだけど、しっかりとそれを伝え、
じっくりと話をしました。
しかし、あるシーンは1回しか撮らないと決めて望みました。
撮り直しはしない。
これは役者の腕が試されるところなんです。
そのシーンを撮る前、私は息ができないくらいに追い詰められました。
その時は悟朗さんとの会話もほとんどなかったです。
それだけ現場に緊張感がありました。
見事にそのシーンはワンカットで終わりました。
その時、あぁこの人に頼んでよかった。
心からそう思いました。
芝居をしていて、お互いがお互いの事を思い、
相手を見て芝居をする。
当たり前なようで中々出来ないんですよね。
悟朗さんにしかこの役は出来なかったと思います。
何度も何度も役と私に向き合ってくれた悟朗さんに感謝です。
そして撮影中に、坐骨神経痛を持っている私にマッサージをしてくれました。
ボロボロな私でしたが、そのマッサージで体も心も復活したことはここだけの話。