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2022年1月15日に起こったトンガ沖の海底火山の噴火。日本でも大きく取り上げられたニュースなので知っているという方は多いでしょう。現在も、各国が義援金を集めたり、自衛隊などによって支援物資を届ける活動が行われています。
しかし、被災地の具体的な被害状況があまり上がってきていないのは不思議に思いませんか。実はこれは、日本だけが報道していないというわけではありません。
今回はその理由と、現在の状況についてお話ししていきます。
全土で通信障害。ロックダウンで人も情報も遮断
実は今、地震の影響によりトンガで唯一のインターネットの海底ケーブルが損傷し、全土で通信障害が起こっています。
現在は、衛星を飛ばして一部通信ができるようになったものの、これもかなり限定的で、災害から1ヶ月以上経過した今も全くネットが使えない地域もかなり多くあるようです。
私は、個人的に現地(トンガタプ島)に住む日本人の方とFacebookメッセンジャーでやり取りをしていますが、現状としてはテキストは送れるけれど写真は無理だと言われました。
さらに、2/2からはコロナによるロックダウンで、外からは人が全く入れない状況です。
私の住む地域でも、2019年の台風15号により、通信障害が起きて丸1日インターネットが使えなくなったことがありました。幸い次の日には復旧しましたが、その時に台風被害について取り上げているメディアはほとんどなく、自分たちの苦しみが誰にも知られていなかったことに強い憤りや孤独感を感じたことを覚えています。
私はたった一日でも辛かったのに、トンガでは1ヶ月以上もそんな状況が続いています。現地の人たちは相当な不安を抱えていることでしょう…。
まもなく復旧されると言われているので、本格的に環境が整ったら、詳細な被災状況がわかってくるかと思います。
海底通信ケーブルとは?
さて、少し前のもの(1月28日)になりますが、ロイター通信がこの海底ケーブルの損傷と復旧作業について詳しく書いた記事を見つけましたので、そちらを参考に、現在の状況を解説していきます。
原文はイラスト付きでかなりわかりやすいので、よろしければあわせて見てみてください。
>>The race to reconnect Tonga / REUTERS GRAPHICS
南太平洋のトンガは、1月15日のフンガ・トンガ・ハアパイ火山の大噴火により、光ファイバーをつなぐ海底通信ケーブルが切断され、世界と断絶状態に陥りました。通信障害は災害後の支援活動に大きな支障をきたしています。
トンガの海底通信ケーブルは1本のみ
フィジーとトンガを結ぶ827kmのケーブルは、世界を結ぶ436本の海底ケーブルのひとつです。2013年に1,500万ドルをかけて敷設されたものです。
海底通信ケーブルは、大きさや構造はさまざまですが、だいたい庭のホースの直径くらいです。比較的細いケーブルですが、中心部の光ファイバーケーブルを保護するために何重もの層があります。
何重にも保護され、事故の起こりやすい場所を避けているにもかかわらず、通信調査会社テレジオグラフによると、毎年平均して100件のケーブル障害が記録されているといいます。
ケーブルの損傷は、船舶の錨や漁船のトロール船によるものが多く、地震などの環境要因によるものもあります。
故障はよくあることで、通常、ほとんどのトラフィックは別のケーブルに迂回することになります。しかし、トンガの場合、国土を結ぶケーブルは1本だけです。また、環太平洋火山帯に位置し、地震や火山噴火の危険性があるため、さらなるリスクがあります。
海底ケーブル復旧には時間がかかる
ケーブル復旧のため、修理船「CSリライアンス」が現地に向かいました。同船は1月20日に約4,700km離れたパプアニューギニアのポートモレスビーを出発し、1月30日に現地に到着。作業には数週間かかる見込みです。
トンガと世界を結ぶ電話回線は再接続され始めていますが、インターネット接続の完全復旧には1カ月以上かかると見られています。
衛星経由での通信が限定的に再開
ネットワーク監視会社Kentikによると、同国の大手通信事業者が衛星経由で世界のインターネットに接続できるようになったのは、火山噴火から5日後のことでした。
衛星通信が限定的に利用できるようになったことで多少は緩和されましたが、一部の離島では依然として通信が遮断されたままであり、困難な状況が続いています。
また、火山灰が国土を覆っているため、衛星電話の使用にも影響が出ています。一部の人々は、ダイヤルアウトしかできず、電話を受けることができないと報告されています。
Kentik社のネットワークアナリストであるDoug Madory氏によると、衛星を使ったインターネットの容量には大きな制約があり、太平洋地域での衛星サービスは、カバーエリアが広大で人口が比較的少ないため、高価になるとのことです。
海底ケーブルはどうやって修理する?
光ファイバーケーブルで送られた光パルスは、通常、反対側の端まで届きます。しかし、光ファイバーが切れていると、光パルスは跳ね返り、その時間を測定することで、切れた箇所を特定することができます。
ただし、火山の爆発や津波でケーブルの上にある海山が移動したり崩れたりした場合、その位置を特定したり回収したりするのは非常に困難だそうです。
損傷部分を特定したら、深海のフックを下ろし、ケーブルを2つに切断します。ケーブルの一端はブイに固定され、もう一端は甲板に持ち込まれ船上で修理されます。
光ファイバーケーブルの修理は簡単ではありません。技術者がグラスファイバーを接続し、接着剤を使ってケーブルの新しい部分を貼り付けます。この光ファイバーの接続には最大で16時間かかり、修理作業の中で最も重要なポイントになります。
接続が完了したら、ケーブル同士をくっつけ、圧力や環境によるダメージに耐えられるよう、何重もの保護膜で包みます。
その後、船上でケーブルを結合し、海底に静かに降ろします。
ROV(遠隔操作車)が海底に降り立ち、ケーブルの点検や埋設作業を行うこともあるそうですが、一定の深さまでしか作業ができないとのことです。「CSリライアンス」の場合は、最大2,500mまで潜航可能です。
インターネットは今週復旧予定
現地在住の方の情報によると、インターネットは今週(2/14の週)には復旧されてくるとのことです。ただし、2/17時点では、まだ復旧の一報が入ってきておりません。ネットが開通すれば、より多くの情報が入り、被災状況も明らかになってくるでしょう。
一日も早い復旧を願い、今私たちができることを進めていきたいと思います。
引き続き、応援のほど、どうぞ宜しくお願い致します。