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「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。(宇野常寛責任編集)

現在の支援総額

4,893,584

326%

目標金額は1,500,000円

支援者数

912

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2022/01/22に募集を開始し、 912人の支援により 4,893,584円の資金を集め、 2022/02/20に募集を終了しました

エンタメ領域特化型クラファン

手数料0円から実施可能。 企画からリターン配送まで、すべてお任せのプランもあります!

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「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。(宇野常寛責任編集)

現在の支援総額

4,893,584

326%達成

終了

目標金額1,500,000

支援者数912

このプロジェクトは、2022/01/22に募集を開始し、 912人の支援により 4,893,584円の資金を集め、 2022/02/20に募集を終了しました

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雑誌 の付いた活動報告

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(※本活動報告掲載の表紙および誌面イメージは制作中の仮のものです)宇野常寛です。この『モノノメ #2』のクラウドファンディングも、今夜0時で終了です。今回もたくさんの支援をありがとうございます。残り24時間を切りましたが、まだ間に合うので、興味のある人はぜひこのタイミングで購入をよろしくお願いします。さて、この『モノノメ』は、批評や寄稿文、小説やルポルタージュの載ったいわゆる「総合誌」です。ただ、普通の総合誌とちょっと違うのは、あまり時流に「ノッた」ものを扱わないことと、写真やイラストをふんだんに使っていることです。あまり時流に「ノッた」ものを扱わないのは、この雑誌が僕の提唱する「遅いインターネット」という運動の一環だからです。僕はタイムラインでシェアされる話題に大喜利的に答えてポイントを稼ぐゲームにも、そのゲームに勝つために「やらかした」人に石を投げることで誰かを貶めたくて仕方がない卑しい読者を集める政治家や言論人たちにも、軽蔑しか感じません。ただ、こういう人たちを批難するのではなくて、自分ならこうするという対案を示すことで対抗していきたい。そう思って僕はこの運動をはじめました。だから基本的にこの雑誌には、そういった相互評価のゲームに夢中になっている人は出てきません。そうではなく、タイムラインの潮目とは無関係に、本当に価値のある問題設定を試みている人たちだけを集めているつもりです。そして、写真やイラストをたくさん使用して、デザインに凝っているのはその読書体験が「楽しい」ものでなければいけないと思うからです。誰かを貶めて「あいつら」より自分はマシだ、「まとも」だという安心(思考停止)に対抗するために、僕は部屋で独りで雑誌を開いているだけで、誰とも比べることなく充実できる時間を提供したい。だから、人間同士のつながりではなくあえて人間とモノとのつながりの力を活用したい、そう考えたわけです。ただ……はじめてみて改めて分かったのだけれど、この路線で、この内容の雑誌を作るのは想像以上に制作費と時間がかかります。現場からはもっとここに予算を使いたいと突き上げられては創意工夫でなんとかして欲しいと頭を下げ、広告も集めようと思っては「特集がSDGsとかだったら……」と苦い顔をされるなんてことを繰り返しています。そういう背景があって、このクラウドファンディングにも頼って制作しているのが実情です。でも、どんなつらいことがあっても創刊号を手にとってくれた人たちが面白かった、他の雑誌では絶対にできないことをやっている、そう言ってくれたのを思い出して、がんばって作り上げています。いまはまだ、部数も出ないし、続けていくのがやっとの雑誌ですけれど、これを2年、3年と続けていけば必ず、この雑誌は少しずつ浸透して、タイムラインの潮目を読み合うゲームよりもずっと、こっちのほうが長い目で見れば本質的で、深いことを扱っているともっと多くの人に理解してもらえると信じています。それが10万人とか、100万人じゃなくても良い。今の何倍かの読者がいれば、もっともっとやりたいことを、スタッフにいい環境を作った上でじっくり創ることができるようになる。それが僕の野望です。この雑誌はまだヨチヨチ歩きをはじめたばっかりで、ちょっとした感染症や家庭内事故で亡くなってしまうような存在です。でも、全力で、じっくり育てていきます。今号でできなかったことは次号で、それでできなかったらまた次号で、少しでもたくさんかたちにしていきます。そうやって、最高のものを目指していくので、みなさんもじっくり付き合ってくれたら嬉しいです。すぐ古くなるようなことは扱っていないので、次の号が出る半年後まで、ゆっくり読んでください。(そしてもし、創刊号やこの第2号が面白かったら、周囲にオススメしてあげてください。)それでは、今日の夜0時まで、よろしくお願いします。このクラファンが最速かつ、特典付きで購入できる機会なのでぜひ、気になった人はここから購入してください。よろしくお願いします。


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こんにちは。PLANETS編集部の小池真幸です。おかげさまでたくさんの方々にご支援いただいている『モノノメ #2』のクラウドファンディングも、残すところあと1日となりました。既に800人近いみなさんにご支援いただいていますが、これだけ文章や写真のつまった雑誌をつくるためには、それなりのお金がかかるのもまた事実。この取り組みを次号、そのまた次号……と継続していくために、より一層、たくさんの方々にご支援いただけるととっても助かります。今回は、ちょっと一風変わった企画「[フォトエッセイ]走るひとたち|上田唯人、高山都、宇野常寛」の舞台裏について。(写真:久富健太郎)PLANETSが注力して取り扱っているテーマの一つに、「ランニング」があります。ただ、タイムや走行距離を伸ばす方法や、ダイエットのための効率的な走り方……といった内容は、一切扱っていません。気持ちよくて楽しい、日常生活の一部を彩るライフスタイルスポーツとしての、ランニングの可能性を探求しているのです。2018年10月に刊行した『PLANETS 10』では、“雑誌内雑誌”としてランニング誌「走るひと」とのコラボレーション企画を実施したり、学びのコミュニティ「PLANETS CLUB」では定期的にランニング関連のイベントを開催したりしています。(「走るひと」編集長・上田唯人さんと、自身も日常的に走っている編集長・宇野による対談「ライフスタイルスポーツとしてのランニング」はこちら)『モノノメ 創刊号』でも「[フォトエッセイ]高山都 走るひとり」という記事を掲載。モデル・タレントの高山都さんに、ランニング体験から見える風景について語っていただきました。(写真:久富健太郎)そうした背景も踏まえ、『モノノメ #2』に掲載するこの企画では、新しい「大人のあそび」としてのランニングのあり方を考えます。PLANETSでは、都市をもっと多様に、深く味わう方法を考えるプロジェクト「飲まない東京」をはじめ、いわゆる「飲む・打つ・買う」のような20世紀型の男性中心文化のオルタナティブとしての、新しい「大人のあそび」のかたちの模索を続けてきました。今回の企画も、その一環と言ってよいでしょう。「夜に集まって、都内でお酒を飲んで解散」ではないあそび方。朝6時半に渋谷に集合し、車で三浦半島に向かい、8時過ぎには三浦海岸駅付近に到着。たくさんの大根が干された気持ちのいい海辺で、少しおすそ分けなどもしてもらいながらランニング。山中の辺り一面に大根畑が広がる場所も通りながら、半島を横断してゆき、お昼過ぎには三崎漁港に到着。三崎名物のまぐろ丼を堪能し、帰宅後の楽しみに三浦の新鮮な野菜をお土産に買って、夕方過ぎには渋谷に戻る──そんな「大人のあそび」を、上田さんと高山さん、編集長・宇野の3人で堪能しています。(写真:久富健太郎)僕もアシスタント役としてついて行ったのですが、いろいろと新鮮な発見がありました。神奈川で生まれ育った僕にとって、三浦半島はわりと身近な行楽地。好きな場所ではあるけれども、電車・バスの乗車券とお食事券、お土産券がセットになった「みさきまぐろきっぷ」の印象がどうにも強く、正直にいえば「もう、しばらくはいいかな……」とやや食傷気味になっていました。もちろん、マグロは大好きで三浦半島のマグロ料理はとても美味しいのですが、やることが定型化されてしまっている印象を持っていたのです。しかし、今回の企画を通して、自分がいかに三浦半島の一面的な魅力しか知らなかったのか、大きく反省させられることになりました。朝ランニングという楽しみ方、新鮮な三浦野菜、壮大な大根畑……マグロだけではない、「大人のあそび」の場所としての可能性が、まだまだ三浦半島にはたっぷり秘められていたのです。(もちろん、マグロ料理は今回もおいしくいただきました)写真もふんだんに使ったリッチな誌面で、読み終えた後には思わず三浦半島に向かいたくなってしまう……そんな企画になっていると思います。僕も『モノノメ #2』が無事校了し、みなさんの手元に届けられたら、どこかに走りに行きたいです。(写真:久富健太郎)『モノノメ #2』のクラウドファンディングはこちらにて実施中です。いよいよ明日までです!(トップ画像撮影:宇野常寛)


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こんにちは。PLANETS編集部の小池真幸です。いよいよ『モノノメ #2』の発売時期、そしてそれ以上に校了時期が間近に迫ってきました。ここ数日はほぼ自宅に籠もりきりで編集作業に明け暮れていますが、首都圏でも雪をはじめ厳しい寒さが続く中、寒さが苦手な僕にとってはむしろ好都合。一歩ずつ着実に、読者のみなさんにお届けできる状態に近づいていることを噛み締めながら、そして雑誌ができあがる頃には春の足音が聞こえてくることを期待しながら、今日もキーボードを叩いています。……と言いつつも、「この繁忙期を抜けたらしたいことリスト」を頭の中で日々作り上げているのですが、その中の一つに、ベタながら「心おきなく映画を観にいく」があります。僕は観たい映画ができると、忘れないようにGoogleカレンダーに仮で「〜〜を観る」という予定を入れるようにしているのですが、立て込んでいる時期だと必然的に、その予定はどんどん後ろにスライドされていくことに。そして今、まさにそんな状態です。ということで、せめてもの慰み(?)に、昨年観てよかった映画を振り返ってみると、ある日本人監督の作品が二つも入っていると気づきました──米アカデミー賞で日本映画で初の作品賞候補入り、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞もあわせて4部門にノミネートされた『ドライブ・マイ・カー』を監督された、濱口竜介さんです。©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会個人的には、昨年公開された濱口さんの作品としては、最新作『偶然と想像』も昨年末に観てとても感銘を受けたのですが、その少し前に観た『ドライブ・マイ・カー』も圧巻でした。日本映画としては長尺の3時間があっという間に過ぎていく、とても上質な映画体験。それも、派手なアクションや手に汗握る展開で魅せるアッパー系の作品ではまったくなく、むしろ淡々と上質な画や会話、演技やストーリーを見せていく作品です。ただ、その感想をしっかりと言語化しきることができずにいたのですが、『モノノメ #2』に掲載予定のある企画によって、一気に視界がひらけた感覚があります。その企画とは、「[特別鼎談]「劇映画的な身体」をめぐって──『ドライブ・マイ・カー』から考える(仮)|宇野常寛×佐渡島庸平×濱口竜介」です。「宇野さん、濱口と話してみない?」──編集長・宇野とは旧知の間柄である、株式会社コルク代表取締役社長/編集者の佐渡島庸平さんから届いた一通のメールから、この鼎談は生まれました。なんと佐渡島さんと濱口さんは、大学の同級生だったというのです。『ドライブ・マイ・カー』を観て非常に感銘を受け、久しぶりに濱口さんと話したいと思った佐渡島さん。「せっかくだからこの作品についてより突っ込んだ話ができる人がいたほうが面白いし、濱口にとってもいいことなのではないか」と、編集長・宇野に声をかけてくれたのが、この企画の発端です。宇野と濱口さんは完全に初対面でしたが、挨拶もそこそこに、映画の核心に切り込む議論に突入。現代の情報環境と劇映画の射程距離、言葉と身体、村上春樹の女性表象、ショットの内と外、演技の「文体」の問題……一本の映画から汲み出せる思考をとことん搾り取った議論となりました。その盛り上がりをできるだけそのまま入れ込んだ、たっぷり2万字ほど、でもとてつもなく高密度な記事になっていると思います。『ドライブ・マイ・カー』についてはすでにさまざまな言説が出ていますが、そんな中でも特に深く/広い議論になったのではないでしょうか。個人的には、久しぶりに批評家・宇野常寛の本気を見たと感じました。『ドライブ・マイ・カー』をまだ観ていないという方は、まだまだ絶賛上映中なので、あらかじめ観ておくと、より一層記事が楽しめるのではないかと思います。僕は三人の議論を聞いて、自分がいかに表層的にしかあの映画を観られていなかったのかを痛感しました。『モノノメ #2』の制作が落ち着いたら、また観に行かなければ……という謎の義務感に駆られています。そういうわけで、心置きなく観に行けるよう、最後の大詰め作業をがんばります。『モノノメ #2』のクラウドファンディングはこちらにて実施中です。


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副編集長・中川です。東京ではひと月ぶりに雪が降りしきった夜も明けての3連休入り、いかがお過ごしの予定でしょうか。『モノノメ #2』のクラウドファンディングも残すところあと9日。本誌制作も大詰めに差しかかってきているところではあるのですが、ここに来てなんと……新企画の掲載が決定、しました……!本来であれば、そろそろ印刷所へのDTPファイルの入稿がするする始まっていなければオカシいタイミングであるにもかかわらず、「今のこの目次に、足りないものは何か?」という自問自答の模索を、ほんとうに最後の最後まで諦められないのが、この雑誌の制作の愉しくもしんどいところ。創刊号の「都市」特集につづき、対をなすようなアプローチでの「身体」特集は、関係各位のひとかたならぬ尽力によってボリューム的にもクオリティ的にも完全に目処がついたし、特集外の特別企画「47都道府県再編計画」や望外の縁で実現した『ドライブ・マイ・カー』鼎談なども取材のとれ高ばっちり。PLANETS CLUBの面々にも力を貸してもらった妄想企画「水曜日は働かない」なんて飛び道具まで持ち出して、連載陣のエンジンもかかってきた。もう、充分すぎるでしょ。この先、3号4号と続けていくんだし、仮に2号でやり残したことがあったとして、次で回収すればいいじゃないか──。そんな気分になりかけていたおり、宇野以下、編集部一同の心にどうしても引っかかっていたのが、「文学」成分でした。前号『モノノメ 創刊号』では、作家の浅生鴨さん書き下ろしの超現実的なもうひとつの戦後日本での日常の裂け目を描いた中編小説『穴』が誌面中央のモノクロページに独自の存在感を築いていたのだけれど、そんなふうに異彩を放ちながらも、「モノノメ」という紙の雑誌のコンセプトを、意外な角度から浮き彫りにしてくれる創作もの。その役割に相当するぴったりの案が、何度企画会議を重ねても見出せず、当初の校了予定ギリギリになっても台割の保留ページを埋められずにいたのです。その『モノノメ #2』が探し求めてきた最後のピースとしてようやく辿り着いたのが、イラストレーターの久保田寛子さんでした。久保田さんといえば、今年1月始まりの「ほぼ日手帳」のカバー「光を数える」を手掛けたことでも注目を集めるイラストレーターさんですが、前号掲載の『穴』でも挿絵を寄せていただいています。愛らしさと暖かみがありながら、どこか透徹した文明批評的な風刺性をもまとったその作風に出会えたことは、『モノノメ 創刊号』のアートワーク面での大きな達成のひとつでした。なので、立ち上げたばかりの「モノノメ」という紙の雑誌の空気感を確かなものに育てていくためには、やはり久保田さんのイラスト作品が、2号には無くてはならないのではないか。そんなふうに振り出しに戻るようにして、今度は久保田さん自身が制作してきたイラスト作品の世界観をより掘り下げる方向でのビジュアル中心の誌面企画が考えられないかと、改めて久保田さんご本人に相談を持ちかけてみたのです。そこで、さまざまな表現手法にチャレンジしてきた過去の作品リファレンスを見せていただきながら、「これは!」と思い至ったのが、近代日本を代表する児童文学作家・小川未明の短編作品「眠い町」にインスパイアされたという一連の版画作品群でした。世界を旅するケーという少年が、どんな人でも眠ってしまうという不思議な「眠い町」に立ち寄ってからの数奇な巡り合わせを描いたこの話は、青空文庫にも収録されています。「え? これで終わり?」というようなシュールな結末が印象的で、2011年の東日本震災で起きた原発事故後の情景とも重なってならなかったという久保田さんは、本作をモチーフとした版画の連作を作成し、2018年に京都で個展を行ったのだとのこと。そこで『モノノメ #2』には、このときの久保田寛子さんの版画作品と小川未明の原文テキストとの、時をこえたコラボレーション企画を掲載することにしました。久保田さんの作品歴の中でも、のちにzineとして発表した漫画作品『タコのくに』への着想源にもなったという物語とビジュアルの相互触発を、どんなふうに誌面に結実できるか。まさにこれから模索していくところなので、久保田さんのファンの方にも、ぜひ手に取って確かめてみていただきたいと思います。『モノノメ #2』のクラウドファンディングはこちらにて実施中です。


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こんにちは。PLANETS編集部の小池真幸です。クラウドファンディングで600人以上の方々にご支援いただいている『モノノメ #2』ですが、発売時期が間近に迫り、編集作業もいよいよ佳境に入ってきました。ただ、中には校了時期とのギリギリの戦いを強いられている企画もあるというのが現実です。だからといってアウトプットのクオリティに妥協するわけにはもちろんいかないので、一言でいえば、なかなかハードな毎日を過ごしている今日このごろ。納得のいくクオリティに仕上げて、読者のみなさんの手元に無事届けられたら、自分へのご褒美で何をしようか……疲れてくると、ついついこんな妄想に取りつかれてしまいます。そんな「ギリギリの戦いを強いられている企画」の一つが、今日ご紹介する「[特別企画]47都道府県再編計画──日本列島(再)改造試論|井上岳一×宇野常寛×田口友子」です。47都道府県再編──この文字列だけ見ると、なんだか荒唐無稽に思えるかもしれませんが、内容は良い意味で至って硬派。「いま、暮らしているこの街は○○県にあるのだけれど、実は職場も買い物に行く街も隣の県にある」「同じ県だけれど山脈を挟んだ沿岸部は別の国だと思っている」とか、そういうことって意外とありませんか?例えば、僕は神奈川県川崎市の西部で生まれ育ちました。「川崎出身」とだけ言うと、数年前に出た磯部涼さんの名著『ルポ川崎』で描かれているような、工場とヒップホップの街が地元なんだとイメージされるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。僕の出身である川崎最西端の麻生区という場所は、典型的なニュータウンでありベッドタウン。せいぜい数十年の歴史しかなく、よく言えば清潔で綺麗、悪く言えば無味乾燥な街並みが続き、工場やヒップホップは気配すらありません。交通状況を考えても、麻生区は小田急線沿線。『ルポ川崎』で描かれていたような川崎駅まではとても交通の便が悪く、同じ市内なのに電車で一時間かかります。川崎市民なのに、川崎駅より、新宿駅や渋谷駅のほうが、よっぽど身近に感じますし、訪れる頻度も圧倒的に多いのです。個人的な感覚としては、川崎出身というより、町田や登戸あたりまで続く小田急沿線出身というアイデンティティのほうが、圧倒的に強い。こうした、「この街とこの街、なんで同じ自治体の中にあるんだろう?」というねじれは、日本中の多くの地域にあります。そうしたねじれを解消するために始まったのが、この「47都道府県再編計画」。編集長の宇野常寛は言います──「この企画の出発点には、僕が常々抱いてきた、行政区分に対する違和感があります。今の行政区分は、人々の商業圏や生活圏、文化圏と合致していない──というか僕たちの生活実感と大きくズレているのではないか、と思うんですよ」。もちろん、実際に都道府県を再編しようとしたら、莫大な事務コストがかかるでしょう。ただ、この計画の目的は再編そのものではありません。行政区分にまつわる歪みを見直すことで、地方経済の行き詰まりや住民の生きづらさ、土地利用のあり方にまで踏み込んだ議論ができるはず。それも各論ではなく、それぞれの地域ごとの総合的なパッケージとして──そうした期待から始まった、いわば「搦手から攻めることで本質をあぶり出そうとする、地方改革論」なのです。ちなみに、かつて2015年に刊行した『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』内の企画「東京5分割計画」が着想の原点となっています。(画像:Pixabay)この計画を実施するにあたって、強力なパートナーの力も得ました。中心となって強力してくださったのは、これまで仕事で全国各地の地方行政に携わってきて、国内のたくさんの地域の実情に明るい、井上岳一さんと田口友子さん。この二人と宇野の三人で、「もしこの計画を実施するなら、どんな観点から考える必要があるか?」とひたすら論点を出し合っている座談会パートが、本企画のメインパートです。さらには、いくつかの都道府県で、実際に再編シミュレーションも行いました。具体的な中身は本誌にゆずりますが、ここでもまた、それぞれの地域に詳しい方々に協力いただきました。日本列島のさまざまな地域を縦横無尽に眺めていくこの企画。担当する僕は神奈川の出身で、東京か神奈川にしか住んだことがない人間です。必然的に、さまざまな地域について、必死でゼロに近いところから勉強しながら企画を進めていくことになる。これがめちゃくちゃ刺激的なのですが、同時にめちゃくちゃハードでもあります。これが冒頭で触れた「ギリギリの戦いを強いられている企画」の真意です……。ただ、ようやく少しずつ形になってきて、この戦いも出口が見えてきました。まだまだ気は抜けませんが、ほんとうに他では読めない(少なくとも僕は読んだことがない)、ユニークな企画だと自信を持って言えます。読者のみなさんに、これを読みながら自身のお住まいの都道府県や出身地の再編計画を妄想してもらうことを夢見ながら、今日も詰め作業に全力で取り組もうと思います。『モノノメ #2』のクラウドファンディングはこちらにて実施中です。