国連子どもの権利委員会による本審査が、1月16日~17日に行われました。
日本政府からは、外務省・法務省・厚生労働省・警察庁・内閣府が出席し、国連子どもの権利委員からの厳しい質疑応答を受けました。
民間からは、数十名のNGOや個人がジュネーヴに渡り、パレウイルソンの会場を埋め尽くしました。
審査の冒頭、サンドバーグ委員が日本政府に述べた言葉には、たいへん重要な意味が込められていました。
「日本は世界で最も強い経済力をもっている。」
「しかし子どもに関しては、他国とまったく異なる課題に直面している。」
「NGOからの報告を聞き、私たちは心を揺るがされた。」
「子どもは激しい競争に巻き込まれ、機会を与えられていないのではないか。」
「子ども時代に自分を受け入れてもらえず、対人関係をつくれていないのではないか。」
多くの日本人は、日本が素晴らしい国だと認識しています。
人権と向き合ってきた委員たちも、日本を経済的に豊かな国だとは認めています。
しかし、日本は自分らしく生きることにおいては難しい国だという、共通認識を持たれているのです。
私たちのほかにも、民間のNGOや個人が、40以上のレポートを国連に提出しました。
私たちに共通するのは、日本の子どもが権利を守られていないことに、強い危機意識をもっていることです。
そうした同志とともに、1年間かけて、子どもの権利委員に力いっぱい訴えることができたことを誇りに感じます。
なかでも、条約第12条の「意見表明権」の解釈において、CRC日本はリード役を果たしてきました。
離婚後の親子分離、児相による一時保護、代替的養護、貧困など、子どもを取り巻くすべての問題は、一つの課題に行きつきます。
それは、大人が子どもの目線に立って声を聴けていないのではないかということです。
子どもは無条件に自分を受け入れてもらう体験を経て、初めて充実した子ども期を経ることができます。
負の影響は連鎖すると言いますが、私たち大人の多くも、受容的ではない環境で子ども期を過ごしてきたかも知れません。
いま様々な課題が表面化し、日本人の子どもとの向き合い方や、基本的な人権意識が問われているのです。
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日本政府および民間団体から国連に提出された書面は、国連のサイトに出そろいました。
CRC日本が提出した3つの書面も、すべてアップされています。
こちらのURLから「Info from Civil Society Organizations」を選択し、CRC Japanと名前の付いた3つのファイルになります。
日本政府の最終回答書も提出され、あとは審査結果を待つのみとなります。
CRC日本の報告会は、3月21日に都内で開催予定です。
ぜひご来場ください。