【中村京蔵連載企画】連載51回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡
小道具に付きまして。
幕開きは狩りの帰途の体で、イポリットには弓と矢、
テラメーヌには鷹(塗りの止まり木に朱色の房)を持って貰いました。
御殿の大道具を舞台端に押し出して建て込んだので、
浅葱幕の振り竹が御殿の三段ギリギリになった為、
イポリットの立ち位置が縁先の上になったので、
履き物(副草履)の問題が発生しました。
私は履いたままでいいと云ったのですが、
衆議して素足のままで通すことにしました。
これはイポリットの野性味を見せてよかったと思います。
獲物の兎を小道具さんが用意してくれて、
テラメーヌの腰に提げる案も出ましたが、
大河内さんの意向でカット致しました。
出道具ですが、フェードルは病気の体ですから寄り掛かる物が欲しいので、
葛桶を用意して貰い、ふわふわの褥ですと脚を取られて立ち坐りが大変なので、
活歴の褥(錦の縁取りのある畳様の敷物)にして貰いました。
上手の屋体はフェードルの居間の思い入れなので、
扇面模様の屏風(屏風は小道具さんの受け持ちです)を立て廻し、
御殿正面上手寄りに銀地墨絵の衝立(衝立も小道具さんです)を置きました。
これは、黒衣後見の出入りを隠す為です
(壁に開閉式の切り穴があります)