醤油醸造所の「歴史」と「今」をつなぐ
静岡県浜松市浜北区小松に、明治8年創業の明治屋醤油があります。
145年続く醤油醸造所です。
この辺りには、天竜川の伏流水が流れ、昭和40年頃までは、
数軒の醤油醸造所がありましたが、今では最後の一軒となりました。
細い路地を曲がると住宅街の一角に現れる黒壁の3階建木造工場は、
平成27年には静岡県登録有形文化財へ指定されました。
近年では、6代目となる野末将平さん兄弟が一緒に働くようになり、
工場見学や醤油搾り体験、新商品の開発や原材料を栽培する農園運営など
様々なチャレンジをして家業を盛りたてています。
創業から戦争をくぐり抜け、現在に至るまで、幾度かの火災に遭いました。
そのため、明治・大正時代の資料は、焼け焦げた書類の他、ほとんど残っていません。
そして、戦後のお醤油やソース造りを知る元従業員や昔を知る家族も80歳を超え、
かつての明治屋醤油の記憶を語る人も少なくなっています。
そこで、
「今わかっていることだけでも形に残したい」
「この土地に根付いたお醤油文化を伝えたい」
その思いから、明治屋醤油の「歴史」と「今」を伝える本を作ろうと決めました。
明治屋醤油とのご縁
私と明治屋醤油との出会いは、今から40年余り過去に遡ります。
母の実家と明治屋醤油は、本家と新家の間柄にあり、
お正月には母と一緒にご挨拶に伺った記憶があります。
お隣の工場からは、いつももろみの香りが漂っていて、
私にとってはおばあちゃん家の匂いとして記憶に刻まれています。
その後、私も大人になって広告デザインの仕事に就きました。
しばらく疎遠でいたのですが、従姉妹の声がけでホームページ制作を請け負うことになり、
今の明治屋醤油と再び出会うことになりました。
それ以来、新商品のレッテルづくりやパンフレットなど
デザインのお仕事でお手伝いをしています。
そして、数年前に母が亡くなったことをきっかけに、自分のルーツに興味を持ち、
改めて調べてみると、祖母が創始者・万吉さんの娘であることが分かりました。
万吉さんは、高祖父の弟で養子に入ったと聞いていましたが、
曽孫という存外近い関係であったことに驚きました。
これも、何かのご縁と因縁を感じ、
万吉さんから受け継がれてきた明治屋醤油の力になりたいと
考えるようになりました。
地元のお醤油文化の発信地として
醤油消費量は30年前と比べて半減しており、
家庭の中でのお醤油離れが顕著に現れています。
この小松地区も新しい家が増えて、世代交代が進んでいます。
今では、住宅地として人気の地区となり、新しい世帯の流入で人口も増え、
まちは新しく書き換えられようとしています。
その中で、黒壁の木造工場を構え、代々家族がつなぎ守ってきた明治屋醤油は、
この地区において、かつての文化の象徴のような存在です。
そのような場所を、地域の人と一緒に大切にしていけたら。
そんな想いで今年「小松つながり醸造所」という団体を
明治屋醤油と一緒に立ち上げました。
この秋に、地域の方々が小松の歴史に触れていただくために、
「つながり醸造プログラム」として、森のねんどワークショップの開催を予定しています。
今後は、団体の活動を通して地域と明治屋醤油との「つながり」を作る
場づくりを考えていきます。
まずは、その第一歩が、「本」を作ることです。
これまで、地域の食文化を支えてきた明治屋醤油の歴史にアンカーを下ろし、
明治屋醤油に関わりのある方々をはじめ、
地域のみなさんや次世代を担う子供たちと共に過去を想う。
この本がこの先の未来を考えるきっかけ作りになるように願っています。
ぜひ、応援をよろしくお願いいたします。
本の企画について
今回制作する「明治屋醤油の本」では、
変わらないお醤油造りから家族で支える会社のことや
戦後からのソース作り、時代ごとの醤油の変遷など、
145年の年月が育んだ明治屋醤油の今と歴史を紹介します。
そして、明治屋醤油で作られる個性豊かなお醤油を使ったお料理など、
暮らしの中で楽しめるお醤油使いを提案します。
これまでを紐解いて、これからを結び直す。
これが、小松つながり醸造所が取り組みたいことです。
この本を手に取っていただく方々に、
100年前と今が確かに繋がっていることを感じて頂きたいと思います。
現在、取材・撮影が進行中です。
この本づくりには、地元で活躍する様々な方々に関わっていただいています。
カメラマンを務めるのは、生まれ育った天竜の林業を写真の力で
プロモーションする活動も行なっている内山文寿氏さん。
内山さんの写真は、光と陰のコントラストがとても美しい作品です。
明治屋醤油の木造工場がどんな光を取り込んだ写真になるのか
とても楽しみにしています。
「明治屋醤油さんを初めて訪ねた時に感じた
「懐かしさ」と「感動」を共有出来る本にするべく写真に記録しています。
ここ浜北区で育てられた大豆とこの場に棲む微生物の働き、
そして天竜川の伏流水によって丁寧に造られた醤油は
円やかで身体に染み入る美味しさ。
出来上がった本を見ながら是非美味しく召し上がっていただきたいです。」
そして、お醤油を使ったレシピは
和ハーブインストラクターの横井理恵子さんが考案します。
和ハーブは、紫蘇、三つ葉、山椒などの香味野菜や柚子やハッカなど
日本人に馴染み深いものです。
今回はこの和ハーブを使ったお醤油レシピを考えていただきました。
「今回、和ハーブとお醤油を使って、
ちょっとエスニックなレシピを考えました。
身近な食材でお醤油の新しい使い方を提案します。
どうぞお楽しみに!」
本の編集は、仕事仲間であるランチプレス・見崎庸平さんにお願いしました。
今の明治屋醤油とこれまでの歴史を様々な切り口で切り取って、
わかりやすく編集してくれています。
「もし海外生活をすることがあって、日本の味が恋しくなるとしたら、
僕の場合、それは醤油の風味です。
この本も、そんな風に愛着を感じてもらえるものになったら。
そう思いながら、ただいま鋭意制作中です。」
そして、デザインはこのクラウドファンディング発起人の私が担当します。
明治屋醤油の本は、この7月にキックオフをして明治屋醤油のみなさんのご協力を頂き、
本づくりの様子は、順次報告して行きますのでお楽しみに!
資金の使い道・実施スケジュール
頂いた資金は、下記用途の一部として大切に使わせていただく予定です。
今回は、出版社を通さずに制作する自費出版です。
多くのみなさんがこの本の制作を支援して頂けたら、これほど嬉しいことはありません!
この本が多くの人に届きますよう、応援をよろしくお願いいたします。
1.
本づくりの制作費…1,129,500円
(編集・撮影・デザイン・レシピ、イラスト制作費・印刷)
2.
返礼品の協力を頂いた方々へのお礼など諸経費…約15万円
(撮影費・レシピ開発・コーディネイト費・豆皿制作費・醤油、体験などの商材提供・配送費)
※返礼品の経費は、支援の内容によって変動します。
3.
CAMPFIREへの手数料…支援金の10%
リターンのご紹介
●お礼のメール 1,500円
→感謝の気持ちをメールにてお届けします。
●お礼のお手紙 3,000円
→地元で活躍するカメラマン内山文寿さんが撮影した明治屋醤油の絵葉書を制作します。
感謝の気持ちを込めて、お礼のお手紙をお送りします。
●お醤油搾り体験 3,000円(限定10人)
→明治屋醤油で行なっている工場見学と醤油搾り体験のセットです。
有形文化財に指定されている木造三階建ての工場見学とオリジナルのミニ醤油搾り機を使って
もろみからお醤油を搾る体験ができるコースです。
実際に明治屋醤油を見てみたい方におすすめです。
●ストーリーと一緒に味わうお醤油 4,000円(限定20人)
→蔵出し150ml 2本と再仕込みミニボトル80mlのお醤油セットに、自社農園で栽培している
茶大豆と小麦のお話をまとめたリーフレットを同封します。
原料からこだわって造っている「蔵出し」のすべてが分かるセットです。
●和ハーブインストラクターによるレシピとお醤油 4,000円(限定20人)
→山椒など身近な和ハーブを使ったレシピを明治屋醤油のお醤油とセットにしてお届けします。
お醤油の新しい使い方の発見で、毎日の食事を楽しくしましょう!
●明治屋醤油の本お届け 5,000円
→今回制作する「明治屋醤油の本」とお礼のお手紙を添えてお届けします。
変わらないお醤油造りから家族で支える会社のことやこれまで明治屋醤油が辿った歴史。
そして、お醤油を使ったお料理のことなど、明治屋醤油のことがまるごとわかる一冊です。
●食べることが楽しくなるMY豆皿とお菓子 6,000円(限定10人)
→手彫りの風合いが素敵な豆皿と明治屋醤油の醤油を使ったクッキーのセットです。
地元の彫刻家木下琢朗さんが木を選び、丁寧に手で彫った豆皿は、
ひとつひとつ表情が違った個性があります。そのお皿で、明治屋醤油オリジナルのクッキーを
食べたらきっと美味しいはずです。ちょっとだけ、特別なおやつタイムをお届けします。
●自宅で醤油を育てる体験 8,000円(限定10人)
→明治屋醤油の新商品「うちのおしょうゆキット」をお届けします。
そして、2021年2月5日(土)に開催するオンライン講座にご招待。
明治屋醤油6代目がもろみの育て方のコツをお教えします。
●出版全力応援 10,000円(限定20人)→明治屋醤油の絵はがきに、感謝の気持ちを込めてお礼のお手紙を送らせていただきます。
明治屋醤油の本を2冊お届けします。
●出版全力応援 30,000円(限定10人)
→明治屋醤油の絵はがきに、感謝の気持ちを込めてお礼のお手紙を送らせていただきます。
明治屋醤油の本を6冊お届けします。
●出版全力応援 50,000円(限定10人)
→明治屋醤油の絵はがきに、感謝の気持ちを込めてお礼のお手紙を送らせていただきます。
明治屋醤油の本を10冊お届けします。
<プロジェクトオーナーについて>
■特定商取引法に関する記載
●販売事業者名:青木三枝
●代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名:青木三枝
●事業者の住所/請求があり次第提供致しますので、必要な方はメッセージ機能にてご連絡ください。
●事業者の電話番号/請求があり次第提供致しますので、必要な方はメッセージ機能にてご連絡ください。
●送料:送料込み(北海道、沖縄等の離島への配送は、別途配送料をお願いする場合があります)
●対価以外に必要な費用:特にありません
●ソフトウェアに係る取引である場合のソフトウェアの動作環境:該当なし
●その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄(https://camp-fire.jp/legal)をご確認ください。
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見るサクセスせずとも
2021/12/10 21:16クラウドファンディング最終日、終了まで後2時間。今回の私のチャレンジを応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。現在、合計金額434,000円となりました。これまで、67人の方に支援いただき、本当にありがとうございます。この数日間でたくさんの方に応援をいただき、感謝しかありません。今回のクラウドファンディングは、All in one方式です。本の制作はあらかじめ実行することを前提としており、目標金額に達していなくとも集まった金額を制作資金として頂ける仕組みです。今回集まった資金は、約束通り本の制作費として大切に使わせていただきます。そもそも、取り組みとして目標を達成することが、目的ではありません。私の力不足をみなさんの力をお借りして一緒に夢を叶えることが肝心な部分です。今回、いただいたみなさんのご厚意を無駄にすることなく、これから出来上がる明治屋醤油の本が、地域の方やこれからの若い世代の心に響くものになりますよう、全力で頑張ります。ご支援いただいた、みなさま。プロジェクトをシェアしてお知らせしてくださったみなさま。心の中で応援してくださった方々にも、感謝いたします。引き続き、このプロジェクトの行く末を一緒に見守っていただけたら、嬉しく思います。 もっと見る
工場のすごい仕組みその3〜血管のごとくホースでつながる工場内〜
2021/12/09 20:38もろみの熟成が終わると、次は搾りの作業がはじまります。最初は、サラサラだったもろみは時間の経過とともに熟成し、ドロドロとした深い茶色に変化します。明治屋醤油では、蔵出しは3年。その他の醤油は1年半寝かせます。その間、微生物の力でジワリジワリと旨味を増して育っていきます。もろみが一時保存される大樽そして、このタイミングでまたホースが登場します。熟成を終えたもろみは、2階のもろみ部屋の入り口前に設置された大樽に移され、そこから、さらに1階のもろみを搾るための船と呼ばれる箱に移動します。2階から1階へホースを伝ってもろみが移動しますそして、麻袋の中にもろみを少しずつ入れて、重ねていきます。この作業を繰り返し、まずはもろみの重さだけで出てくる醤油をとり、それが落ち着いたら、その後機械で圧搾するそうです。もろみは、トロトロで水分が多いのでいきなり圧力を掛けても隙間から染み出してしまうのだそう。だから、この作業も何日か時間を掛けて、行うのです。麻袋の間から醤油が染み出してきますこうして搾った醤油は、そのまま生醤油として瓶詰めされるものと火入れして別れて商品として旅立ちます。この古い工場からどれだけの醤油が出荷されてきたのでしょう。明治屋醤油の美味しさは、この工場があってのものなのかもしれません。 もっと見る
工場の仕組み〜その2〜 醤油麹は、高速移動でもろみ部屋へ
2021/12/08 17:23小麦を炒って、砕き、大豆を蒸して麹菌を混ぜ込んだものが醤油麹となるためには、3日間時間が必要です。明治屋醤油の麹室は、大豆を蒸す釜の向こう側。醤油造りの要となる大切な部屋は、工場の奥に鎮座されています。ちょうど中二階の位置にあり、室の下には、様々な仕掛けが隠れています。麹室の入り口まずは、温度・湿度を管理するヒーター。温度を設定すると自動で温度を調整してくれるそうです。スチームで温める仕組みなので、麹菌が好きな湿度も保ってくれます。麹室に空いた穴。この中に醤油麹を落としていきます。そして、出来上がった麹をもろみ部屋へ送る瞬間移動装置。床に空いた穴から醤油麹を入れると、空気の力でもろみ部屋に送られる仕組みです。コンプレッサーを動かすとブオーっという爆音とともに、醤油麹があれよあれよと運ばれて行きます。コンプレッサーが動き出したら、ひたすらこの作業古い工場なので、運ぶのにどんだけ人手が掛かるのかと思っていましたが、600kgほどある醤油麹は、一時間ほどで桶の中へと移動して行きました。醤油麹がホースで送られてきますあとは、塩水を加えて混ぜれば、もろみの仕込みが完了です。塩水を加えることで、麹菌の働きを抑制します塩水はこの古い樽に保存され、必要な分量を混ぜ合わせます。長年使用されてきた樽には、塩の結晶が付き、ここに流れてきた時間の長さを感じます。ところどころに塩の結晶が雪のように積もっています仕込みを終えたもろみは、1年半から3年の眠りにつきます。凍てつく冷気とむせぶような暑さを繰りかえし感じながら、発酵が進みます。さて、今年のもろみはどんな味になるのでしょう?仕込んだばかりのもろみは、明るい土色こちらは、仕込んでから2年目のもろみ 発酵が進んでこっくりとした色合い もっと見る
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