湧口さんが、都市林業の拠点をつくると聞いて、応援しないわけにはいかない!
林業は山でするもの。街は木材を買うところ。そう思って過ごしていた私のこれまでの日々は、湧口さんと出会って、すっかり変わりつつあります。
私事ですが、昨年、街で偶然、築65年のへんな円形住宅を見つけた私は、近代建築を研究していることもあって、それを自宅として引き継ぐ決心をしたのですが、その敷地には樹高15mはあろうかという立派なイチョウが育っていました。けれど、落ち葉やぎんなんが周囲を悩ましていたのため、やむなく伐採することに。
「こんなに立派に育ったのに、ただ捨てるしかないのだろうか、、?」
そんな疑問を素朴に持ちました。
前の所有者が育てた木を、次の所有者が木材として使う。そんな庭木の引き継ぎ方があってもいいのではないか。そう知人に漏らしたら、湧口さんに辿り着きました。
2022年2月、湧口さんの助けを借りて、私たちはイチョウを伐採しました。
普通なら処分されて終わりの丸太を、知人や学生らも加わって一緒に皮むきや製材をします。街の庭木が木材になるとは。都市林業ならぬ、おうち林業だといいながら、みんなでいい汗をかきました。
それから半年後、イチョウは立派な板になったと湧口さんから報告が。写真には惚れ惚れするような板が。
つい先日、その板を使って、皆んなでスツールつくりなどもしました。一番立派で大きな板は、テーブルの天板にしようと思っています。
拠点づくりの一報を受けて、こんなことが街のあちこちで起こりそうな予感がします。
眺めるだけでなく、育てる木、食べる木、柱にする木、家具にする木、敬う木。
そんな木々が街に溢れていたら、なんて素敵な光景でしょう。
その第一歩となる、都市林業の拠点づくり。
楽しみでしかありません。
林憲吾(東京大学生産技術研究所)