【中村京蔵連載企画】連載53回
「三島由紀夫からフェードルそしてNINAGAWAマクベス」
ーフェードル上演までの軌跡
小道具3
花道よりアリシーとイスメーヌの出になります。
アリシーは姫なので、房(朱色)付きの金銀塗り骨の扇を帯に差し、京草履を履きます。
赤地の鼻緒、紫地の縁取りがある京草履は姫専用で、
浅葱の鼻緒になると奥方や御台専用になります。
イスメーヌは浅葱鼻緒の二枚草履になります。
二枚重ねと云う意味で、身分の高い武家の人間は二枚重ね、町人は一枚です。
パノープは藤色の鼻緒です。
イポリットが下手の渡り廊下から出て、縁伝いに庭先へ下ります。
ここで履き物の問題が出ましたが、歌舞伎は便利で(笑)、
アリシー達の花道の出のきっかけで、黒衣に庭下駄を三段前に出して貰いました。
庭下駄は木地で白地の鼻緒です(姫などは黒塗り、赤地の鼻緒になります)。
この場合、御殿から庭に出るので、庭下駄がいいと私が判断しました。
いい風情だったと思います。