クラウドファンディングが始まるより少し前に、「Yangonかるた」プロジェクトの内容や、始めるに至った経緯など聞いたとき感銘を受け、その返礼品に、私の写真集を選んでもらえたことはとても嬉しく思っています。
写真集「Myanmar 2005-2017」は、タイトルの示す通り、2005年から撮影を続けてきた、シャン州のインレー湖周辺とヤンゴンの写真で構成しています。
2013年に1冊目のミャンマー写真集「Thanaka」を出版したころ、ミャンマーが民主化し、各国の経済制裁が解かれ、訪れる度に新しいホテルやショッピングモールが建ち、発展するヤンゴンと、それを様々な思いで見ていた、シャン州インレー湖の人たちを対比しながら、変わりゆく街と変わらないミャンマーの人たちの穏やかな気質を伝えよう、と作り始めた写真集でした。もう軍事政権に戻ることはなく、少数民族問題など抱えながらも、国が発展していくと信じて疑いませんでした。
2014年から2017年ごろは、撮影しながらインレー湖やヤンゴンで、多くの人に自身の将来や国の未来についてインタビューもしていました。
写真は、インレー湖で学校帰りの少女3人(当時9才)で、好きな科目と、将来に何になりたいか聞きました。
左の娘は歴史の勉強が好きで政府の役人、真ん中は国語で学校の先生、右は数学で学校の先生になりたいと話していました。まだまだ社会との接点が少ない子供が、身近な大人に憧れるのは自分の経験からも理解できました。このころ男の子に聞くと「軍人」と「学校の先生」が多かったことは、今のミャンマーからすると考えられませんが、軍がどのように思われていたかが窺い知れます。
こちらの彼女は、インレー湖の店で機織りをしながら暮らしています。この店に来た経緯や店との関係を聞くと、互い納得のうえで協業していると知り、安心しました。
少数民族である彼女たちは以前、独自の言語を話し、公用語であるミャンマー語を話すのは稀だった印象ですが、若い世代から学校教育が広がり始め、公用語であるミャンマー語を話していました。
それに対して大人たちに、子供達にどのような大人になって欲しいか聞くと、自分たちが育った頃を思い出すように「しっかり教育を受けて欲しい」や「賢く、礼儀正しくなって欲しい」「正直で良い人に育って欲しい」など、子供達に過度な期待はせず、彼ららしい答えだと私は感じました。
今は軍のクーデターにより、国の将来を担う子供たちが、満足な教育を受けられない状況に置かれていると聞きます。
私は日本から、ミャンマーの人たちが望む社会を実現できるように、写真展などを通して、多くの人たちがミャンマーに関心を持ち続けてもらえるよう活動しています。その一つとして「ヤンゴンかるた」プロジェクトも私に出来ることを考えながら応援していきます。
(亀山仁 氏)
亀山仁さんの写真展「日常のミャンマー2」が、3月4日から東京都中野区で開催されます。
詳細が分かり次第、ヤンゴンかるたのFacebookやTwitterでお知らせします!