
皆さま、ご支援・ご協力ありがとうございます。クラウドファンディング企画・実行者の松沼裕二です。
先日、海辺の小さな集落にて、被災状況の調査と支援活動を行いました。
海岸の狭い地域に、20世帯ほどの家族が寄り添って暮らしている小さなスラムです。
そして、台風22号により、すべての家が倒壊しました。
ここには、もともと電気も水道も通っておらず、共同で使っているジェネレーター(発電機)と井戸水(海水が混じっていますが、、)で、人々は生活しています。
私たちはふだん支援している地域から少し離れていることもあり、今まで訪れたことはなかったのですが、支援地域の知人が、「友達が、家が潰れて大けがしたのよ。これからお見舞いに行ってくる。」というので、同行させてもらったのです。
この小さな集落は、海辺の空き地に粗末な家を建て暮らし、主に魚を捕って市場で売って生活していました。周りに建物や木がないこともあり、台風の暴風雨で、あっというまにすべての家の屋根や壁が吹き飛び、倒壊してしまいました。
しかし、どこにも逃げることのできない人々は、暗闇の中、風雨にさらされながら、みんなで抱き合って、あの恐怖の夜を過ごしました。
たくさん話をしてくれたおばあちゃんが言います。
「ここには、役場の人も見に来ないし、もちろん支援もないわ。私たちのことなんてどうでもいいのよ。私たちにはもともと居場所なんかなかったんだから、、」
そう、、実は、この集落の人々は、ここに不法に家を建て、勝手に住みついていたのです。日本で言えば、公園や橋の下に住み着くホームレスと同様です。
だからなのか、今回の被災に対しても、政府から何の支援もなければ、見向きもされていません。自業自得なのかもしれませんが、もともとそこに居てはいけない人々だから、台風で家を飛ばされても、そもそもそれは存在していなかったと同じ、という扱いを受けています。
貧困に苦しむ人々の、そして途上国の福祉体制の、これが現実です。
今、フィリピンでもガソリンが値上がりしているので、この集落では買うことができず、灯りはロウソクだけです。拾い集めた板や、ブルーシートで、簡素な家を作り、人々はまたここで生活を始めています。
「どこにも居場所がない」から、「ここで生きていくしかない」のです。
それが、この人々にとっての、逃れようのない現実です。
日本で言うなら、公園に段ボールハウスを作って暮らしているホームレスにおにぎりを配って歩くといったようなことで、そう考えるとそれほど違和感はないかもしれないのですが、、 もちろん、実際問題として、不法に生活している人々を助けていいのか、という葛藤はあります。だからといって見捨てていいのか、と言えば、そうは思えません。また、別の、そして大きなハードルとして、支援をしたくても、資金の問題もあります。でも、その場で目の当たりにした過酷な現状に、何らかの手助けができたら、と思い、少しの食材を寄付し、炊き出しをみんなで行いました。
家の修繕にはもう役立たないガレキとなった木を薪にして、調理をしました。本当にこんな小さなことしかできません。でも、すべてを諦めて、何もしないで飢えて死んでいくかもしれない状況を、見て見ぬふりもできません。たくさんの葛藤と試行錯誤を重ねながら、たとえささやかな支援でも、今、できるだけの手助けをするだけです。
自分たちが行っていることが、正しいことなのか、間違っているのか、はっきりとはわかりません。ずっと深く考え、悩み続ける必要があります。やっていいことといけないことの判断も迫られることだってあります。
ただ、ひとつだけ言えるのは、目の前で苦しんでいる人々に、もしできることなら、手を差し伸べてあげたい。それだけです。「できる範囲」と「やってもいい範囲」の狭間で、その場その場の状況を加味して、判断しながら。
「この支援が本当にその人のためになるのか」
いつも悩み続け、試行錯誤し、だからこそ、現地の人々を深く関わり合い、本音をぶつけ合い、協力し、助けあいながら、草の根の支援を行っています。
私たちが現在支援しているフィリピン・セブ島。台風により、家も生活も大切なものも、思い出の品も、そのすべてを奪われ、お金も政府からの充分な支援もなく、多くの人々が苦しんでいます。
そんな辛い日々に、少しでも希望を光を灯してあげられるよう、皆さま、もしよろしければ、被災地の方々の日々の命を支え、未来を築くための、このクラウドファンディングに、ぜひともご協力頂けましたら幸いです。
皆さまのあたたかいごご支援・ご協力、心よりお待ちしております。
よろしくお願い致します。





