公演関係者のからのコメントや、マームとジプシーがお世話になっている方々より応援コメントを続々といただいております。初めてマームとジプシーを知ってくださった方もいらっしゃると思いますので、コメントをいただいた方との関係性と共に活動報告にも日々紹介させていただきます。
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最果タヒ(詩人)
cocoonの話をします。
戦争が始まる、と舞台の上で一人が言った。cocoonの内容を知っている私は、最初から戦争の話だと知っていたし、その言葉で「まだ始まっていなかったんだ」とふと思った。まだ、と思った瞬間に、戦争が過去の出来事ではなく、自分がこれからたどる「今」そのものになったのを感じた。このときの感覚、舞台という場所で味わえて本当によかったと思う。
登場人物のほとんどが目の前で死んでしまった。それでも生きている人がいて、死んだ人たちのことが生き残った誰かの記憶に残り、そうやって、終わることなく続いていく。忘れられていくこともあるが、失われていくものもあるが、それでも何もかもが終わって完全な過去になることはないのではないか。あの場所であの時、私はもう一度「今」になる戦争を見た。それだけは確かだ。死んでいく人たちの「死」によって、戦争を描くのではなく、「生」によって描かれていた。その「生」には、見ている私の「生」も混ざっていると思う。だから、幕が閉じても家に帰っても「続いている」こととして、見たもの聞いたものが私の中で漂っている。
公演は終わりましたが、この作品に触れられる人が円盤化によって一人でも増えたらいいなと思います。
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最果タヒさんはマームとジプシーの作品をよく観にきてくださり、ツアー先の公演にもお越しくださっています。
2019年の「最果タヒ 詩の展示」内での朗読イベントに青柳いづみさんが出演、同年発売の「最果タヒ 詩のレコード 『こちら99等星』」でも朗読を務めました。2020年からの「最果タヒ展」でも、展示の中で青柳さんの声が新たに収録され、展示の一部となっています。(最果タヒ展は、只今大阪で開催中です)
最果さんがつむぐ言葉は、はっとする驚き、普段は気づかなかったような自分の中にある思い、もしくは誰かの思いに触れたような感覚を与えてくださいます。
それはもしかすると、『cocoon』の登場人物たちが、一人教室のどこかでつぶやいていた言葉だったり、誰かに見えていた景色だったりするのかもしれないとも思ったりするのです。