柴田保之先生のこと――熊野宏昭先生のコメント⑦熊野宏昭先生対談集クラファン開催中!
熊野宏昭先生の各対談者の方々の感想をご紹介する活動報告。今回は本書の第5章でご対談の國學院大學人間開発学部初等教育学科教授の柴田保之先生についてです。
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柴田保之先生との対談について
私は、この柴田先生のことをまったく存じ上げていなかったので、「また編集者が面倒くさい話を持ってきたなー」とか思ったのを覚えてます。「まあでも、仕方ないから本を読んでみよう」と思い、編集者が送ってきた柴田先生のご著書『沈黙を越えて:知的障害と呼ばれる人々が内に秘めた言葉を紡ぎはじめた』読んだのですね。これは、本当に驚きましたね。「え、こんなことってあるの?」と。
それで私も柴田先生が主催されている障害当事者研究会の「きんこんの会」に出席させていただいたんです。そしたらですね、驚きました。本当に驚きました。ここまでの対談は、私はそれなりに知っている世界だったんですが、これはまったく知らない世界でした。鎌田東二先生の話の中に、「すべての自然、日本の自然で、歌を歌っていないものはない。その歌を聞き取るのが和歌であり、俳句なんだ」というようなことが古今和歌集の序には書かれている、という紹介がありました。
そういう、生きとし生けるものが歌っている歌が聞こえれば、完全受動態になれるというのはわかります。でも、それは私の中ではまだ概念にしかすぎなくて。そういうことが、まあ、できるのだろう。そういうふうになれたらいいな。というふうに私は思っていたんですが、この柴田先生の研究会ではですね、それが実際に目の前で起こっているんですよね。
普通、言葉をしゃべれるはずがないと思われているような重度の知的障害の方々。あるいは、普通に落ち着いて話すことなんかできない、もう「ワーワー」と、ずっと騒いでいる発達障害の方々。そういう方々が、柴田先生が横に座ってその方の手を取ると、もう柴田先生の口を借りてなんですけれども、いろんなことを語り始めるんです。そして、その場には30人ぐらいの人たちがいるんですけど、それを、みなさんが黙って聞いている。
もしそれが、柴田先生が勝手に思いついたことを言ってるだけだとしたら、みんなそんなふうに聞いてないです。みんながそれをしーんとして聞いている。それはもう、生きとし生けるものが歌を歌っているのを、みんなそこで一緒に聞いている。そういう感じなんです。
私もそこにいて、その皆さんの話を聞かせていただいて、本当に心洗われる思いで「なんだろう、これは」と、本当に思いました。
もう驚きしかなかったですね。そして、そういう通訳する技術というのが訓練によってできるようになるというお話を聞いて、本当にびっくりしました。
鎌田先生は言霊の研究者なのですが、この柴田先生は言霊の実践家。なんかそんな感じさえしました。マインドフルネスとかヴィパサナーというと、言葉とか思考というのはなるべく離れてとなるのですけども、ここでは言葉の持っている可能性、言葉の持っている力というのはすごいものなんだと本当、感じました。
(熊野宏昭)
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