ごあいさつ
みなさん、はじめまして!
京都・中京民主商工会(中京民商)です。中京民商は、京都市中京区で営業する自営業者(小法人・個人事業主・フリーランス)でつくる団体です。創立は1952年8月21日。今年で創立70周年を迎えました。現在、会員数は約300人。京友禅、京象嵌、京焼・清水焼など伝統産業に携わる職人から、飲食店、クリーニング、理美容、銭湯など日常生活に密着した業種まで、多様性に富んでいます。みんなで経験と知識を持ち寄って、経営と暮らしの様々な問題を解決するために力を合わせて活動しています。
スタッフ紹介
山元歩美(中京民商事務局長・70周年記念本編集委員)
私は茨城県の出身です。京都の魅力に取りつかれて14年前に引っ越してきました。中京民商事務局に入局したのは5年前。経営と暮らしの問題を解決するために、会員さんと力を合わせて頑張っています。地域に根ざして頑張っている中京民商の会員さんたちとの交流は、笑いあり、涙あり、トラブルありで、それはもう刺激的な毎日です。いろんな人と出会い、京都のこと、商売のこと、昔のことなど、いろんな話を聞けるのが、この仕事の魅力です。本当に大変ですが、とても面白いです。私たちが制作する本を通じて、その面白さをみなさんに少しだけでも味わっていただきたいと思っています。
馬場雅規(中京民商会計・70周年記念本編集員)
私は、京都市中京区の三条会商店街で鰻・お惣菜・佃煮を販売している「馬場商店」の四代目です。馬場商店は明治時代からこの地に店を構えています。父親が中京民商の会員で、私も10年くらい前から、青年部員として、色々なイベントや勉強会に参加するようになりました。現在は、中京民商の三役として会計を担当しています。いろんな業種の会員さんから、仕事の内容はもちろん、経営に対する考え方やアイディアを聞けることがとても勉強になっています。ベテラン経営者の昔話から若い経営者の日常生活のことまで、この本で少しでも日頃の「思い」を感じて頂けるように制作したいと思っております。
京都市中京区はこんなところ
中京区は京都市のほぼ中央にあります。世界遺産・二条城があり、毎年7月には日本三大祭の一つである祇園祭が行われます。大まかにいって、中京区の西部は工業のまちで友禅関連の職人さんが多く、東部は商業のまちで、夷川通は家具のまち、二条通は薬のまち、錦小路通は“京の台所”と呼ばれる食料品店街というように、地域ごとの特性が非常にハッキリしていて、職住一体のスタイルがありました。しかし、近年は、友禅業の衰退やマンション住民の増加などの影響で、こうした構造が崩れてきています。経営環境が大きく変わり、コロナ禍や物価高騰にも見舞われる中でも、多様な自営業者が「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)の精神で奮闘しています。
会員の「商売・人生」についての語りをまとめて本にします
古都・京都のど真ん中で、多様な商売・仕事に携わりながら地域の経済・社会を支えてきた中京民商の会員たち。そんな会員の「商売・人生」についての語り(生活史)を聞き書きし、本という形にまとめます。
この本には、30人の会員の語り(生活史)を収録することを目標にしています。京焼・清水焼絵付師、京菓子、京象嵌、和裁縫製、美容師、スナックのママ、喫茶店のマスター、税理士、行政書士、占術師……いろんな業種の会員に語り手として協力していただいています。男女の比率はだいたい半々になる見込みです。
聞き取りにあたっては、聞き手は決して出しゃばらず、語り手に自由にしゃべってもらうことを心がけています。「あなたにとって中京民商とは?」というような一般的な質問はしないようにしています。語り手の記憶や思いをそのまま語ってもらい、それをそのまま文字に起こしていくというやり方です。その内容を最終的に1人あたり4,000字~5,000字程度に絞り込んで、本に収録します。
岡田知弘さん、松尾匡さんも寄稿
この本には、日頃より中京民商の活動に何かとご協力いただいている岡田知弘さん(京都橘大学教授)、松尾匡さん(立命館大学教授)にも寄稿していただきます。岡田知弘さんには、地域循環型経済社会の実現に向けて小規模事業者に期待される役割について、松尾匡さんには、開放個人主義原理にもとづく経済社会に合致した倫理観として注目される商人道について、原稿をお願いしています。
多くの人に読んでもらうために装丁にもこだわった本にしたい
多くの会員の「商売・人生」についての語りを収録するという内容にふさわしく、装丁にもこだわった良い本に仕上げて、みなさんに届けたいと考えています。一人でも多くの人に読んでいただき、多種多様な自営業者の生きざまに触れていただきたいと思っています。
「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)の精神で、人びとに喜ばれることを第一に心がける自営業者は、地域の経済・社会にとってなくてはならない存在ではないでしょうか。この本を通じて、日本の各地域で小規模な事業を営んでいる人たち、これから小規模な事業を始めたいと考えている人たち、そしてまた、そういった小規模な事業者を応援したいと思っている人たちとつながることができればうれしく思います。
これまでに固まっている本の構成など
『京都・中京民商の生活史』
第一章 中京民商会員30人の生活史
京焼・清水焼絵付師、京菓子、京象嵌、和裁縫製、美容師、スナックのママ、喫茶店のマスター、税理士、行政書士、占術師など30人の「生活史」
第二章 中京民商70年に寄せて
岡田知弘(京都橘大学教授)
松尾匡(立命館大学教授)
※本は自費出版です。販売価格は1冊2,000円前後で検討しています。
収録予定の「生活史」をちょこっとだけご紹介!
――細字さんはいつ頃からこの仕事をやられてるんですか?
高校三年生のときからですな。ちょっと理由はここでは言えまへんのやけど、1週間の停学を食らったことがありましてな。「うちでじっとしておれ、外に出歩くな」っちゅうことになったんですわ。「ちゃんとうちにおるか」っちゅうて、昼間は学校から電話がかかってきますからな、昼はじっとしておらんといかんかったわけです。夜になったら、お茶屋やらカフェーやらに遊びに行っとりましたけど。まあ、昼間のうちは、うちでじっとしとったんです。それで、親が「うちでじっとしておらないかんのやし、判子へっこましてみい」と言ったんですな。
――「へっこます」というのは、彫るということですか?
そう、「判子を彫ってみい」っちゅうことですわ。「これをへっこましてみい」ゆうて親父から渡されたやつを彫るんですわ。へっこまし具合でカネをやるから、ゆうて。「上手くへっこましたら、それなりのカネをやる」っちゅうことですな。「ほんならへっこましてみよか」と、そこからですわ。
……続きは『京都・中京民商の生活史』で!
中京民商70年の歴史を未来につなぐ
『京都・中京民商の生活史』は、中京民商の創立70周年を記念するものでもあります。70周年を記念してどんな事業をやるのか。昨年11月から記念事業の実行委員会を開催して、議論を重ねてきました。そのなかで「読み物としても面白い本をつくりたい」という提案がありました。通常の記念誌だと、組織を主体にして歴史の流れをまとめるものになりがちです。しかし、中京民商の70年間の歴史をつくってきたのは一人ひとりの会員です。議論した結果、一人ひとりの会員の商売・人生に焦点を当てた本にしよう、ということになりました。
一人ひとりの会員の語りを通じて、自営業者の経営と生活を守るためにどのような取り組みがなされてきたのか、その歴史もまたおのずから浮かび上がってくることになるでしょう。激変する経営環境のなかで奮闘する自営業者をどのように支え、豊かな地域社会の実現につなげていくのか。未来に向けてのヒントが詰まった本になるはずです。
本の制作に向けて、2022年3月に「聞き手」として協力していただける会員を募集し、4月から聞き取りを開始しました。8月に「聞き手」を追加募集し、事務局を含め8人で会員への聞き取りの作業を進めてきました。
今後のスケジュール
10月7日 クラウドファンディング スタート
10月中旬 「生活史」原稿の校正作業
11月21日 クラウドファンディング 終了
11月下旬 原稿およびブックデザインの完成
印刷発注
2月中旬 『京都・中京民商の生活史』完成
2月中旬~ リターンのお届け
お金の使い道
装丁にこだわった良い本をつくるためには、それなりのお金がかかります。こだわったつくりになればなるほど、印刷費・製本費も大きくなります。中京民商の本体財政からの支出、中京民商の各支部の財政からの協力によって、約70万円は確保する目途が立ちましたが、これだけでは足りません。必要な経費について大よそ以下のような見通しのもとに、100万円をクラウドファンディングで調達することを目標にします(制作部数は500部を想定)。
ブックデザイン 25万円
印刷費・製本費 70万円
写真撮影/編集 15万円
聞き取り書き起こし 15万円
リターン 20万円
手数料 16万円
本の広告宣伝費など 10万円
合計 171万円
リターンのご紹介
5,000円のご支援
●『京都・中京民商の生活史』1冊
●語り手からの直筆お礼メッセージ
●中京民商のブログにお名前を記載(希望者のみ)
10,000円のご支援
●『京都・中京民商の生活史』1冊
●語り手からの直筆お礼メッセージ
●中京民商のブログにお名前を記載(希望者のみ)
+下の3つのうちどれか一つ
○70周年記念にゃかしょうくんコースター
○70周年記念オリジナルトートバック
○中京民商70周年記念誌(『生活史』とは別の通常の記念誌。お祝いメッセージ、中京民商70年の歴史、会員の手記「私と中京民商」などを収録予定)
30,000円のご支援
●『京都・中京民商の生活史』1冊
●語り手からの直筆お礼メッセージ
●中京民商のブログにお名前を記載(希望者のみ)
+下の4つのうちどれか一つ
○中京民商会員のお店で使える商品券6,000円分(利用可能店紹介冊子付。有効期限は2024年3月末)
○タロット・西洋占星術師 神野悠華さんのオンライン鑑定(60分)
○京焼・清水焼絵付師 上坂妙さんのペンダント
○馬場商店の鰻の蒲焼き・鰻の白焼きセット
50,000円のご支援(限定5人)
●『京都・中京民商の生活史』1冊
●語り手からの直筆お礼メッセージ
●中京民商のブログにお名前を記載(希望者のみ)
●中京民商会員のお店で使える商品券10,000円分(利用可能店紹介冊子付。有効期限は2024年3月末)
●京都市中京区半日観光ガイド
100,000円のご支援(限定3人)
●『京都・中京民商の生活史』1冊
●語り手からの直筆お礼メッセージ
●中京民商のブログにお名前を記載(希望者のみ)
●中京民商会員のお店で使える商品券10,000円分(利用可能店紹介冊子付。有効期限は2024年3月末)
●京都市中京区半日観光ガイド
募集方式について
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
最後に――小規模事業者が安心して商売できる社会は人と人とのつながりを大切にする社会
まちには大型スーパーやコンビニ、チェーン店があふれています。もちろん便利なサービスを提供してくれていますが、小規模な事業者には、それらとは違う魅力を感じます。この場所にしかない店や商品、技術。個性的な店主、お客さんとの絶妙な距離感など。ぜひみなさんも地域のお店を利用して、この魅力を感じてほしいと思います。こういう小規模な事業者の方たちが安心して商売を続けられるような社会をつくることは、人と人のつながりを大切にする社会をつくることにほかならないと思います。『京都・中京民商の生活史』は、そうした社会の実現につながるひとつの試みだと思います。ぜひご支援をよろしくお願いします!
(山元歩美)
最新の活動報告
もっと見る収録予定の「生活史」をちょこっとだけご紹介(8)
2022/11/17 19:21木戸礼二さん(スタジオ梅やヘアーワークス)……父親が民商の会員で、東京の民商に入っている美容室を1軒だけ紹介してもらって、夜行バスに乗って上京しました。 新宿に朝の7時、降りたら人の多さにびっくりして。渋谷駅まで何とかJRで行って、ハチ公前の交番で、この住所はどうやって行ったらいいんだって。そしたら外国人に間違えられて。その時、すごく日焼けして、無精ひげはやしていたんで、Go straightとか言われて、僕もそれに乗っかってThank you, Thank you言いながらたどり着いて。 で、行ったんですけど、向こうの民商さんから話が行っていなかったみたいで。突然訪ねてきた怪しげな関西人で、すごく警戒された。一応事情を説明して、「雇ってもらえへんか」と言ったけど、「うちは今、人を募集してないんです」って。その時、向こうで同級生の友達が働いていて、世田谷区に住んでいたんですけど、「ちょっとしばらく就職活動させてくれ」って転がり込んで、自分で就職情報誌とか色々なものを探して、千葉県の浦安市にあるお店に拾ってもらいました。……『京都・中京民商の生活史』で! もっと見る
収録予定の「生活史」をちょこっとだけご紹介(7)
2022/11/15 18:17上坂妙さん(京焼・清水焼絵付師)――そんなときにNHKの「美の壺」を見たわけですね。 風呂上がりにたまたま見たんです。2012年か2013年かそれくらい(2011年)。野々村仁清の色絵芥子文茶壷が映って、京都の陶芸家さんが金で絵付しているのが映って。それ見たら、全身の血が逆流するような感覚で「私がやるのはこれだ!」って思ったんです。そのとき出てたのが山岡善昇さん、今の師匠なんですけど、「この師匠に習ったらいいんじゃないか」と思ったんです。――それまで陶芸との接点はあったんですか? いや、ないです。私の祖父が輪島塗の職人で、金彩で描いてたらしいんで、その影響はあるかなぁとは思いますけど。 京焼やりたいと思ってから、お店をやりながら九谷焼の陶芸教室に通って絵付けの練習もしました。でもやっぱり京焼がやりたかったんで、とにかく京都で本物を見てみようと思って、従姉と3泊4日で京都に行ったんです。清水団地とか色々見て回ったんですけど、帰る日の前日だったか、「私このまま帰ったら絶対後悔する」って思って、テレビで見た師匠の窯元に電話したんです。そしたら「見学なんかしてません」「師匠は来てないので返答できません」って言われて、2回目電話しても「来てない」って言われて…………続きは『京都・中京民商の生活史』で! もっと見る
岡田知弘さん(京都大学名誉教授)、松尾匡さん(立命館大学教授)の原稿が届いています!
2022/11/13 21:59『京都・中京民商の生活史』には、日頃より中京民商の活動に何かとご協力いただいている岡田知弘さん(京都大学名誉教授)、松尾匡さん(立命館大学教授)に寄稿していただきます。原稿はすでに届いています。いずれも特別に書き下ろしていただいたもので、ほかでは読めません! 岡田知弘さんには、地域循環型経済社会の実現に向けて小規模事業者に期待される役割について論じていただきました。目次は以下の通りです。地域循環型経済社会への転換をめざして――中小業者に期待される役割岡田知弘(京都大学名誉教授)はじめに1 コロナ禍は「戦争」ではなく「災害」2 災害としての感染症対応の主体3 「公共」の再生が求められている4 地域経済社会のあるべき姿が見えてきた5 なぜ、大型公共事業プラス企業誘致政策は失敗してきたのか6 「地域が活性化する」「豊かになる」とはどういうことか 地域内再投資力こそ重要おわりに 松尾匡さんには、開放個人主義原理にもとづく経済社会に合致した倫理観として注目される商人道について、論じていただきました。目次は以下の通りです。よみがえれ商人道松尾匡(立命館大学教授)■会津戦争下の「武士道」と「商人道」 <会津藩士の戦い方> <敵味方なく看病した瓜生岩子> <幕末の武士と庶民の「正義」>■「ウチ/ソトの振り分け二分法」が腐敗の原因 <非営利理念の強調が不祥事を生む> <営利企業の不祥事でも「振り分け二分法」>■社会関係の二大原理 <「武士道」か「商人道」か> <身内集団社会と開放個人主義社会>■身内集団的な日本社会 <企業における身内集団> <旧軍における身内集団> <現代の事件における身内集団>■江戸時代の商人道 <石田梅岩と門下生の市民事業> <近江商人の商人道> <江戸時代の商家の家訓> <普遍的な善の追求>■戦後民主主義の商人道 <戦後近代主義の論客は乗り越えられていない> <角倉素庵の「舟中規約> <商人国家こそ誇らしい> 岡田さんの論稿も松尾さんの論稿も、それぞれ1万字超で読みごたえがあります。読んでみたい方、ぜひご支援をよろしくお願いします! もっと見る
コメント
もっと見る