
長年「嘘をついているわけではない」と自分に言い聞かせながら、数えきれない場面で、自身のセクシュアリティについて誤魔化してきました。2018年杉田水脈・国会議員の同性愛者差別記事に対して、これ以上黙っていては、私の葛藤はなかったことにされてしまうと、公の場で反論しました。
カムアウトは、自分でも予想しなかったほど身体に変調をきたす負担となりました。それ以前の自分との付き合い方ができなくなり、私のこれまでとは何だったのか自分が分からなくなる経験でした。
そんな私が救われたのは、パフスクールの皆さんが、私自身が忘れてしまっていたような体験談を聞く場を設けてくれ、かつての私を苦しめた困難に現在でも悩まされている方や、日本社会での性的マイノリティ女性たちの生き難さを共有しようとする人たちと出会えたからです。閉ざされていた私を解放してくれたのが、パフスクールの皆さんの活動でした。
誰にも自分の想いを伝えられず、だからこそ一人とり残されているかのように感じている方が、まだいるかもしれない。〈わたし〉もまた世界の中で共に生きている、そんな物語を伝えてくれる『Lばなし』への支援を是非ともよろしくお願いします。
岡野八代さん(政治学者、同志社大学教授)