クラウドファンディング 募集終了まで残り11日となりました。
皆様のご支援、ご声援、ご協力に感謝申し上げます。
『アベノマスクって何だったの?』
われわれが生きていくのに必要なのは、お金だろうか。
それとも水と食料と燃料だろうか。
間違えてはいけないのは生きるのに必要なのは水と食料と燃料です。
お金はそれを手に入れるための手段の一つに過ぎません。
『里山資本主義』(藻谷浩介/NHK広島取材班・著)とは、お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりとお金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方です。
お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークを、予め用意しておこうという実践です。
里山資本主義がマネー資本主義に突きつけるアンチテーゼは、「貨幣を介した等価交換」に対する、「貨幣換算できない物々交換」の復権です。
物々交換で成り立ってきた原始的な社会が、貨幣経済社会に移行すると、一気に取引の規模が拡大し、分業が発達し、経済成長が始まる。
この原理そのものはその通りですが、マネー資本主義に対するサブシステムである里山資本主義では、貨幣を介さない取引も重視する。
また、デヴィッド・リカードの唱えた、行き過ぎた「国際分業理論」への警鐘でもある。
現に今回の新型コロナ感染により、日本は分業が進み過ぎ、マスクすら自国で生産することができない国になり果ててしまった。
財を生産していく工程をすべて一人だけでこなしていくのは、完成までに時間がかかり、しかも少量しか生産ができないうえに、生産者への負担が大きくなるというデメリットがある。
より迅速に大量の財を生産するために、複数の生産者が生産工程において役割を決め、スケジュールに基づいて作業していくのが分業のメリットである。
これは、財を安定的に市場に供給できるという点からも優れたシステムということができます。
さらに各国において得意な分野に専念して効率を高めようと言う考え方である。
だがマネー資本主義やグローバル経済で有利になるのは常に強者です。
人・物・金の優る大企業の寡占化が進んでしまう。
価格競争や技術競争、サービス競争でも大手有利になり、新規参入が困難になり、中小零細事業者や小規模生産者などの弱者の生存は危うくなる。
工業製品ばかりでなく食料品の分業も大量生産や品質管理のために、農薬・防腐剤・科学調味料の添加で消費者の安全面はなおざりになる危険性があります。
このあたりはミヒャエル・エンデ(Michael Ende, 1929年11月12日 - 1995年8月28日)の警告と同じであり、「バータークラブ」の存在理由でもあります。
『里山資本主義』の中で特に興味を引いたのがCLT工法の可能性でした。
CLTとは、CrossLaminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された建築工法です。
CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼びます。
一般的によく知られている集成材は、張り合わせる板の繊維方向が並行方向に張り合わせるのに対してCLTは、繊維方向が直交するように交互に張り合わせていきます。
CLT工法の特徴は、短い建築期間、断熱性と高い省エネ効果、優れた耐震性等があります。
そして木造高層建築が可能なので、ヨーロッパでは既に7階建、9階建まで登場しており、イタリアでは13階建も建築予定とのことです。
欧州全体では石造りや鉄筋コンクリートに代わって7年間で20倍も増えているそうです。
日本では建築基準法があるために3階建以上は制約が多いですが、国産のスギでも十分な強度を有するので製作できます。
森林資源が豊富な国産スギの需要拡大の一つとして期待されます。
国産木材の普及を図ろうと日本CLT協会が法改正の活動にも力を入れ始めました。
鉄筋コンクリートから木造建築への移行は、まさに山林の有効活用を謳う里山資本主義の本質です。