一万年の恵みがつまった厚真テロワール
厚真の森は特別です。かつてこの地域は、細く入りくんだ天然の入り江でした。しかし、太古の昔に近隣の樽前山が大噴火し、火山灰が海に蓋をする形で土地が形成されました。そのとき、そのまま地層のなかに水の層が残ったと言われています。100を超える池や沼があるのは、そのためです。このおかげでミネラルを豊富に含んだ大地と、豊かな森林がこの町特有の厚真テロワールを生み出し、農作物に独特なおいしさを与え続けています。
引き裂かれた山々、北海道胆振東部地震からの復興
今から3年前の平成30年9月6日。厚真町を震源に震度7の地震が襲いました。引き裂かれたように崩れ落ちた山の斜面。赤くむき出しになった峰々。見たこともない光景が新聞の一面に載り、多くの人の記憶に刻まれることとなります。厚真の魅力だったミズナラの森も、広範囲にわたって傷つき、今もその痛みは消えていません。森の再生としいたけづくり。かつての森を取り戻すためにも、特用林産物である原木しいたけを生産することで、復興の道のりを歩んでいきたいのです。
( 画像提供:厚真町 )
このプロジェクトで実現したいこと
厚真町は北海道胆振東部地震による被害で復興の途中にあります。町の住民ももちろんですが、広大な厚真の森林が深く傷ついています。皆さんには、たのしいたけをおいしく味わうなかで、かつての姿を取り戻そうと力強く生きる森の息吹を感じていただきたい。そして、おいしく食べることで幸せを感じ、嬉しさと楽しさも味わっていただきたい。それが森を護ることにつながると信じています。
今回のプロジェクトでは支援者100人を目標とし、より多くの人に知ってもらうこと、食べてみてもらうことを目指しています。どうか、厚真の森とたのしいたけを応援してください!
原木しいたけ栽培は森の循環のなかにある
現在、市場に多く見られるのは、おがくずなどを固め人工的に栄養分を添加した菌床栽培といわれるものです。対して原木しいたけは、森のバランスを守るために切り出された間伐材を利用します。水を蓄え、酸素を作り、虫や動物たちのすみかとなって森の役割を果たしてきた樹木たち。しいたけ菌は半年もの間、この何千本もの原木の寝床でおいしさのもとである森の栄養をみなぎらせていきます。そして秋から翌年の初夏にかけ何度も実らせては、原木の養分を使い切って収穫期間を終えるのです。では栄養もなくなり役目を終了した原木はどうなるのか。最後は灯油などの化石燃料に代わって、ハウスを暖めるための薪ストーブの燃料となり、真冬の寒さからしいたけたちを守ってくれます。まさにサスティナブルな暮らしにつながる循環型の取り組みと言えます。
北海道産たのしいたけがおいしいワケ
それは切り出した原木に、冷涼で清らかな雪どけ水が豊富に含まれているから。原木しいたけで有名な九州産との大きな違いは、そこにあります。厳冬の北海道ならではの雪の存在。春に向けて成長を始めた木々にとって、雪どけ水はまさに命のみなもと。雪どけのタイミングで切り出された原木には、長年かけて身につけた森の栄養と潤沢な水が全身にみなぎっています。この原木から生まれるのですから、たのしいたけのおいしさが格別なのも頷けてもらえるのではないでしょうか。
森と暮らしをむすぶ、たのしいたけ
厚真の山で伐採した原木を運んでくれるのは、馬のカップくん。クリーム色の毛並みも美しい道産子です。厚真町には「馬搬(ばはん)」という方法で林業を営む人物がいます。大きな重機を森に乗り入れず、周辺の木々を傷つけない配慮をするために人馬だけで切り出すのです。私たちは数年前から、生産に使う原木の一部を馬搬での調達に切り替えています。厚真の森と原木を運ぶ馬や人、しいたけを育てる私たち、そしてそれを食べる人。たのしいたけには、それらを広くつなぐ使命があるように思うのです。たのしいたけに親しみを持ち、豊かな森の存在を感じながら食べてくれる人が増えることで、昔ながらの栽培方法を絶やさずに持続していける。私たちはそう信じています。
( 画像提供:黒川ひろみ)
▲厚真町で「馬搬」という手法で林業にチャレンジしている西埜さん
原木栽培が激減していく現状と理由
ではなぜ、原木栽培が減少していったのでしょう。その理由は複数あります。その大きな要因は重労働、管理の難しさ、薄利の3つ。その実情を挙げてみました。
1. 重労働
厚真の森から切り出した樹木はその場でカットされ、原木に適したサイズに調整します。その数、なんと1万本。それを毎日休みなく700~900本ずつ手作業で運びます。この原木は1本5~10キロほど。前述した菌床栽培の菌床一つの重さが2~3キロなのに比べ、倍以上の重さがあります。冬期間に行われる植菌作業も約1万本の原木を森から調達するところから始まり、ドリルで穴を開け、1本ずつ菌を植えていくのです。また6月には植え付けた菌がまんべんなく行き渡るよう、1万本すべての原木を組み替える「天地返し」の作業があり、生産者にとって体力・持久力が求められる厳しい仕事なのです。
2. 管理が繊細
菌床栽培が植菌から3ヶ月で収穫できるのに対し、原木は半年以上かかります。ただ寝かせるだけではなく、温度・湿度に気を配り風通しをよくして、雑菌の繁殖を防ぐなどのきめ細やかな管理が必要です。収穫できるように原木が育ってからも、一定の温度や湿度の条件を満たし続けないとしいたけは成長せず、わずか数℃の違いで収穫量に大きな差が生まれてしまうのです。
3. 利益率の低さ
これほどまでに手間ひまがかかる原木栽培ですから、生産の原価が非常に高くなります。菌床栽培の生産コストが43%に対し、原木栽培は種菌費・原木代だけで全体の60%以上を占めるため、労働時間あたりの所得が100~200円となり、時給150円ほどで働いている計算になってしまいます。(引用:農業協同組合新聞)しかし、マーケットでは菌床しいたけとの差別化を消費者へ呼びかけきれず、安さ優先の市場価格なのが現状。原木の価格も高騰しており、厳しい経営を強いられるため、原木栽培をあきらめる生産者が急増してしまいました。
たのしいたけを生産する私たちについて
・ごあいさつ
こんにちは。このプロジェクトオーナーで株式会社たのしい代表の堀田祐美子と申します。私は、厚真町で五代続く農家の夫と結婚し、米、しいたけ、ハスカップ、小麦、大豆などの生産に携わっています。そんな私が会社を興したのは一年前。希少になってしまった原木しいたけの存在とおいしさを、多くの人に知ってもらいたいと立ち上げました。
( 画像提供:くらしごと)
・農作業することの楽しさ
たのしいたけを育てることは、とてもとてもたのしいです。もちろん、大変なこともたくさんあります。何百本もの原木を水に浸し、眠っていたしいたけ菌を起こす。出てきたしいたけを収穫する、また休ませる、を手作業で繰り返す日々。暑くないか、寒くはないか、乾燥していないか、困ったことはないか、たのしく育っているか、いつもいつも気にかけ見守っています。だからこそ、ポコンと顔を出したときの喜びは例えようがありません。「よく出てきたね、かわいいね、おいしそうだね」と何度も話しかけてしまいます。たのしいたけとの毎日は、私たちに命を生産することの喜びを教えてくれるものです。
・震災を経験して気づいたこと
3年前のあの日、私たちは被災しました。人口約4400人の町で、37名もの方々が地震の犠牲となり、尊い命が失われました。これを札幌などの大都市に置き換えると、人口比で16,000人ほどの方が犠牲となる規模なので、厚真町にとって本当に大きな大きな悲しみです。比較的被害が小さかった私たちも自宅は全壊。倉庫2棟も無残に壊れ、建て替えることになりました。地割れや土砂崩れで稲刈りできない田んぼ。秋のデビューを待っていたしいたけも、原木約2万本が崩れ、棚も壊れてしまいました。しばらくは「困っているのは私たちだけじゃない」という思いと、途方に暮れる気持ちで揺れる毎日。そのなかで感じたのは、信じること。いろいろな人と助け合うことで信頼が生まれ、失ったものを数えることより、誰かを信じながら明るい方を見て一歩ずつ歩いていこうと思えるようになったのです。どうせ頑張るのなら、下を向いて歯を食いしばるのではなく、口笛ふいてスキップしながら、にこやかに。「ほがらかにたのしく暮らす」ことが私のテーマとなり、前向きなチャレンジの一つとして、真っ先に株式会社たのしいを立ち上げました。この震災を通じて私が得たものは、当たり前の日常が当たり前ではないことの大切さと、前向きに心を再生していくことの重要さでした。
・たのしいたけが教える、生きることのたのしさ
前向きなチャレンジの一歩となった会社の設立。厚真町から原木しいたけのおいしさを提案しながら、人と自然とのつながりを大切にしていきたい。その思いで進んできた震災からの3年間。たのしいたけとたのしく暮らしているうちに、少しずつ人が集まってくれるようになり、人とつながる嬉しさを味わえるようになりました。震災ボランティアの皆さんにたのしいたけを食べてもらったときに喜んでもらえたこと。しいたけ嫌いの人から「たのしいたけは食べられる」とお墨付きをもらったこと。たのしいたけがもたらす、たくさんの「おいしい」のおかげで、身近な消費者とのふれあいが生まれ、厚真の森を護りながら原木しいたけを栽培することの意味の深さを、「生きることのたのしさ」として教えてもらっています。
▲北海道大学のボランティアサークル「あるぼら」さんが収穫のお手伝いに来てくれたり、
( あるぼらさんからの許可を得て掲載しております )
▲大学生が長期滞在プロジェクトで農作業をしてくれたり。「おじいちゃんちより、厚真に通ってる」と嬉しいことを言ってくれる学生さんもいました。
( 参加者の許可を得て掲載しております )
▲厚真中学校のふるさとPRプロジェクト。地元の中学校が、動画を作成してくれました。
( 動画提供:厚真中学校 )
・料理のバリエーションは幅広く
しいたけ料理のレパートリーは、焼く? 煮る? あとは? 乾燥しいたけにいたっては、和食だけの印象がありますが、洋食でも中華でも、実はたくさんのレシピがあるのです。#たのしいたけレシピ というハッシュタグでレシピを紹介しています。ぜひ、ステイホームのご自宅で活用ください。タグを使っての投稿やコメントでのやりとりなど、コミュニケーションできたらとても嬉しいです。また今後も、新しいレシピや商品開発も考えていますので、ご期待ください。
・本格フレンチレストランにも
札幌円山にある一軒家レストラン オーベルジュ・ド・リル・サッポロさんでは、
たのしいたけが、フレンチの一皿にもなりました。
リターンについて 〜7つのプランからお選びください〜
生産者のこだわり
【生しいたけ】
その日に収穫したものをその日のうちに送ります。農地直送ならではの新鮮さをお楽しみください。
【乾燥しいたけ】
すべて手作業でスライスして乾燥させ、人の目でひとつずつ選別しています。少し厚めにスライスしているので食感もよく、豊かな香りが特徴です。
【えみまる(新米)】
お米も私たちが育てて、収穫したばかりのお米「えみまる」です。このお米は昨年デビューしたばかりの「田植えがいらない次世代のお米」で粘りと柔らかさのバランス、口あたりの良さが特徴のお米です。
スケジュールと資金の使い道
2021年10月15日 クラウドファンディング終了
2021年10月20日以降 リターン商品を順次発送予定
(生しいたけを含むリターン商品は、冷蔵便でのお届けになります)
商品代金(送料含む):約54万円
パッケージ代、人件費:約3万円
CAMPFIRE掲載手数料・決済手数料:約3万円
最後に〜私たちがお伝えしたいこと〜
1人でもたくさんの方にたのしいたけを知ってもらい、食べてもらうことが、原木栽培のしいたけと、厚真の森を護ることにつながると信じています。森の循環とつながりを感じていただくきっかけになれば嬉しいです。
よくある質問
・生しいたけの保存方法を教えてください
キッチンペーパーや新聞紙などで包み、保存袋に入れて冷蔵庫で保存してください。1週間を目処に食べきるのをおすすめいたします。石づき(固い部分)を取って、冷凍するのもおすすめです。冷凍した場合は、1ヶ月間保存が可能です。
・乾燥しいたけの賞味期限は?
製造日から1年間です。個装袋に年月日を明記しております。
・乾燥しいたけに、保存料や食品添加物は使われていますか?
いいえ、使用しておりません。
■特定商取引法に関する記載
株式会社たのしい
代表取締役 堀田祐美子
〒059−1623 北海道勇払郡厚真町新町37−1 Tel: 080-4504-9508
メール:contact@tanoceee.com ※ご連絡はメールにてお願い致します。
・送料:送料込み
・対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。
・ソフトウェアに係る取引である場合のソフトウェアの動作環境:該当なし
・その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄( https://camp-fire.jp/legal )をご確認ください。
■募集方式について
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
▲【#たのしいたけレシピ 】をNOTEで更新しています。しいたけをもっとおいしく。毎日のお料理のヒントになれば嬉しいです!
最新の活動報告
もっと見るリターンを順次配送しております!
2021/10/26 11:30森の紅葉が深まり、朝に霜が降りるようになってきた厚真町。椎茸たちは、モリモリと収穫量が増えてきました。少しずつ、リターンの配送を進めておりますので、「まだ届いていないよ!」という方は、もうしばしお待ちください。朝採りもぎたてたのしいたけをお届けいたします!クラウドファンディングのリターンには、おまけの三種類の塩食べ比べセットを一緒に送っています。肉厚で香りが豊かな原木栽培の「たのしいたけ」は、シンプルなオイルソテーに塩をふりかけるだけで味わいが深まりますよ。(※生椎茸の食べ方は、動画よりご覧ください〜!)今回、一緒にお届けしているのは、こちらのお塩たちです↓北海道八雲産海洋深層水をじっくり釜で煮詰めてつくった「万葉の詩塩 藻塩」 ▶︎ http://hokkaido-dabeya.shop-pro.jp/?pid=31382157北海道旭川のリアンファームで種から育てたバイオダイナミック農法ハーブとフランス産ゲランドの塩「Lien ハーブソルト」 ▶︎ https://ec.tsuku2.jp/items/20000338220802-0001不純のない太古の昔の海水岩塩層から採掘し、豊富なミネラルと必要な電解質を含む、BRC認証のヒマラヤピンク岩塩 ▶︎ https://www.amazon.co.jp/dp/B07PRQ2SR6/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_SAG6XX102HX35NC8ANS3?_encoding=UTF8&psc=1北海道八雲産の藻塩は椎茸の旨味をそのままに、Lien ハーブソルトは旭川産ハーブの強い香りが華やか、ヒマラヤピンク岩塩は椎茸の甘味を引き出します。ぜひ、食べ比べてみてください!乾燥椎茸を水やオイルで戻して、ソテーするのもおすすめです。どうか、おいしく、たのしく、召し上がれますように!株式会社たのしい もっと見る
【プロジェクト終了】ありがとうございました!
2021/10/18 15:28楽しい贈りものをくれる人を、私は尊敬します。それは、心が軽くなるような音楽や、ハッとさせられるような芸術作品、痛快で笑える映画、どこか違う世界に連れて行ってくれるような本だったり。それは、親しい人からの手紙や、言われてうれしくなるような言葉、ささいなおすそ分け、こっそり教えてもらうおすすめのお店や場所だったり。今回、このプロジェクトで私たちが「たのしいたけ」を贈ろうと思って始めたはずのに、終わってみたら、なんだか贈りものをもらったような気持ちになっています。個人情報保護上の問題で、プロジェクト終了まで支援者の方々のお名前やご住所は見られないようになっていたのですが、終了日に始めて支援者リストを眺めたときに、なんとも言えない感動に包まれました。「これだけの人たちが、応援してくれたんだなあ」と、ひとりひとりの名前を見ながら喜びを実感しています。と、同時に「これからも、応援してもらえるように頑張ろう」と励まされました。いいものをお届けできるように励みますので、お付き合いいただけるとうれしいです。楽しい贈りものをくれる人に、私は感謝します。楽しいから。 もっと見る
気になる、あのパスタソースのこと
2021/10/13 11:40おかげさまで目標金額を達成することができました!!ご支援いただき、本当にありがとうございます!!もうひとつの目標、支援者100人まであと少し。残り2日となりましたが、もうひと応援いただけるとうれしいです。さて、先日リターンに追加した新商品ですが「すごく気になってる」「ギフトに良さそう」というお声をたくさんいただいていますので、ほんの少しだけ種明かしとして、予告動画をお見せしますね。レシピ監修を憧れのand recipe さんにお願いしました。 贈り物にうれしい、たのしい3種類のソース。 どんな内容になるのか、どんな風にお届けするかを 12月の発売までにSNS等でご紹介していきますので、お楽しみに。この新商品をいち早く食べていただける、追加リターンの【新商品を食べてもらい隊】おすすめです。 もっと見る
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