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「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。(宇野常寛責任編集)

現在の支援総額

4,893,584

326%

目標金額は1,500,000円

支援者数

912

募集終了まで残り

終了

このプロジェクトは、2022/01/22に募集を開始し、 912人の支援により 4,893,584円の資金を集め、 2022/02/20に募集を終了しました

エンタメ領域特化型クラファン

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「紙の雑誌」を続けることで、「ゆっくり」考える場を守りたい。(宇野常寛責任編集)

現在の支援総額

4,893,584

326%達成

終了

目標金額1,500,000

支援者数912

このプロジェクトは、2022/01/22に募集を開始し、 912人の支援により 4,893,584円の資金を集め、 2022/02/20に募集を終了しました

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こんにちは。PLANETS編集部の小池真幸です。

クラウドファンディングで600人以上の方々にご支援いただいている『モノノメ #2』ですが、発売時期が間近に迫り、編集作業もいよいよ佳境に入ってきました。

ただ、中には校了時期とのギリギリの戦いを強いられている企画もあるというのが現実です。だからといってアウトプットのクオリティに妥協するわけにはもちろんいかないので、一言でいえば、なかなかハードな毎日を過ごしている今日このごろ。納得のいくクオリティに仕上げて、読者のみなさんの手元に無事届けられたら、自分へのご褒美で何をしようか……疲れてくると、ついついこんな妄想に取りつかれてしまいます。

そんな「ギリギリの戦いを強いられている企画」の一つが、今日ご紹介する「[特別企画]47都道府県再編計画──日本列島(再)改造試論|井上岳一×宇野常寛×田口友子」です。
47都道府県再編──この文字列だけ見ると、なんだか荒唐無稽に思えるかもしれませんが、内容は良い意味で至って硬派。
「いま、暮らしているこの街は○○県にあるのだけれど、実は職場も買い物に行く街も隣の県にある」「同じ県だけれど山脈を挟んだ沿岸部は別の国だと思っている」とか、そういうことって意外とありませんか?

例えば、僕は神奈川県川崎市の西部で生まれ育ちました。「川崎出身」とだけ言うと、数年前に出た磯部涼さんの名著『ルポ川崎』で描かれているような、工場とヒップホップの街が地元なんだとイメージされるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。僕の出身である川崎最西端の麻生区という場所は、典型的なニュータウンでありベッドタウン。せいぜい数十年の歴史しかなく、よく言えば清潔で綺麗、悪く言えば無味乾燥な街並みが続き、工場やヒップホップは気配すらありません。

交通状況を考えても、麻生区は小田急線沿線。『ルポ川崎』で描かれていたような川崎駅まではとても交通の便が悪く、同じ市内なのに電車で一時間かかります。川崎市民なのに、川崎駅より、新宿駅や渋谷駅のほうが、よっぽど身近に感じますし、訪れる頻度も圧倒的に多いのです。個人的な感覚としては、川崎出身というより、町田や登戸あたりまで続く小田急沿線出身というアイデンティティのほうが、圧倒的に強い。

こうした、「この街とこの街、なんで同じ自治体の中にあるんだろう?」というねじれは、日本中の多くの地域にあります。そうしたねじれを解消するために始まったのが、この「47都道府県再編計画」。編集長の宇野常寛は言います──「この企画の出発点には、僕が常々抱いてきた、行政区分に対する違和感があります。今の行政区分は、人々の商業圏や生活圏、文化圏と合致していない──というか僕たちの生活実感と大きくズレているのではないか、と思うんですよ」。

もちろん、実際に都道府県を再編しようとしたら、莫大な事務コストがかかるでしょう。ただ、この計画の目的は再編そのものではありません。行政区分にまつわる歪みを見直すことで、地方経済の行き詰まりや住民の生きづらさ、土地利用のあり方にまで踏み込んだ議論ができるはず。それも各論ではなく、それぞれの地域ごとの総合的なパッケージとして──そうした期待から始まった、いわば「搦手から攻めることで本質をあぶり出そうとする、地方改革論」なのです。ちなみに、かつて2015年に刊行した『PLANETS vol.9 東京2020 オルタナティブ・オリンピック・プロジェクト』内の企画「東京5分割計画」が着想の原点となっています。

(画像:Pixabay


この計画を実施するにあたって、強力なパートナーの力も得ました。中心となって強力してくださったのは、これまで仕事で全国各地の地方行政に携わってきて、国内のたくさんの地域の実情に明るい、井上岳一さんと田口友子さん。この二人と宇野の三人で、「もしこの計画を実施するなら、どんな観点から考える必要があるか?」とひたすら論点を出し合っている座談会パートが、本企画のメインパートです。

さらには、いくつかの都道府県で、実際に再編シミュレーションも行いました。具体的な中身は本誌にゆずりますが、ここでもまた、それぞれの地域に詳しい方々に協力いただきました。

日本列島のさまざまな地域を縦横無尽に眺めていくこの企画。担当する僕は神奈川の出身で、東京か神奈川にしか住んだことがない人間です。必然的に、さまざまな地域について、必死でゼロに近いところから勉強しながら企画を進めていくことになる。これがめちゃくちゃ刺激的なのですが、同時にめちゃくちゃハードでもあります。これが冒頭で触れた「ギリギリの戦いを強いられている企画」の真意です……。

ただ、ようやく少しずつ形になってきて、この戦いも出口が見えてきました。まだまだ気は抜けませんが、ほんとうに他では読めない(少なくとも僕は読んだことがない)、ユニークな企画だと自信を持って言えます。読者のみなさんに、これを読みながら自身のお住まいの都道府県や出身地の再編計画を妄想してもらうことを夢見ながら、今日も詰め作業に全力で取り組もうと思います。

『モノノメ #2』のクラウドファンディングはこちらにて実施中です

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