子どもの自殺が毎年多い9月になる前に、教育に関わる責任としてプレスリリースを行いました。
子どもの自殺が多い、9月の前に読んでほしい
今の学校がつらい子にも、他の育ち方、他の教育、他の学校があることを伝えたい
東京サドベリースクールは、教育に関わる責任として、子どもの自殺が多い9月の前にプレスリリースを行います。
全ての大人は元子どもとして、現子どもの皆さんは周りの人達のために、自分にできることをしていきませんか?
毎年、1つの学校の全生徒以上の子ども達が自殺している
2023年3月、厚生労働省による小中高生の自殺者数年次推移にて「子どもの自殺、過去最多」という衝撃の発表がありました。統計を取り始めた昭和55年以降、初めて500人を超えての514人(1)です。
514人というのはすさまじい人数といえます。
調べたところ、小中高校すべて合わせた1校あたりの児童生徒数の平均が500人未満(2)ですが、1年間で1つの学校以上の子どもたちが、自ら命を絶っているのです。
そして長らく、子どもの自殺が1年で一番多い日は9月1日と言われてきました。近年それは変化しており、2022年は6月が最多の62人でした。しかし9月も変わらず多く2番目の57人となっています。
理由の断定は難しいのですが、1つは多くの学校では長期休み明けに人間関係等の問題がより顕著になりやすく、学校に行くことに悩む児童生徒が多いためといわれています。
6月は大型連休があけ、9月は2学期が始まります。大人も含めた自殺の多い曜日は月曜日ですが、人は負担があると冷静な判断ができなくなります。それは大人でも子どもでも同じだといえます。
自殺に至る子は、その年度の以前から何かしら困りごとなど抱えている子も多いものです。
しかし前年度から負担があったけれど、新年度はクラス替えもあるため「今の状況が良くなるかも」と一縷(いちる)の望みを託したり、また実際に乗り切れたりもします。
ただ9月は、長く自由な夏休みが終わり、また学校が始まるという心の負担が重くなります。
そして夏と冬という季節の変わり目である春と秋は、医学的に自律神経のバランスが崩れやすくなります。それら様々な要因が重なり、「心理的視野狭窄」という極端に視野が狭くなってしまう状態に陥り、その日その時期に全てを終わらせてしまいたくなってしまうのだといいます。
子どもの教育の選択肢を増やすために
はじめまして。一般財団法人東京サドベリースクールの代表理事、杉山まさると申します。
本校は、生徒が自分の興味を自分で見つけ活動し、自分たちの学校を自分たちで運営して社会性を育む学校(スクール)です。
学校といいましたが、多くのインターナショナルスクールと同じように、現法律の規定する教育ではなく、そのため、広い意味では子どもが学びをつくる学校ですが、法律上では学校ではありません。
私はサドベリー教育に魅力を感じ、またそもそも教育が1つしかなく子どもが自分の教育選択権を行使できない現在の制度課題を少しでもなんとかしたくて、東京サドベリースクールという全日制のスクールを設立・運営してきました。
本校には、今の日本の教育制度に合っていた子も、合っていなかった子も、サドベリー教育を気に入ってくれて通っています。
私自身は、一般的な公立と私立の学校に通って大人になりました。
それらの学校自体は好きでしたが、現在の学校教育内容にどうしても興味が持てず、時に学校の授業が嫌で休んだこともあります。
すさまじいストレスを感じることもありましたが、そういう時に人は視野が狭くなってしまいます。
その最も悲しい結果が子どもの自殺です。
子ども時代に自殺をすることは全ての人にとって起こりえたことで、冒頭のように実際に自殺に至ってしまうことが近年増えています。
学校に通い続けるより、命をつなげ続けることの方が大事
そもそも本来の学校というものは、本校のように、自分が「これを学びたい」「ここで育ちたい」「ここに通いたい」と望んで入学し、通い続けるものです。
しかし、今の法制度上は子どもには「1つの教育方法」のみが学校でありそこに通わなければならず、それに適合できない子どもの方が「不登校」という、さも教育不適格者のようなレッテルを貼られてしまいます。
なぜ、この多様性の時代に、そして子どもの個性や興味は全員違うことが事実であるのに、「たった1つ」の教育のみが教育と認めていて、他の選択肢は制度として認めていないのか。
それは例えるなら、スポーツを野球しか認めていないようなものです。サッカーがしたい子、クライミングに向いている子も、野球しかすることを認められておらず、野球をしたくない、できない子を不登校としているようなものです。
なお当然ながら、野球がだめとか今の教育の形がだめ、そして子どもがだめということではなく、そもそも1つのスポーツや1つの教育しかない制度が課題だとお伝えしたいのです。
もっと自分に合う教育や学校を選べる選択肢があれば、1つしか道がないと絶望した子も助かるかもしれません。
そして子ども達は今通っている学校に本当に通いたいのか、通う必要があるのかを考えるようになります。
その結果、子ども自身が自分で選択し、より自分の合う環境で思いっきりしたいことや学びたいことを学べるようになります。
それこそが子どもの幸せと成長、そして日本全体にとっても有意義なことではないでしょうか。
2学期が憂鬱(ゆううつ)な子どもたちへ
本校含め、本来1人の人間である子どもが、命をかけてまで学ぶべき教育や通うべき学校などありません。
もしそのようなものがあるのなら、それは人権侵害です。
今、つらすぎる子はまず自分を大切にしてください。
大人だって仕事につかれすぎたら休職をして休んだり、退職して違う仕事をしたりします。
子どもの皆さんも学校につかれたら休んだり学校を辞めたり、しばらく家でゆっくりしてもいいのです。
今まで我慢して頑張ってきた人ほど、今は元気の充電が少なくなっていると思うので、そういう時は無理に次の道を探さずにちゃんと充電してください。
ケガをしたら無理して動かさないのと同じです。今、もしかしたら心がケガしているかもしれません。
その時、親御さんはさらにケガしないようにすること、そしてじっくりケガが治るのを待ってあげてください。
私も一般的な公立学校に通ってきましたが、例えば音楽自体は好きでしたが音楽の授業はストレスでお腹が痛くなるほど嫌でした。
でも私の親は「音楽は”あぁ、この曲好きだなぁ”って思って聴ければそれでいいんだよ」とよく言ってくれて、時に音楽の授業のある日に休むことも大切にしてくれました。
そのおかげで、私は音楽の評価はいつも赤点でしたが、今でも音楽自体は好きです。
また大人になって、人生につかれ過ぎて半年くらい家でゆっくりしていた時もありましたが、しばらく休んだら少しずつ元気になり、また自分から活動を再開しました。
その時に思い出したのが子どもが好きだったこと、そして出会ったのがサドベリー教育です。
今子どもの皆さんも、そのように1日休んだり、1週間、1ヵ月、もっと休んでもいいのです。
そしていつか充電がたまって心が軽くなり、自然と行動したくなってきたら、世の中には色々な育ち方や教育・学校があるので、「これがいい」と思えるような道をゆっくりと探してみてください。
今は考えられないかもしれませんが、いつかその道が見つかることを信じています。
一般財団法人東京サドベリースクール
代表理事 杉山まさる
(1)https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001079455.pdf
(2)https://www.mext.go.jp/content/20221221-mxt_chousa01-000024177_001.pdf
【まもろうよこころ(電話で話したい・SNSで話したい)】
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/
【スクール概要】
校名:一般財団法人 東京サドベリースクール
所在地:〒157-0061 東京都世田谷区北烏山1-34-4
代表理事:杉山まさる
事業内容:教育事業
設立: 2009年
HP: https://tokyosudbury.com/
取材問い合わせ:https://tokyosudbury.com/contact/
【開校15周年!30周年までにサドベリー教育を子どもが自由に選べる未来をつくる!!】
子どもが教育を選べる社会の実現と、選択肢としてのスクールを残すためのクラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/view/592852#menu