「錫の魅力とは」/ 中村氏
2021/12/23 15:33
中村氏:錫は、実際にも見た目にも柔らかく、そして温かみのある優しい金属だと思います。ロクロ挽きの錫製品は、ツヤを良く仕上げるのが基本です。作業が進み日が沈みかかってやや薄暗くなってきた頃、同じものを20個ほど並べてあるのを、ふと手を止めて眺めたときの何とも言えない光沢は大変魅力的です。やや黄色味を帯びた嫌みのないツヤです。先代が独立するときに、この錫の光沢に魅了されていたことから「錫の光=錫光」と屋号を決めた所以になっています。TSUKURIBAスタッフも実際に工房にお邪魔させて頂きました。金属のキリッとしたクールなイメージが強い印象だった錫ですが、実際に手に取り、使わせて頂くと、しっくりと手に馴染む肌触り、なんともいえない優しいツヤ、錫への印象が変わりました。普段の食卓にはちょっと高いかな?と思っていた錫の酒器ですが、その日の晩から3オンスのタンブラーは毎日の晩酌のお供です。