百人一首でも知られるこの歌に詠まれた「奈良の都の八重桜」がナラノヤエザクラです。古くから和歌に詠まれ、語り継がれながら、長らく幻となっていたナラノヤエザクラが、東大寺知足院の裏山で発見されてから100年になります。あまりにも有名な名前とはうらはらに、実際の花姿はあまり知られていません。「奈良八重桜の会」は、歴史的文化的、植物学的にも貴重で、可憐なこの花をもっと多くの人に知ってほしいと、さまざまな活動を続けてまいりました。
設立20年、このほど、ナラノヤエザクラを題材にした「八重桜」という能があることを知りました。室町時代に創られたものですが、長い間上演されずに埋もれたままになっていました。
「奈良八重桜の会」は、能「八重桜」を現代に蘇らせ、上演してほしいと夢をふくらませています。復曲するには、残された内容に節及び型をつける必要があり、時間も費用もかかります。
どうかご支援のほどよろしくお願いいたします。
室町時代から現代までに創られた能は3千曲を超えています。そのなかで、大和(奈良県)を舞台とするものは約122曲。「八重桜」はそのうちの一つですが、長らく上演されておらず埋もれたままになっていました。
内容は、春日明神へ参詣した臣下が、花守の翁から春日山の縁起を聞いた夜、明神が本体を現し、名木、八重桜を讃え舞う、というもの。
能「八重桜」の別名は「東円堂」とも伝えられています。東円堂というのはかつて興福寺にあったお堂。平安時代に建立され、室町時代に焼失したと伝わります。現在の奈良公園バスターミナルの南側あたりが東円堂のあった所で、今も1本のナラノヤエザクラが植え継がれています。
「奈良八重桜の会」では、設立20周年事業として、能「八重桜」を今に蘇らせたいと願っています。しかしながら、復曲するには、残された内容に節や型をつける必要があり、時間と費用もかかります。興福寺とゆかりのある金春流の上演で、興福寺に奉納できたらと考えています。
ご支援いただくお金は、復曲のための費用として大事に使わせていただきます。当会が25周年を迎える令和8年(2026)の上演をめざしています。
・奈良に咲く八重桜の総称ではなく、「ナラノヤエザクラ」という桜の一品種。
・あらゆる桜の中でいちばんの遅咲き。4月下旬、周囲が新緑に染まる頃に咲きます。
・蕾は真紅。小ぶりで清楚な花弁を開くと淡いピンク色。散り際に再び紅色を濃くしていきます。
・野生種であるカスミザクラが重弁化した変種であると考えられています。
・奈良県の花、奈良市の花
・東大寺知足院のナラノヤエザクラは国の天然記念物(大正13年指定)
学名 prunus antiqua
傘状の落葉高木で高さ8~10m以上 樹幹は直立。
葉は花と同時に展開し、若芽は茶色または黄褐色。
花の大きさは2.5~3.5㎝の小ぶり
花びらの数は20~35枚
■ 歴史にみるナラノヤエザクラ
奈良に美しい八重桜があったという話は、平安時代から、たくさんの歌集や物語に残されています。代表的なものを挙げてみます。
『伊勢大輔集』
『七大寺巡礼私記』
『詞花歌和歌集』
『古今著聞集』
『沙石集』
『奈良名所八重桜』
『大和名所図絵』
『徒然草』
『多門院日記』
そのなかでも、ひときわ有名なのは「いにしへの奈良の都の八重桜…」という伊勢大輔の歌ですね。鎌倉時代の仏教説話集『沙石集』には次のような物語が載せられています。
平安時代、紫式部が仕えた一条天皇の中宮彰子(後の上東門院)は、興福寺東円堂の前に咲く「奈良の都の八重桜」の評判をお聞きになり、京都御所へ移植したいと思われます。桜の木を掘り起こし、運び出すのですが、興福寺の僧侶たちが追ってきて「命にかえても」と押しとどめます。中宮彰子は怒るどころか、その心映えを褒め、「花守」を遣わされました。
興福寺からはお礼として「奈良の八重桜」のひと枝が届けられ、伊勢大輔が「いにしへの奈良の都の八重桜…」と詠んだのです。
それから1000年目に当たる平成21年(2009)には、「奈良八重桜の会」が天皇皇后両陛下にナラノヤエザクラを献上することになりました。
歴史的文化的にも貴重で、可憐なナラノヤエザクラをもっと多くの人に知ってほしいという思いから、平成13年(2001)に設立。毎年、ナラノヤエザクラが咲く頃に「愛でる会」を開き、講演会やコンサート、お茶会、ゆかりの地を訪ねるツァーなどを実施して魅力を広める活動を続けています。プレートを付けるプロジェクトもスタート。まずは奈良県と連携して奈良公園一帯のナラノヤエザクラにプレートを付けながら本数をカウント中。県に働きかけ、植樹や保全にも力を入れています。
設立20年、「いにしへの奈良八重桜を永久(とこしへ)にーもう幻の桜にはしない!」をスローガンに活動を続けていきます。
活動
■植樹
当会への要請を受けてその都度、県に取り次ぎ、植樹のお手伝いをさせていただいています。これまでに、下記の場所へナラノヤエザクラを植樹しました。
平城宮跡、大和文華館、奈良市内の小・中学校、奈良国立博物館、興福寺、東大寺、法華寺、法金剛院(京都)、高林庵など
■ 講演会
▼これまでの講師陣
故小川光三氏「ナラノヤエザクラ」(飛鳥園社長、古代史家、当時)2001年
増記隆介氏「平安絵画にみられる桜の表現」(大和文華館学芸員、当時)2002年
西川杏太郎氏「奈良八重桜に思う」(元奈良国立博物館館長)2003年
大川靖則氏「奈良市の花」(元奈良市長)2003年
天野孝之氏(樹木医)、菅沼孝之氏(元奈良女子大学教授) 2007
井鷺裕司氏「ナラノヤエザクラの遺伝子解析について」(京都大学教授)2008年
森谷英俊師(興福寺執事長、当時。現、興福寺貫首)2010年
西山厚氏「はるかに遣唐使を想う」(奈良国立博物館学芸部長、当時)2010年
冷泉為弘氏「和歌にみる桜の詠み方」(下冷泉家20代当主)2013年
多川俊映師『興福寺と奈良八重桜』(興福寺貫首、当時。現、寺務老院)2014年
湯山賢一氏「奈良の桜」(奈良国立博物館館長、当時)2015年
岡本彰夫氏「近世奈良の風情」(元春日大社権宮司、宇賀志屋文庫庫長)2016年
藤原素子氏「奈良女子大学と奈良八重桜」(奈良女子大学副学長、当時)2018年
■ コンサート、芝居、上映会
「歌で伝える奈良八重桜」(グローバルシンガー、岡美保子氏)2010年
やすきひろこ語り芝居「奈良の八重桜物語~聖武天皇の心に染まる弥栄の山桜~」2015年
「映像とピアノで愛でる桜」(保山耕一氏映像と池口由紀子さんのピアノ演奏)2018年
■ ゆかりの地を訪ねるバスツアー「花垣の里」三重県伊賀市予野へ
鎌倉時代の『沙石集』に登場するナラノヤエザクラの故地。一条天皇の中宮彰子が「花守」を遣わされたという伊賀の国、予野の庄(花垣の庄)。現代も「八重桜保存会」がご神木として大切に守り、4月29日は「観桜会」が開かれています。
当会では、バスツァーで平成16年(2004)現地を訪問。以後、有志で訪ねたり、こちらの「愛でる会」にお招きしたりと、今も交流が続いています。
■ 法金剛院(京都市右京区)へ
代々、唐招提寺の長老が住職を務められている律宗のお寺。境内にあったナラノヤエザクラが枯死したので復活させたいという話が唐招提寺からもたらされ、植樹のお手伝いをしました。
平成24年(2012)、植えたばかりのナラノヤエザクラを観賞しました。
■ 正倉院展期間中のお茶席
平成14年(2002)の第一回から毎年奉仕しています。
■ 奈良公園のナラノヤエザクラ本数カウント事業
奈良公園室の協力を得て、2019年からスタートしました。プレートを付けながら、本数を数えていきます。
■ 短歌大賞
設立20周年事業の一つとして創設。全国から635首の応募がありました。大賞や優秀賞など、来たる4月23日の記念式典で発表する予定です。
■応援コメント
清楚で可憐なナラノヤエザクラを愛で、その普及を目指す奈良八重桜の会が、設立20周年にさいし、能「八重桜」の復曲(金春流)を志しておられます。その詞章を一読、いかにも奈良らしい秀作で、私もその復曲公演を心待ちにしています。
興福寺寺務老院 多川俊映
資金の使い道
復曲に100万円
上演に180万円
返礼品
CAMPFIRE手数料10%
「能「八重桜」を今に復曲 」
室町時代から現在までに作られた能は3千曲を超えており、大和(奈良県)を舞台とするものは約122曲あり、その中の「八重桜」は、春日明神へ参詣した臣下が、花守の翁から春日山の縁起を聞いた夜に水屋の明神が本体を現し、名木・八重桜を讃え舞を舞うという内容で、現在は上演されていません。奈良八重桜の会は、設立20周年を記念事業として能「八重桜」を今に復曲し、25周年を迎える令和8年、能と歴史的に関係の深い興福寺への奉納能として上演する予定です
復曲するには、残された内容に節及び型をつける必要があり、金春流の金春穂高氏に依頼しているところで、そのための資金として活用致します。
返礼品につきまして
ご支援方法-会員登録から
-会員登録完了後、ページのリターンを選んでご支援する
ご不明な方は奈良八重桜の会までご連絡ください!
問い合わせ先:
TEL090-1968-1920(担当:畭 はり)/FAX0742-33-0134
メール:naranoyaezakuranokai@gmail.com
協力機関の紹介
・奈良県
奈良県まちづくり推進局の奈良公園室を窓口として、奈良公園内での植栽活動やナラノヤエザクラにプレートを設置する活動等で協働するなどしています。
・興福寺
興福寺は奈良八重桜の最もご縁の深いゆかりの地であり、前貫首多川俊映様(現寺務老院)には名誉会員になって頂いている。毎年全会員に特別拝観証の発行して頂く。
・奈良国立博物館
庭園に奈良八重桜を植樹し、その一枝を天皇陛下に献上。毎年正倉院展協賛の呈茶席を実施し、来館者に奈良八重桜を紹介している。博物館講堂で講演会やコンサートを実施し、庭園の献上桜を紹介
・ならどっとFM
奈良市中心のコミュニティFMの中川直子社長が当会会員であることから、広報面でのサポートをいただいています。
・奈良女子大学
校章のデザインがなでしこと奈良八重桜というご縁から、重要文化財指定の記念館で映像作家保山耕一氏とピアニスト池口由紀子会員による「映像とピアノで愛でる桜」を実施。
■会員紹介
神部眞理子(仙台在住の内科医)
歴史小説「奈良八重桜」を発行。仏師運慶の生涯に迫った力作、晩春静かに花開く奈良八重桜も運慶の勇気を奮い立たせる重要な存在として登場。
決意表明・要望
私たちは、清楚で可憐、気品ある花姿、そして雅な王朝物語に彩られたナラノヤエザクラを、多くの方々に知っていただきたいとの思いから、市民レベルで活動してまいりましたが、今後の活動も持続的、効果的に進めていきたいと考えていますので、なお一層お力添えを賜りますよう、お願いいたします。
実行者情報
奈良八重桜の会
HP:http://www4.kcn.ne.jp/~kagiroi/yaezakura/naranoyaezakurahp.html
事務局/奈良市小西町23番地「花小路」内
TEL090-1968-1920(担当:畭 はり)/FAX0742-33-0134
メール:naranoyaezakuranokai@gmail.com
ページ制作サポート:株式会社パーシヴァル
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最新の活動報告
もっと見る復曲能《八重桜》プレイベント「能と奈良」
2023/03/12 08:28ナラノヤエザクラを題材にした室町時代の能《八重桜》。長い間上演されず埋もれたままでしたが、クラウドファンディングにご支援をいただいたおかげで、復曲が実現化しました。ありがとうございます。令和6年4月27日(土)、奈良春日野国際フォーラム「能楽堂ホール」での上演が決定! 現在、金春流シテ方・金春穂高様が諸準備にとりかかってくださっています。上演を1年後に控え、今春は、プレイベントを開催します。 第20回「奈良八重桜を愛でる会」(復曲能プレイベント「能と奈良」)令和5年(2023)4月22日(土)13:30開会(12:30開場)興福寺会館(国宝「三重塔」西隣)参加費:2,000円(学生1,000円)先着100名様第一部講演「《八重桜》を探す!」講師=法政大学名誉教授 西野春雄氏第二部能《八重桜》復曲の現状講師=金春流シテ方能楽師 金春穂高氏終了後、ナラノヤエザクラを観賞(希望者)※第一部講師の西野先生は、能楽の研究者で、特に廃絶曲の分野では第一人者。能《八重桜》の発掘者でもあります。第二部では、金春穂高様による復曲能の進捗状況、衣装についての説明や仕舞披露などもお楽しみください。お申し込みはnaranoyaezakuranokai@gmail.comFBページのメッセージでも承ります。お名前・ご住所・お電話番号を書いてお申し込みください。 もっと見る
ありがとうございました。
2022/04/06 21:27復曲能「八重桜」のために挑戦したクラウドファンディングは3月31日で終了しました。たくさんのご支援をありがとうございました。おかげさまで、夢が一歩近づき、会員一同喜びに包まれております。ただいま、お礼の品をお送りする準備にかかっております。いましばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。 もっと見る
上田会長、ならどっとFMに生出演
2022/03/11 22:54ご支援ありがとうございます。3月11日、奈良の地域密着コミュニティエフエム放送局「ならどっとFM」に、私どもの上田会長が生出演。ナラノヤエザクラについて熱く語りました。ご視聴いただいた皆様、どうもありがとうございました。http://narafm.jp/ もっと見る
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