はじめて竹田朋子という女優を知ったのは、知人でもある岸本景子監督作品「ある夏の送り火」をシアターセブンで鑑賞した時のことだった。竹田朋子演じる末娘を失った悲しみから立ち直れない主人公の姿に最後まで釘付けになったことを今でも覚えている。岸本監督の演出もさすがだが彼女の演技を見て「いつかきっとご一緒したい」と思い、その後一度梅田で食事をしながらオファーしたのだが、気持ちを伝えただけで具体的な脚本どころか、企画すら立ち上げっていない状況であった。
その後私の諸事情からしばらく映画製作から離れ、数年後の2021年に久しぶりに参加した48HourFilmProjectでようやくご一緒したのだった。
48時間でシナリオ制作も撮影もこなすイベントでもあるため、現場はかなりバタバタであったが、そんな中においても彼女は落ち着いて演技をこなし、私の曖昧な演出にも見事に答えてくれたこともあり、私は数年ぶりとは言えますます心を惹かれていった。
そしてついに本作「霞晴レル」において彼女をヒロインとして正式にオファーするに至り、彼女もまたそれを快く引き受けてくれた。
正直ワクワクが止まらない。
クランクインをこれほど待ち遠しいと思えるのは初めてかもしれない。企業支援、そしてファンド支援によりしっかりと作品制作を行って、彼女をスクリーンに映し出したいと思っている。
「霞晴レル」監督/奥本はじめ