詩を寄せてくださった管啓次郎さん、小島ケイタニーラブさん、ディケンズの翻訳抜粋から柴田元幸さん。それぞれのことばを朗読してもらい、「声」の立体にして記録する朗読フィールドレコーディング。3年ぶりの関東滞在です。ゆりかもめや渡り鳥の群れ、遠くに工場地帯をのぞむ葦の原、六郷土手〜漁船が停泊する水門〜雑色駅商店街〜路地裏散策しながら読み歩き。子どもが走り抜けたり、鳩の溜まり場があったり、遠くに救急車が通ったり、コンクリートに囲まれて開いたり閉じたり、少し移動するだけでまるで環境音が変わる、その面白さを写しとりながら歩く。ことばと、おと。ことばに共鳴するように事が起きたり、通り過ぎる生物/非生物との出会いもまた一期一会。日中はあたたかで青空の広がる良き一日になりました。旅はそのまま「人と人で読みつなぐ声のリレー」へ。神奈川県茅ヶ崎市では花療法家の方と、静岡県熱海市では建築に携わり、木工アトリエをセルフビルドで制作しているデザイナーの友人と、Eatable of many ordersでデザイナー/パタンナーとして働いている青森出身の女性に読みつないでもらってレコーディング。最近「真空」という言葉がとても響くのですが、わたしたちの身体のほとんどが「水」でできていることを考えると、「声」という現象は水のエネルギーの共鳴でもあり、それぞれ人と人の中にある水が響き合うことで「異世界」へつながる「真空」が開くのかもしれません。宮沢賢治思索メモより「科学より信仰への橋梁」集まってゆく声を聴いていると、個体が生きてきたプロセスと宇宙の神秘に感動を覚えます。収録させていただいた声は持ち帰ってじっくり作品に編み込んでゆこうとおもいます。ご協力くださったみなさんありがとうございました。まだまだフィールドレコーディングは続きます。kawole