2022/11/07 10:24

稲場比呂子さん(尚学堂書店)

――お店で生まれ育ったからうちはだいたいこういう仕事だ、みたいなのは分かってた感じですか?

そうそう。昔は、なんというか、文人サロンみたいになってて、仕事終わってからそういう好きな人がワーッと集まってやってたから、(夜の)10時、11時はざらに開けてて。なんか父親がものをバーッと見せて、それをみんなでああやこうや言いながらやる、みたいな感じで。私、それを傍目に見ながら、「お風呂屋さん行ってきまーす!」とか「もう寝まーす」みたいな(笑)。そんな感じやったから。いま思うと、あれは割と特殊な幼少期ではないか、と思ったりはしてますけどね。

――扱ってる本というか、扱ってるのはかなり古いものですよね。

そうですね。江戸……昔はもっと前のとかもあったんじゃないかな。そういうのを好きな人たちが、ああだこうだいいながら(笑)。例えば、画家がスケッチしたもんとか、スケッチやから落款は押してないんですよね。そういうのをみんなで見て、どうやこうやと。「これはここがこうなってるから、いけるん(本物)ちゃうか」みたいな(笑)。楽しそうやった、あれは。大人たちが。

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