台風１５号で水に浸かってしまった車は、すべて近くの車修理工場に引き上げて頂きました。

トラックは大手のガス屋さんからお借りしていましたが、作業用兼営業車が１台足りていませんでした。

そんなとき異業種交流会の仲間で、車屋さん「エスワンコミュニケーション」の望月昭久さんから

「車はお困りではないですか？」

とメールがありました。

新車を購入できる目途もないので返事を濁していると、そうではなかったようです。

「一台でも車があれば助かるっていう事なら、スズキの軽バンを半年間無償でお使い頂けたらと思いますが、いかがでしょうか？」

と追伸がきたのです。

非常に助かるお話でしたが、エスワンさんは１００台以上の水害車両を引き上げたそうで、弊社に代車を貸す余裕はないはずです。

遠慮するべきところですが、やはり軽バンはほしいところ。

「やはり、お貸してして頂ければ……」

と電話を入れてからエスワンさんに行ってみると、目立つ場所にその車は置かれていました。

なんと「新車」です。

昭久さんは、淡々とこう言いました。

「大石さんのことをスズキのブロック長に話したら、一台手配してくれたんですよ」

その時点で感動していましたが、車の後方の側面を見て、言葉を失いました。

そこには、

Oishi Fuel　大石燃料

Disaster recovery がんばろう！　Support from S1 Communications

と美しい文字が入っていたのです。

あまりの嬉しさに、どうリアクションをとって良いかわかりませんでした。

「なかなか良いでしょ」

などと、昭久さんは言いますが、「良い」なんてものではありません。

すさまじいエネルギーを頂きました。

「がんばろう！」というこの文字を背負って走り、本当に頑張っていきたいと思いました。

早速、その車に乗って会社に帰りました。

その時唐突に、１年以上前に昭久さんが異業種交流会で言った言葉が思い出されました。

「No attack No chance」

もともとはレーサーの佐藤琢磨さんが言った言葉ですが、昭久さんはその言葉が好きだと言っていました。

レーサーにとっての「アタック」は、昭久さんにとっては「サービス」なのかもしれません。

今回は、「がんばろう！」という文字の入った、捻りのきいたサービス。

僕は今、復興で忙しい日々を送っていますが、落ち着いたら、仲間や周りの人々に役にたつことを与え続けていきたいと思いました。

そうすれば、チャンスはきっと自然と巡ってくる気がします。