私たちNPO法人Reジョブ大阪は、毎月月刊誌『脳に何かがあったとき』を出版しています。
(これ、昨日発注した四月号の表紙です)
インタビューをした人のほとんどが、自分が当事者になるまで、この障害を知らなかった。聞いたこともなかったといいます。
例えば「あなたはインフルエンザです」と言われても、「何それ?」とはならないでしょう?
「あなたの手、骨折しています」と言われても、「骨折?何それ?」とはならないし、さすがに手が痛いとどうなるかは想像できるじゃないですか。
でもこれが「失語症」だと分からないんです。しかも、分からないことが分からない時もあるんです。それが言葉の障害なんですね。
ご家族が障害を持った場合は、家族さんも「何それ?」という感じになりますが、家族さんが大変なのは、退院したあと、聞いてない、知らないのに、暮らしが始まることです。
そんな体験をされて『失語症からの言葉ノート』を作った能勢さん。
このクラウドファンディングのリターンにもなっています。
能勢さんから、このノートの紹介文が届きました。
失語症の症状が出たら真っ先に手に取ってほしい書き込み式ノートです。発症から何年か経っていても効果はあります。失語症だけでなく、認知症で言葉が出にくくなったかた、高齢のかたにもご愛用いただいています。
バラバラになってしまった(あるいは接触が悪くなってしまった)言葉の「意味」と「音」をつなげるためには、リハビリ訓練の時間だけでなく、ふだんから少しでも多く話したり聴いたり、読んだり書いたりすることが大切です。そんな機会を増やすためのコミュニケーションツールが、このノートです。絵を指しながらおしゃべりする、思わず話したくなる。ひとりの時間にも何か描きこんで色を塗る、音読する。毎日ノートを開いて「声と手を使う」ことで、必ずやお役に立てると思います。
このノートは、身近な暮らしの10シーンで構成されています。食卓の上から部屋の中、家の中、家の外、海外へ。食べ物の名前から名詞、動詞、形容詞、文章へ。現在から過去、未来、地図や時間の概念へ。1シーンを1週間ぐらいかけて少しずつ進めるように考えられていますが、使い方にルールはありません。パラパラ見て好きな絵から始めるかたも多いです。
●いつもシーン9「旅行する」を開いて、今までに行った海外の思い出を話すのが日課です。日常的には話せないことも多いのに旅行の話は不思議と言葉が出やすいです。
●このレベルは卒業と思っていたシーン1に戻ったら、2か月前は苦労してやっと書き込んだ文字が、ほぼ普通に書けて、その喜びは大きかったです。復習することで自分の回復が実感できます。
●シーンに関連する実際の写真をプリントして貼るようにしています。食べ物、家族、旅行先など増えていく写真を見て楽しそうにしています。
●シーン8「子供の頃」を見て、井上陽水の「少年時代」を歌い出したので、家族みんなで大笑いしました。息子がギターを持ってきて、家族で大合唱、久しぶりに楽しい気持ちになりました。
当事者、ご家族、言語聴覚士の創意工夫によって、いろいろな可能性が広がるノート、それが『失語症からの言葉ノート』です! ホームページの後半にある「ためし読み」では全ページ公開していますので、ぜひ見てみてください。
さて、本番の配信動画ですが、10組の当事者の方たちから、続々届いています。
そのうち、『にほんごがこんなふうにみえたのよ』の著者、失語症の山﨑明夫さんのメッセージを、失語症のある梶彰子さんが朗読するのですが、その梶さんから短いメッセージが届きました。どうぞ、ゆっくり聞いてみてください。
「突然こんなことになったと家族や友人に伝えたいのに、それができないのが失語症者のつらいところです」
失語症動画配信は、4月24日13時開始です。
まずは、NPO法人Reジョブ大阪のYouTubeチャンネルの登録を!