今回の大和楽の造りに関しては以前の活動報告でも少し触れましたが、今日は特に大事な原料の酒米についてお話しようと思います。
昔の大和楽は兵庫県産の山田錦を使用して造っておりましたが、今回は愛媛県産のしずく媛を精米歩合60%にして使います。
日本酒好きの人には分かると思いますが、一般的に酒造好適米というとまず思い浮かぶのが山田錦・雄町・五百万石・美山錦あたりだと思います。
愛媛県では以前から松山三井(まつやまみい)という準酒造好適米(食用・酒造どちらにも使えるお米)が主流でしたが、その松山三井からカルス培養というバイオテクノロジーの技術を用いて開発したのがしずく媛です。
ちなみに「しずく媛」の品種名には愛媛のお米から美味しい愛媛の酒のしずくが生まれるように、という願いが込められて付けられたそうです。
しずく媛は2007年から栽培が始まった比較的新しい酒米なのであまり有名ではないかもしれませんが、米の心白発現率が高い=でんぷん質が多く糖化しやすい、タンパク質含有量が少ない=雑味となる成分が少ない、という性質を持っているので酒造りにはとても適しているのです。
しずく媛を使ったお酒の特徴は旨味があり、やわらかい酒質になるという事から宇和の優しくて美味しい軟水と相性が良く、さらに米どころである蔵のある西予市で多く栽培されているので、まさに宇都宮酒造の基本理念でもある「宇和の水、伊予の米と技とで楽しめる地酒を造る」 を体現できると思い、原料として使用する事を決めました。
新生「大和楽」はただ単に麴室の改修だけでなく、原材料から造りの細部に至るまで、どうしたら皆さんに「美味しい!!」と言っていただける酒造りができるかという事を綿密に話し合って計画している一大事業なので、是非ご期待いただければと存じます。