2023/02/15 20:52

1.開発の経緯
このプロジェクトが始まったのは、株式会社NEXT NEW WORLD(NNW)が販売を開始した「シルク石鹸」の完成パーティーに呼んでいただき、桐生市まで伺った2021年の12月まで遡ります。

この日、同社の代表の高嶋さん(中央右)に、「次は、シルクを使った食品を作らないか?」とお誘いを受けたのがはじまりでした。
この活動を始めてから「チャンスがあれば必ずやる」という選択肢しかなかったと思います。
そこからは「何をつくるのか?」というのがなかなか固まりませんでした。
実はこの時、やるって決めたことを奈良にいるみなさんにも聞いてもらおうということで、録音されてて、後に引けない状況でした。笑
そもそも、NNWは昆虫食の会社ではなく、まして、高嶋さんも昆虫食に親しんできたわけではないですから、僕のこれまでの常識が通用しません。
課題は「何であればみんなが食べてもらえるのか?」でした。
毎週、アイディアをブラッシュアップするミーティングが続くのですが、なかなか首を縦に振ってはいただけません。
パンもそうですが、せんべい、プロテインバー、パスタにレトルトカレー、いろいろ浮かんでは消えていきました。
大島くんは「生協でおにぎりが一番売れるから、『シルクおにぎり』を売りたい」と言っていたのですが、「賞味期限どうするのよ!」ということで却下になり、次に「完全栄養食」みたいな打ち出し方はどうだろうか、という意見がありましたが、「明確な定義や根拠のない打ち出しはダメだ」とストップがかかり・・・紆余曲折を経て今の形になりました。

2.産みの苦しみ~米粉の特徴は?~
次に試作です。当初、依頼したパン屋さんでは「米粉を入れて作ることが不可」と言われてしまいました。
パンのふっくら感というものは、小麦に含まれるグルテンによるもので、配合がうまくいかなかったものです。
製造先が振り出しに戻り、その後、大小5件以上に当たって、ようやく地元のパン屋さんにたどり着きました。
今回、米粉を使いたかったのには理由があります。
ウクライナ情勢もあり、小麦の価格が高騰してることはもちろんですが、日本では供給熱量ベースでの食料自給率は40%前後と低く推移しているにも関わらず、米の自給率はほぼ100%と、高く推移しており、むしろ余っています。
一方で、世界の人口は増加の一途をたどり、世界の情勢は不安定です。
近年、経済安全保障だけでなく、食料安全保障もトピックになっています。
昨年の夏に、衆議院議員会館を訪ねた時にお会いした農林水産省の武部新副大臣(当時)も食料安全保障の観点から評価いただきました。
食生活の欧米化・多様化により、米の生産量・消費量ともに、年々低下傾向であり、この携行は今後も続くと思います。しかし、「米粉」を様々な場面で活用することは、日本の食料自給率をカロリーベースで下支えすることにつながると思っています。そしてなにより「美味しい」と僕は感じています。

僕が生まれた1999年ころからですら、どんどん米の消費量は減っているのです。
そんな「米粉」が少しずつ認知を広げていますが、「小麦」と何が違うのでしょうか?
上図のように、油を吸いにくいため、揚げ物などがヘルシーに仕上がります。
そのほか、小麦アレルギーの対応など、総合的には米粉のほうが、うまく使うことが出来れば優れているように思います。
今回のパンは「米粉生地」「国産小麦の食パン生地」(及びどちらも)と3種類が選択可能ですので、「米粉」にあまりなじみのない方もぜひ、もちもちした食感を楽しんでいただきたいです。
さらに、今回は天然酵母を使っています。
添加物を使っておらず、発酵力や安定性を人工的に補っていないため、発酵がおだやかで酵母自体の風味を楽しむことが出来るのが天然酵母の特徴です。
自然由来の素材を使って社会問題を解決したいという思いから、なるべく添加物などは使わないように努めました。
迷われている方はぜひ、米粉のパンを選んでみていただけたら嬉しいです!!