すっかり秋めいてきたスペインです。皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
今日は、会場のバレンシア・シルク博物館 (ムセオ・デ・ラ・セダ Museo de la Seda)をご紹介します。動画にまとめてみましたので、ご覧ください。
会場「バレンシア・シルク博物館」について
この博物館、もとは15世紀の絹織物業者(ギルド)の拠点だった建物です。ギルド関係の建物としては、なんと世界最古だそうです!
近所(徒歩5分)には、同じ時代に建てられた絹の取引所(ラ・ロンハ・デ・ラ・セダ La Londa de la Seda )があります。こちらは、UNESCO世界遺産に登録されています。
つまり、会場のバレンシア・シルク博物館は、時代、歴史的意義など、世界遺産と同等の価値をもった建物だということになります。
今回の展覧会は、博物館とコラボで、なんと4か月もの長い期間、私たちの展覧会「Kimonoー伝統からモード」が全館占有させて頂くことになっています!
バレンシアと絹
皆さま、バレンシアと言えば、何が思い浮かびますか?オレンジが思い浮かんだ方も多いのではないでしょうか。
はい!オレンジの名産地です。私の夫の実家もオレンジと稲作をしています。
さて、このオレンジ、実は、100年前くらいまでは養蚕のための桑畑でした。そう、100年くらいまでは、オレンジではなく絹の名産地だったのです。
特に、15世紀から19世紀まではヨーロッパでの絹の一大生産地として栄えました。パリのリヨンなどに出荷され、絢爛豪華な王侯貴族の優雅な衣装もバレンシア産の物が多かったそうです。
その絹生産はバレンシアに莫大な富をもたらしました。例えば、あのコロンブスのアメリカ大陸発見の大航海では、バレンシアの銀行家がスポンサーとなったそうです。
また、日本の小説や漫画で描かれ、有名なイタリアのルネッサンス時期の人物チューザレ・ボルジアの父親のローマ教皇アレクサンデル7世は、バレンシア郊外の出身でした。チューザレやその父親があのメディチ家と勢力争いをした背景にはバレンシアの富が関係したと思われます
そのような栄光の面影を残すのが、この「バレンシア・シルク博物館」です。ご縁があって、そのような由緒正しい博物館を使わせて頂けることを嬉しく存じます。