無力だけれども、できることを
今回の投稿は、「あなたの一食で救える命がある!」プロジェクトオーナーとしてではなく、「共に友とTomorrowへ」(ベトナム語:Đồng Hành )のプロジェクトメンバーとして投稿させて頂きます。
ベトナムのホーチミン市では一日300人の死亡者が出ていたピーク時期の昨年7月ごろから、私たちは人工呼吸器と医療物資の緊急救援をはじめました。今となって少し状況が落ち着いたと思いきや、不況により仕事を失い、収入が減少して生活が立ち行かなくなってしまっている方々が目の前にたくさんいると気づきました。
医療物資などの支援なら、お金を集めて何とかできるかもしれませんが、今回必要となるのは、ものではなく、人が安定的な生計を立てられる希望と実現方法です。この問題を解決するために、自分たちの無力さを実感し、より継続可能な活動を維持するため、複数のベトナムコミュニティ団体を結成し、本プロジェクトをスタートしました。そこで、小口の融資や貯蓄などの金融サービスを提供することにより、少しでも彼らが安定した仕事を取り戻すための伴走型支援を取り組んでおります。
貧しい人はなぜ貧困から抜け出せないのか?
いきなり説教っぽい質問して、嫌になる人がいるかもしれません。
だって、それは自然な社会秩序であって、どの国でもどの時代でも「勝ち組」や「負け組」が自然に生まれてくるからです。むしろ、昔の封建制社会と違って、今の我々は、「誰もが生まれながらにして自由であり、平等です」から、努力さえすれば、それと相当する報いが与えられるという仕組みが成り立っています。
私たちも、そのように考えていました。
しかし、このコロナ禍のきっかけで、複数地域で、様々なケースを調査してきた結果、すべてはそう簡単にならないとのこと、目の前にたくさんいると気づきました。
ベトナム首都から700km離れている田舎町で、改めて考えさせた「当たり前」の定義
今回のプロジェクトの調査対象地域は、ベトナムの最も貧困地域の一つであるクアン・チ省(QUANG TRI)のフオン・ホア郡(HUONG HOA)です。フオン・ホア郡 は、西にはラオスと接しており、東にはTRUONG SON山脈であるため、クアン・チ省の中で最も賑やかなクアン・チ市まで車で約3時間離れているところです。メインストリートを少し外れると見渡す限り田園が広がっており、住居はまばらにしかありません。そのようなところで、私達が出会ったのは、タン(THAN)さんとチュン(CHUONG)さんでした。
画像:diaocthongthai.com
タンさんは大学卒であるものの、激しい競争の都会の労働市場に耐えられず、2児家族と病気抱えの母と叔母さん、6人家族の負担を抱えて地元に戻りました。今は、半分自給自足、半分日雇い仕事で家計を賄っています。そのため、6人分の一日の生活費をなんと300円以下におさめながら、わずかな貯金で借金の利息を払っています。その借金は、以前銀行からお金を借りて家畜飼養を始めたためでした。貧しい生活から抜け出そうとしているところ、あいにくその年家畜伝染病が流行り、タンさんが飼っていた豚もすべてかかってしまい、資金回収のところか、殺処分でさらなる損失に転落してしまいました。
タンさんとご家族
チュンさんも似たり寄ったりの状況です。一ヶ月約3000円分の以下の収入で、幼い子供と妻を養い、日々を生き抜くために精一杯です。チュンさんの全財産は、親からもらったわずかな農地だけで、家自体も親から借りているものであるため、何か始めようとしても銀行に担保できるもすらありません。
そのような厳しい状況の中で、彼らが、単なる子供たちを大人までしっかり育てていきたいというごく普通の夢でさえ追うことが既に難しいです。
それを思った時、年齢がほぼ変わらないものの、生まれた環境の違いだけで、あれだけ与えられたチャンスが違うのです。私たちの多くは、日本に住んでいるベトナム出身の青年たちで、大学を通っている人も、社会人数年目の人もいます。出身地が田舎出身の人も、ホーチミン市やハノイ市の大都会出身の人もいますが、全員共通していたのは、明日の食料のことを心配したこともなく、少し動けば大抵なものを手に入ることができる環境で育てられてたことです。今までは、それは当たり前だと思っていました。しかし、タンさんとチュンさんにとっては、決してその生活が当たり前ではないことを痛感しました。
最初の一歩を踏み出すための希望となる
タンさんとチュンさんのことを思ったとき、私たちがいかに恵まれているかに気づき、どうすればいいのだろうと強く考えました。
彼らは、一歩踏み出そうとしないことが決してなく、むしろ、現状を変えようとした時、より大きな困難が繰り返されていたから、彼らに頼っている家族のために、これ以上大胆な行動もできなくなったのです。
そうであれば、そのリスクは、彼らの代わりに負ってあげたいと思いました。貧困ループから抜け出すため、彼らの第一歩の力になりたく、私たちは、在複数のベトナムコミュニティ団体を結成し、本プロジェクトをスタートしました。
「共に友とTomorrowへ」プロジェクト:小口無担保融資で自立支援を
従来のチャリティ活動のように魚を与えるだけでは、いつまでも貧困がなくなりません。貧困層が固定化されてしまったほとんどのケースが、日々の食事分を確保するために精一杯となり、そこから違う未来への希望や、そこから抜け出そうとする勇気が徐々に見えなくなってしまうのです。
そのため、社会に立場が弱い人を対象に貧困のループを断ち切るために、支援金を提供するのではなく、自立のための事業資金を融資することで皆に何かを始まる勇気と希望を与えることは、本プロジェクトが目指しているゴールです。
どの様に実現するか:本プロジェクトのの仕組み
以下の通り、一つのケースを支援し、対象者と共に自立できるまでサポートしようと考えています。
1. 当年度の受益者を募集
インターネットや各ベトナムの地域の自治体を通じて、本プロジェクトへの参加者を広く呼びかけします。
2. 候補者を選定
応募申請を通して書類選考を行い、候補者リストを選定します。
3. 現地調査
現地パートナーと連携したプログラム担当者が現地に赴き、2項で選定した案件を調査して書類内容を確認し、本人の意志を確かめること。
4. 受益者を決定
最終支援対象を決定。
5. 支援物・支援金提供、契約締結
受益者及び現地パートナーと一緒に立ち上げ計画を調整し、具体的な契約を締結します。その後、ベトナムに送金し、現地パートナーと共にプログラム実施に必要な物品を直接サプライヤーに購入します。
6. 定期フォローアップ
真の意味での "Accompany"(同行者)を果たすため、現地パートナーと協力し、月に一度の頻度で、直接訪問または定期的な実情報告を実施します。状況や実務上の必要性により、頻度を変更する場合があります。
さらに、最近はインターネットを通して、受益者から毎日のように写真を送られており、ほぼリアルタイムで起業の状況を報告してもらっています。
7. 中間評価
実施1年半後にケースの総合評価を行い、当初の計画と比較し、必要に応じて調整を行います。
8. 期末評価
3年後にケースの総合評価を行い、初期資本と比較しての返済期間や回収率を再決定するものです。受益者の努力によって困難状況から乗り越えられた場合、利子なしや返済免除を提供する事も考えられます。
9. 資金返済
受益者から、当初の契約、または、期末評価結果によって、返済してもらいます。
10. 次ケースへの資本回転
同じ地域を優先し、次のケースを支援するために回収された資金を譲渡します。
活動紹介動画:
日本語版:
ベトナム語版:
プロジェクトへの支援方法
①募金活動実施
※日本から:(寄附金税額控除 あり)
三菱UFJ銀行 仙台支店(314)
口座番号: 0990125(普通預金)
口座名義: 特定非営利活動法人シーエスアールスクエア
※ベトナムから:
銀行: Mb bank (NH quân đội)
口座番号: 2903151003
口座名義:Bui Nhat Le Uyen
②その他の支援方法
ボランティアとしてご参加希望の方、または、このプロジェクトの意義を共感して頂ける方がいましたら、本プロジェクトのホームページのフォローまたはご連絡いただければ幸いです。
Facebook:https://m.facebook.com/donghanh.duan2021/
最後に
コロナで困窮する人々が貧困から抜け出すまでを成果とするから、私たちはこれから向かうのは、まだ長い長い道のりであると覚悟しています。たとえ1000円分の支援であっても、その先は誰かの希望、エネルギーに繋がれるのであれば、より意義がる1000円札へ変えて、あなたも私たちと一緒によりよい社会を作りませんか?
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関連組織の紹介
このプロジェクトでは、3団体が連携することで支援につながる窓口をひろげ、受援者と密着的な伴走型支援が出来るよう、努めて参ります。
3団体ともベトナム青年たちの団体です。
(1) 在日ドンズー生会
(2) 在日ベトナム学生青年協会
(3)ホーチミン市のボランティア学生会
(4)NPO法人 「シーエスアールスクエア(CSR2)」
(1)在日ドンズー生会
在日ドンズー生会とは、東遊(ドンズー)と言う日本留学生養成プログラムを卒業し、現在日本に在住している人達の団体です。東遊(ドンズー)留学プログラムは1991年に成立し、これまで約2200人の優秀な留学生を日本に送り出しました。日本に「ドンズー学生コミュニティ」のような委員会があります。この委員会は学生の状況を把握し、学生が何か困っていることがあったら相談します。他に、ドンズー出身の学生さんは様々な活動も行っています。春には新年会、夏には、学生サマーキャンプ、年末にはドンズー忘年会等があります。ドンズー生は、「社会貢献」及び「お互いに団結し、助け合い」の精神を最も大事にしています。そう言う訳で、在日ドンズー生会は今回のプロジェクトのコアフォースとなっています。
(2)在日ベトナム学生青年協会 (VYSA)
在日ベトナム学生青年協(VYSA)は2001年11月に創立され、在日ベトナム人の若者が主体となり運営する独立・非営利団体です。在日ベトナム学生青年を代表する、ベトナム政府に公認された唯一の団体としての誇りを持ち、日本全国で活動しています。定期的に、学術・文化・スポーツ・国際交流等の様々な活動を行い、日本各地域に住んでいるベトナム人留学生同士での交流を深め、VYSAのネットワークを広げるとともに、ベトナムと日本の友好促進活動を行っています。ベトナム人の若者の力で強いパワーを与えたいと言う気持ちで、今回のプロジェクトの重要な要素として取り組んでいます。
(3)ホーチミン市のボランティア学生会
ホーチミン市ボランティア学生会は、ホーチミン市経済大学の学生により2008年に開設されました。"Play、 learn、 grow"と言う強い志を持ち、14年間色々有意義なボランティア活動を経て、成長してきました。これらのボランティア活動を通して、情け深い心ばかりの若者に注目され、ベトナム社会に大きな影響を与えています。特に、子供への支援活動は強く共鳴されています。全ての人々が幸せな生活を送れる為、多くの子供が教育を受けられる為、どんな大変な状況でも乗り越えるのが、団体の目標です。ある人の心に触れ、笑顔と共に希望の火を灯す。。。常に暖かい心を持って、今回のプロジェクトに同行します。
(4) NPO法人「シーエスアールスクエア(CSR2)」
NPO法人「シーエスアールスクエア(CSR2)」は、2016年に設立されて、以下の3つのミッションを基に、東南アジアと日本の教育に貢献するために活動しています。
1. 東南アジアの子供たちの学習環境の改善
2. 日本の児童生徒による継続支援と交流活動
3. 日本の先生方と児童生徒の現地視察による学び教える勇気と希望の再発見。