大切なご支援様へ。
活動報告が密にできず、ご心配をおかけしていることかと思います。
大変申し訳ございません。
今回は完璧に準備を整えて臨んだはずが・・
まさかのストールのフリンジ数の削減があり、とても困った事態となりました。
フリンジをほどいて編み直してもらったものの、アルバイトの女の子を雇っているからか、3日目までに出来上がって来たものは、私がお送りしたかったものとは遠く、眠れない夜を過ごしまた。でも、きっとこれを治せるスペシャリストがいるはずだ。
どうやって探せばいいだろう?明日ホテルのフロントに聞いてみよう。
早く朝にならないかなぁと、待ち兼ねました。
そして、奇跡が起きました。
3月31日 ネパール4日目の朝です。
朝6時。お祈りをしていて、
ふと、ネパールで最も古い寺院の一つ、スワヤンブナートの中で、パシュミナストールを売っていた男性のことを思い出しました。
工房を見せてもらう約束をしつつ、昨年訪れた2回のネパールではことごとくタイミングが合わなかった人です。
連絡つくかなぁ・・と、とりあえず、彼、プラチャンダ氏にメッセージを送ります。
すると、今回はすぐに返信が来て、9時にホテルのレストランで会えることになりました!
私は、作り直しも含めて相談しました。
そして・・家族経営の社長、彼のお父様のところに相談に行きました。
彼のお父様曰く、
このストールは素材がいい。
手つむぎの糸を使用しているし、手作業で仕上げているのが見受けられる。
ヤクは普通はもっとチクチクするが、かなりソフトで肌触りがいい。
季節的に同じものを大量に作ることが難しいと思うし、
お父さんの工房では、パシュミナ用の細い糸を使うように機織り機が設定されているから、いますぐに設定を変更して同じものは作れない。
一人いい人を知っている。彼女ならこのフリンジをうまく仕上げてくれるかもしれない。
そして・・彼女の工房へ。
彼女は手始めに、一枚のストールを仕上げてくれました。
お名前は「ブッダ・ラクシュミ」さん。
私たちに馴染み深い神様、ブッダと、ラクシュミ=ヒンディの富と繁栄の女神の名前です。
彼女がストールに触っている姿を見てホッとしました。
正直なところ、一度編んだ糸を解いてやり直すとなると、とても面倒だし、癖がついた糸を綺麗に仕上げるのはとても大変な作業です。
よく洋服を一から作るよりも補正の方が難しいと聞きますが、それと同じく地味で大変な作業な上、高い賃金を請求しにくい作業です。
にも関わらず、彼女はいとも楽しそうに笑顔でその作業を進めてくれます。
それを見ていて、なぜ私が今回作ったストールについて、納得がいかなかったのかがわかりました。
少し、不思議な話になりますが、正直に書きます。
私は無意識に、製作した工房で修正されて帰ってくるストールにネガティブな「面倒臭いエネルギー」を感じていたのです。
物には、作った人の魂が宿ると信じています。
いやいやしかめっ面で作ったお料理は美味しくないし、洋服だって素敵に仕上がるわけがない。
逆に、特別なテクニックがなくても、笑顔で食べる人や着てくれる人のことを考えて作ったお料理や、お洋服は、食べたとき、身に付けた時に幸せな気分にさせてくれるものだと思います。
私からしてみれば、全ての物質は同じ。
面倒くさい作業をいとも楽しそうに笑顔でやってくれる彼女の明るいエネルギーがストールに入っていくように感じました。
翌日、私はネパールのビザの期限ギリギリまで1週間の滞在延長を決めて、
日本への帰国便も延長しました。
彼女の手仕事を信じてみることにしたのです。
ただし、この作業はとても時間がかかります。
万が一不備があった場合の予備のストールを含めて55枚を調達する予定ですが、
一枚を完全に解いて編み出せる状態にするのに、素人の私だと1時間半くらいかかります。
プロの職人の彼女の手でも、普段、こんなに大量のフリンジを解いて修正をすることはないので、30分では終わらない。
なぜ、私に活動報告を打つ余裕がなかったかというと、毎日、この”ほどき作業” をしていたからなのです。
また、出来上がったフリンジのふさの部分を綺麗に仕上げるのは私の手になります。
これも一枚に30分はかかります。
毎日、徒歩20分の工房に顔を出してチェックして、ホテルに戻ってからは、解く作業を夜中までやっていました。
と・・書くと、とても大変な作業で苦しそうに聞こえるかもしれませんが・・
ストールのフリンジを解くと、なんだか、糸たちが喜んでいるように感じられました。
窮屈な帯を緩めてもらってホッとしたようなエネルギーが指先を通して感じられ、
私もふっと笑顔になれました。
そして、このストールを手にしてくださる皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいになるのです。
大変な事態ではないと言ったら嘘になるし、応援してくださっている皆様にも失礼になる。
ですが、やはり私は今も「幸せ者」なのです。
皆さんにご支援してただき、ネパールに飛んできて、困った事態に見舞われながらも、安心して眠れる場所があり、それを改善するために助けてくれる人に巡り会える奇跡。
そして、全て順調ならこんなに自らの手で触れることがなかったはずのストールを自らの手で解いて、安心できる手に託して編み上げもらい、自分の手で受け取る人を思いながらふさを仕上げられる今。
寝落ちしそうなりながら、フリンジを解いていた4日目の夜から昨日。
出来上がってくるストールのフリンジのふさの部分を程よい長さに切ったりの作業は引き続きありますが、やっと全てのフリンジを解き終わりました。
スムーズに送ってくれそうな配送業者も見つけました。
ネパールを出るまで、あと3日。
11日のお昼過ぎに、インドに戻る便に乗ります。
今、ネパールは午前10時です。
夜に5日目からの活動報告も書いてみます。
全てのつながりと経験に感謝します。
Shanti Shanti Shanti
ありがとうございます。