皆さま、こんにちは。
初めまして、今週の記事を担当します、佐賀県海外使節団OBの池之迫為敦(いけのさこなつる)と申します。昨年の3月に本プロジェクトの7期生として渡米させて頂きました。
今日は自己紹介を兼ねて、僕自身の本プロジェクトでの体験談等をOBOGの声として投稿させて頂きます。
まずは簡単に僕の自己紹介から始めます。
〇略歴
2014年 弘学館高等学校卒
2015年 東京大学理科1類入学
2017年 東京大学農学部生命化学・工学専修進学
現在は食品分野の研究室への配属を希望して、それに備えた学習を行っています。
僕が佐賀県海外使節団に応募した理由は自分の視野を様々な形で広げたいという思いが強かったからです。というのも、僕自身が元々自分の知らない分野の方々と話す機会を得ようとしない人間だったので、様々な分野の学生を集めて、アメリカの起業家などの方々からフロンティアスピリッツや企業理念を学ぶというこのプロジェクトは、自分をより大きくステップアップさせるという観点からとても魅力的に思えたからです。
渡米全体を通して僕が最も印象に残ったことは、分野間の垣根を取り払うことで新しいものを創り出そうという姿勢が多くの訪問先で見られたことです。例えば、スタンフォード大学では、研究室の内部が外からよく見えるようにした上で興味を持った他の分野の研究者が気軽に入っていけるような状態を維持しておくなどの工夫が見られました。大学以外の企業でも、個々人のデスクを設置せずに自由席にするなど、人と人が接する機会を増やそうとしていました。
こうした動きは近年の日本の企業でも取り入れられています。例えば、先日僕が見学した日本のある有名食品メーカーの研究施設でも、個々人のデスクを設置しない、建物を六角形にすることで廊下の角の死角をなくして気軽に別の部署に出入りしやすくするなど、異なる分野の人同士の接点を増やす努力をしていました。
それぞれの一つの分野を突き詰めてきた今日において、一分野の研究に完結していては新しいものを創り出すことは難しいです。従って、こうした企業や組織が異なる分野の視点や手法を取り入れることを推進して、今までにない新しいもの創出しようとしているということを感じました。
写真は、アメリカの「ハウス食品」を訪問した時のものです。日本と異なり、多民族国家でもあるアメリカでどのように成功させているのかを学ばせて頂きました。
さて、ここまで渡米を経て感じた他分野との交流の重要性について書いてきましたが、僕自身もこれからそうした環境に身を置くことになります。僕が現在興味を持っているのは食品分野の中でも、食品因子が遺伝子にどのような影響を与えるのかを研究する「ニュートリゲノミクス」という分野です。「ニュートリ」はnutrition(栄養)、「ゲノミクス」は簡単に言うとゲノムの全解析という意味で、この二つを合わせて「ニュートリゲノミクス」と言います。例えば、コーヒーを飲んだ時にカフェインなどの成分がどのような過程を経て、どのような遺伝子が発現し、最終的にどのような影響を身体に及ぼすか、というような研究を行っています。こうした分野で新しい研究素材を見つけようと思うと、最終的には食材以外からの栄養成分を見つけなくてはいけない日が来ると思います。そういった時に、例えば製造ラインの人と交流があれば、普段は製造の過程で処分する卵殻など不可食部などの新たな発見の糸口を見いだせます。
佐賀県海外使節団ではこうした他分野との交流の重要性以外にも多くのことを参加した学生に与えてくれます。そして、僕自身が体験したこと以上の8期生のメンバーには得て欲しいと思っています。
大きな目標と高い意識を持った佐賀県海外使節団8期生が、アメリカでより良い研修をできるように、皆さまの暖かいご支援をよろしくお願いします。
文責 池之迫為敦(7期)