はじめに
はじめまして、岡山県新見市にある株式会社いろりカンパニーです。このプロジェクトは、頭数の減少により存続が危ぶまれる日本最古(注釈)の蔓牛「竹の谷蔓牛」を保存するとともに、それにより日本が世界に誇る「和牛」を、将来起こり得る重大な危機から救うことを目的としています。
当社は、5年ほど前から新見市の特産品である「千屋牛」の生産をメインに畜産業をスタートさせましたが、途中から並行して「竹の谷蔓牛」を後世に残す取り組みも行ってきました。後述しますが、「竹の谷蔓牛」 は収益性は低いものの社会的価値は極めて高い、「地域の宝」と言える存在です。
今回のクラウドファンディングを通じて、まずは「竹の谷蔓牛」とそれを取り巻く「和牛」の現状を、少しでも多くの方々に知っていただきたいと思っています。その上で、皆さまのお力をお借りできるなら、「和牛」の救世主になるかもしれない「竹の谷蔓牛」を、何としても後世に残していきたいと考えています。ご理解・ご支援を賜りますよう、よろしくお願い致します。
※注釈…1948年に京都大学の羽部義孝博士 が著した「蔓の造成とつる牛」による
いろりカンパニーと「竹の谷蔓牛」
株式会社いろりカンパニーは、2016年に田中実業株式会社(岡山県新見市)の子会社として設立されました。田中実業の主力事業は石油・ガスの販売ですが、過疎化が進む地域の人口減少や脱炭素社会へ向けた世の中の大きな流れの中で、以前よりその需要は少しずつ減少傾向にありました。そのため、これに代わる 新たな柱となる事業を模索していたのです。そんな中、新見市の特産品でもある千屋牛(ちやぎゅう)の生産農家が減少しており、生産頭数も減ってきている現状を知ることになりました。
既存の石油・ガス事業は、お金を新見市外に流出させてしまう商売ですが、千屋牛を生産し全国に販売するような事業にできれば、逆に新見市に外貨をもたらすことができます。さらに後継者のいない農家さんの受け皿となり若者の雇用を生み出せれば、限界集落や耕作放棄地などの地域問題の解決にも貢献することができます。農業分野への参入を目的としたいろりカンパニーの立ち上げは 、田中実業の90年近い歴史の中でも社運を賭けた大きな挑戦となったのです。
当時社内には、畜産業の経験がある者は一人もいませんでした。しかし、千屋牛の生産農家さんや地域の人たち、さらには行政、農協など、多方面から協力をいただき、耕作放棄地、山林、牛舎、空き家などを借り受け、徐々に牧場として整備してきました。飼育に関しても、母牛の購入からスタートし、種付け、出産など苦労の連続でしたが、ようやく畜産業が体を成してきたころ、「竹の谷蔓牛」の存在を知ることになります。
高値で取り引きされた「蔓牛」とは?
1本の蔓植物に同じような実が多数つくように、牛の世界でも優秀な祖先からは特性の良く似た優れた牛が多く生まれます。これを「蔓牛」と言います。「蔓牛」は、体格が大きく肉量も豊富で、資質・発育・繁殖などに優れ、外来種との交配がない純血種です。
中国地方では古来より製鉄業が盛んで、資材等の運搬に多くの牛が飼養されていました。新見市においても、山間の集落・新郷竹の谷地区にて製鉄業で財を成した豪農の難波氏によって良牛が買い集められ、周辺の農家に飼育させていたそうです。そして1800年頃より、優良系統の「蔓牛」が創生されました。その後も、近親交配や改良が重ねられ系統の維持・固定が行われた結果、岡山系黒毛和種の原型と言われる「竹の谷蔓」が誕生したのです。
「周助蔓」(兵庫県美方郡 )、「岩倉蔓」(広島県比婆郡)とともに日本三大蔓と呼ばれていますが、中でも「竹の谷蔓」が最も古いと言われています。これらの系統は常に他の牛より高値で取り引きされ、全国に広がって現在の和牛の礎となったのです。
牛肉の格付けがもたらしたもの
状況が一変したのは、牛肉の格付け制度が導入された1960年代。この格付けは、1頭から取れる肉の量を表した「歩留等級」 と脂肪交雑等で評価される「肉質等級」により、最高級のA5から最低のC1まであります。
これにより農家では、利益が見込める黒毛和種への転換が進み、肉質や増体に優れる系統間での交配により、サシの入り具合などを極めたブランド和牛が生産されるようになりました。A5ランクに象徴される高級和牛は、国際的にも高い評価を得ています。ただ問題は、牛肉の格付けは、美味しさの評価ではないということ。最近では、消費者のニーズも多様化しており、健康志向によりサシが少ない赤身肉を好む人も増えてきています。
さらに日本の畜産業を根本から揺るがす重大な問題も表面化してきています。市場での評価を高めようとするあまり、遺伝的に近い種の間での掛け合わせが進み、その弊害として奇形や繁殖能力の低下などが増加しているのです。このままのやり方で和牛の生産を続けていくと、遺伝的多様性の低下による改良の限界や、経済的な価値や環境の変化への適応力の低下、さらには種の存続の危機が懸念されます。
希少種「竹の谷蔓牛」を未来に繋げていく
霜降り肉が全盛の現代において、「蔓牛」は赤身が強くサシが少ないため市場では評価されなくなり、それに伴い生産も徐々に減っていき、いつしか「幻」と言われる存在になっていました。ところが「竹の谷蔓牛」だけは、ひっそりと復活を遂げていたのです。それは、岡山県新見市の山奥に住む1人の牛飼いの、「新見の宝を残したい!」という強い使命感と、長年に渡るたゆまぬ努力の賜物でした。
いろりカンパニーでは数年前より、この牛飼いから譲り受けた「竹の谷蔓牛」を飼育しており、現在は5頭にまで増やしています。一般的な牛に比べて、種付けが悪かったり、肥育に時間を要したりと、労力も経費も余計にかかりますが、この牛たちを残していくことが、崩壊の危機にある和牛の遺伝的多様性を守る可能性に繋がると信じ、踏ん張っています。ただ、肉の価値よりも生産コストが大きく上回る現状で、これを持続可能な取り組みにしていくための方法については、今でも模索している最中です。
このプロジェクトで実現したいこと
今回のクラウドファンディングを通じていろりカンパニーでは、 日本最古の蔓牛「竹の谷蔓牛」はもちろん、日本の畜産業を揺るがしかねない和牛を取り巻く重大な問題についても、まずは広く全国の皆さまに知っていただきたいと考えています。その上で、「竹の谷蔓牛」を後世まで残すことの必要性をご理解いただき、ご支援・ご協力をお願いしたいと思います。
「竹の谷蔓牛」の飼育には、後継候補となる優れた生体を、ストレスの少ない住空間で飼育するための厩(まや)の整備なども予定していますが、現時点ではまだ目処が立たないため、今回このプロジェクトで集められた資金については、 日常的に必要となるエサ代を中心に充てさせていただきます。
いろりカンパニーでは、将来に向けて「竹の谷蔓牛」の種を保存していくために、少なくとも種(雄)牛1頭と
雌牛2頭を引き継いでいく必要があると考えています。半永久的に続くこの3頭分のエサ代の内、今回のクラウドファンディングでは、 1年相当分(約80万円)を含む100万円を目標金額として設定します。なお、目標金額に達しない場合でも、集まった資金については当面のエサ代として有効活用させていただきます。資金(100万円)の使い道
エサ代:約70万円 ※「竹の谷蔓牛」3頭分×1年間
広報費:約10万円(地域メディアや関連SNSによりクラウドファンディングをPR)
手数料:約20万円 (キャンプファイヤー手数料17%+税)
※資金が目標金額に届かなかった場合にも、差額を自己負担するなどして計画を実行いたします。
リターン(返礼品)のご紹介
リターンには、「竹の谷蔓牛」の肉もご用意させていただきます。程よく引き締まった赤身には、サシはほぼ入っておらず、噛めば噛むほど肉本来の味わいが楽しめます。ほとんど市場に出回ることのない貴重な肉を、この機会に是非ご賞味ください。
※9月より随時発送(冷凍)を行う予定です。
■支援額 5,000円
○「竹の谷蔓牛」の肉150g(切り落とし/部位はおまかせください)
※冷凍便にてお届けします。
〇いろりカンパニーの「竹の谷蔓牛」マスコットキャラクター「いぶっきー」のストラップ(1個)
■支援額 10,000円
〇「竹の谷蔓牛」の肉150g(モモ焼肉)
※冷凍便にてお届けします。
〇いろりカンパニーの「竹の谷蔓牛」マスコットキャラクター「いぶっきー」のストラップ(1個)
■支援額 30,000円
○「竹の谷蔓牛の肉」450g(サーロインステーキ150g・上ロース焼肉150g×2)
※冷凍便にてお届けします。
〇新見市特産の神代和紙で作ったポチ袋(2枚入)
〇いろりカンパニーの「竹の谷蔓牛」マスコットキャラクター「いぶっきー」のストラップ(1個)
■支援額 100,000円
○「竹の谷蔓牛」の肉900g(サーロインステーキ150g×2・上ロース焼肉150g×2・モモ焼肉150g×2)
※冷凍便にてお届けします。
〇新見市特産の神代和紙で作ったコーヒーフィルター(2枚入)
〇いろりカンパニーの「竹の谷蔓牛」マスコットキャラクター「いぶっきー」のストラップ(1個)
実施スケジュール
2022年4月下旬 クラウドファンディング終了
2022年9月初旬 リターン発送開始
募集方式:All-in方式
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最後に
まずはここまで読んでいただいたことに、いろりカンパニー一同、心より感謝致します。「竹の谷蔓牛」を後世に残す今回のプロジェクトについて、ご理解いただけたものと思っております。
私たちはずぶの素人から畜産をスタートしましたが、生き物相手の商売は、24時間・365日、年中無休の大変な苦労を伴います。さらに市場の状況により価格も変動しやすいため、安定した経営をしていくのは至難の業です。この場をお借りして、全国の多くの先輩畜産業者の皆さまには、心から敬意を表したいと思います。
「竹の谷蔓牛」を保存していくことは、このような全国の和牛農家さんを守る取り組みでもあり、それはつまり日本が世界に誇る「Wagyu」の価値を守る取り組むにほかなりません。現状を放置して取り返しがつかなくなる前に、少しでもこの取り組みを前に進めたい!これが私たちいろりカンパニーの願いです。
現在はコロナ禍ということで、大変な思いをされている方も多いと思います。このような状況下でのお願いとなり、心苦しい気持ちもありますが、よろしければご支援を賜りますようお願い致します。金銭的な支援が難しい方につきましても、より多くの方にこのプロジェクトを拡散していただけると幸いです。
一般的な牛に比べて、竹の谷蔓牛の種付けが悪く、肥育に時間を要したりと、労力と経費が余分にかかるのは育てる人のスキルの問題なのではないですか? また、一般的な市場で評価されないからお金が足りないのであれば、直接飲食店に売るなどする努力はされているのでしょうか? 文章からは、全く商品価値のないけど貴重な牛だから残したいくらいにしか読み取れません。