バリュープラス アーカイヴ プロジェクトです。
本日もみなさまにフィルムの中から厳選してご紹介します。
『快傑ライオン丸』からこちら!
前回タイガージョーについて紹介しましたが、今回はその変身前ということで、虎錠之介を写したフィルムを2枚、紹介いたします。1枚目は第27話「大魔王ゴースン怒る!」の錠之介初登場のシーンと思われる写真。そして2枚目は第45話「抜け忍けもの道 怪人ハンザキ」終盤のシーンで撮影されたと思われる写真です。
第27話、獅子丸の前に姿を現した錠之介は「正しいものが勝つんじゃない、強いものが勝つんだ」と語り、獅子丸に刀を突き付けます。劇伴の効果やカメラワークも相まって、緊張感に満ちた名場面ですが、何よりこの錠之介の圧倒的な迫力!
登場直後の錠之介はゴースンに忠誠を誓いつつ、「獅子丸/ライオン丸を倒すこと」を自身のアイデンティティとする人物でしたが、その苛烈なキャラクター性がこの写真からも伝わってきます。こうした劇中の名シーンのまさにその瞬間が、写真のフィルムという形で、そして非常にクリアな状態で多数現存しているのです。
作品中盤から登場し、以降のエピソードのドラマ性を大きく引き上げた虎錠之介。ただ彼は、途中で演者が代わっています。第27~30話、第40・41話までは戸野広浩司さんが、第42話以降は福島資剛さんが虎錠之介を演じました。ファンの方々はよくご存知のことかと思いますが、戸野広さんは第40・41話の彦根ロケにおいて、宿泊先での事故で亡くなりました。エネルギッシュで荒々しい悪の剣士・錠之介を熱演し、これから満を持して再登場、という矢先での出来事でした。この頃のドラマのセリフは演者がアフレコで声を当てていたため、第40・41話の錠之介の声は声優の池田勝さんが吹き替えています。
それ以降は、戸野広さんとは同じ劇団の同期でもあった福島さんが最終話まで演じた錠之介。福島さんの雰囲気や芝居、声のトーンもあって、第42話以降の錠之介は幾分落ち着いて、渋みを増したアウトローの空気を纏っているように見えます。そして錠之介を巡るドラマはさらに加速し、彼をメインに据えたエピソードも多く作られました。第45話では、徐々に獅子丸と接近しゴースンの配下から抜けて抜け忍となった錠之介に対し、かつて彼の親友だった怪人ハンザキが差し向けられ、旧友同士が戦う切ないエピソード。写真は、ゴースン打倒を誓う錠之介が、武器である象牙を川で研いでいる終盤のシーンだと推測されます。
2人の俳優によって演じられ、日本特撮史にその名を刻んだ虎錠之介。残されたフィルムからも、彼の存在の力強さが感じられるのではないでしょうか。次回、もう1枚だけ、タイガージョーのフィルムを紹介しようと思います。