【中村京蔵連載企画】連載40回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡ー
海外での歌舞伎講座(レクチャー)と演目(デモンストレーション)は、
予算も人員も限られた中で、
どうしたら歌舞伎を理解して貰えるか?楽しんで貰えるか?試行錯誤の連続でした!
演目的に失敗した時もありました……
女方の舞踊はなにがいいか?「藤娘」はウケがよくないと聞いていたので、
「鷺娘」ならドラマ性もあるし、衣裳の早替り(引き抜き)もあるから、
楽しんで貰えるのではないか?と考えて、一か八かで持って行きました!
2004年のニュージーランドとオーストラリア公演の時です。
ただ、当然録音演奏ですから、着替えに袖に引っ込んで、2度目に出て行ったら、
客席にだれも居なかったらどうしよう…という不安はありました(汗)
だって、1度引っ込む時に盛大な拍手を頂いたので、
客席の皆様は、これで終わりかと思われたのではないか?と、
着替えている間中、ずっと考えていたからです。
でも、着替えて出て行ったら……お客様は居ました!居ました!安堵しました!笑
予算が付いて生演奏になってからは、そんな懸念はありませんでした!
鷺娘に定着した当初は、鷺娘とレクチャーだけでしたが、
少しずつ予算が付くようになってからは、鷺娘と石橋の2本立てにしました!
石橋(しゃっきょう)は獅子の舞踊で、獅子の毛振りは邪気祓いを意味していて、
大喜利舞踊に相応しいと思ったからです。
立役さんと女方の私が雌雄の獅子に扮して、紅白の毛を振ると、
予想通り、どこの国でも大ウケでした!
こうして、私の海外歌舞伎レクチャー&デモンストレーションは、
この演目に定着して行きました!