2023/02/25 10:00

0.01の生地は、シャリ感のある、着物(上布)や洋服などのお仕立てに向く伝統的な技法の生地と同じ糸を用いていますが、密度からフィニッシュまでを一から見直し、麻のさらりとした感触と柔らかさを兼ね備えたオリジナルのものです。

麻糸(ラミー)を染色(白は原糸色)し、経糸緯糸ともに一本糊付加工を施して、小巾シャトル織機で織り上げ、縮み加工で仕上げています。原糸関連以外の殆どの工程を滋賀県で担っていますが、近江上布ではありません。

必要な麻糸(ラミー)は年々生産量が減っていて、少しずつ高品質なものが手に入ら無くなっています。現在使用している糸は、海外で栽培された原草を広島県で紡績されている80番手単糸です。

肌に直接触れることの多い素材ですから、汗や摩擦で身体や他のアイテムを汚さないように、糸の染色は堅牢度の高い反応染料を選択。繊細にイメージを実現するため、色再現力の高い地元染工場さんにお願いしています。

糊付は和歌山県。経糸緯糸共に一本糊付加工を施して頂いています。毛羽を寝かせた状態で織り上げることができ、着用時の毛羽立ちを抑え、肌触りに違いを生むのが目的です。生地のエイジングは劣化では無く、美しさの一つの要素だと考えているので、糊種は敢えて不溶解でない澱粉糊を選択しています。

原糸の購入からここまでで2から3ヶ月、制作のベースとなる先染めの糸が完成します。色のついた状態で、販売されているものを購入している訳ではありません。

糸の準備が整いましたら、整経から織りまでの工程は自社で。特に整経は、0.01の言葉となるストライプを組む作業ですから、リスクを犯しても目的に対して妥協なく、常に容赦のない縞割に取り組んでいます。

織りは生地に膨らみ感がでるよう、経糸をあまり張らずに織る事の出来る古い小巾シャトル織機を使用し、紡績ムラ、染色ロットムラが出ないよう、緯糸が無地の物も必ず二杼以上で、回転数を落とし、織っています。

フィニッシュは、伝統的工芸品も手掛けておられる麻に精通した整理加工屋さん。揉み工程は機械ですが、手作業による丁寧な直しが施され、巾出しは必ず2回、耳際まで生地を痛めないクリップテンターを使用、生地をリラックスさせた状態で乾燥させることができる竿干しをお願いしています。

後は自社で織傷や汚れを確認した後、必要な長さに裁断し、手作業で房付けをして完成です。生地のロスを少なくするため、この工程はご注文を頂いてから行っています。

誰がつくるかでも、どうつくるかでも無く、何をつくるか。こんな物をつくりたい。そう思える布をつくるために、最適な道具と必要なパートナーを選択し、仕事を重ねています。