※本活動月報は、「支援者のみ」が閲覧できるものとする予定ですが、ここまでの経緯等を踏まえ、2024年中の月報(11月、12月分)のみ、全体公開とさせていただきます。
(一定期間の後、支援者のみが閲覧できる状態に切り替える可能性があります)
※本月報は製作総指揮・まだら牛の手による執筆ではなく、プロジェクト記録スタッフの視点で書かれたものとなります。
●脚本開発
・12月6日 脚本打ち合わせ
都内某所の会議室にて、プロのアニメ脚本家の方との打ち合わせを実施。
この場ではお名前は控えるが、多くのアニメーション脚本を手掛けている方で、実は第3稿を書いていた時期にもアドバイザーとして入っていただいていた。以前の制作会社とのやりとりが始まってからは、制作会社都合により、協議の上で一旦やりとりを終了していたのだが、事ここに至り、再びご協力いただけないか打診した形だった。
先方も本プロジェクトを気にかけてくださっていて、我々が置かれている現状についても把握しており、ご快諾いただけた。
脚本の話に入る前に、改めて我々の口からこれまでの経緯の説明と、ここからの動きについてを共有した。というのも、脚本の修正ポイントそのものが、何を狙いとするかで大幅に変わるからだった。
最終的に出力されるものがどのようなものであるべきか、目的に応じてアドバイスの方向性が複数プラン用意されていた。プロフェッショナルならではの知見が実にありがたい。
ベースとしては、第3稿よりも整理され面白くなったとお褒めの言葉をいただいた。執筆時に感じていた手応えの核となる部分を、外から見ても感じ取ってもらえたようで安堵する。
それらを踏まえた上で、総論として、「企画を通すため」の脚本のテクニックという観点でのお話を頂いた。製作会社がお金を出そうと思える企画、制作会社が作りたいと思う企画……そういったものにするための「視点」をご教示いただくことができ、非常に勉強になるものだった。その上で、「今回の企画では、そこにあまり重点を置く必要はないだろう」というご判断もいただいた。可能な限り自分たちで作る。制作費もできる限り自分たちで集める。そういった覚悟の元では、もっと届けたい人に届けるための純度の高い脚本を目指した方が良いだろうというご意見だった。
その後、各論として技術面でのアドバイスがあった。シーン内描写の意味や効果を掘り下げ、「視点となる人物を誰にすると効果的か」「この部分はセリフを整えすぎず、もっと荒くした方が効果的」等、細部に渡って読み込んだことが伝わってくる内容だ。
過去の版からお付き合いいただいていることもあり、登場人物にも思い入れを持ってくださっている。最新版での人物像や描写の変化を加味し、よりよい表現について相談しながら模索していく。また、読了済の関係者から来ている感想についても一部共有し、見解や改善策を伺う場面もあった。
数時間のことではあるが、非常に有意義な打ち合わせになった。
これで、骨子の部分はほぼ組み上がった。
この段階から完成稿を作り上げるまでのプロセスを伺ったところ、ここまで仕上がっているのであれば、後はコンテを進めながら修正したいところをフィードバックしていく方法で問題ないとのお墨付きもいただいた。
・12月24日 第5稿(暫定決定稿)完成
先日の打ち合わせ内容と、身近な方々に読んでもらった際の感想を元に、脚本の細部の調整を行った。大筋はそのままに、より解像度を高め、脚本の精度を上げた。
第4稿以降、試行錯誤を積み重ねる中で変わっていった大きな点として、まだら牛の頭の中にある情景が伝わるよう、描写を厚くしているシーンがある。本来なら脚本ではここまでは指定しないだろう、という部分にも、あえて一部踏み込んでいる。絵を描く代わりに字コンテにしているようなものだ。
キャラクター間のやりとりや、指摘や質問の多かったシーンについても整理と調整を行い、第5稿が完成した。
これを暫定の決定稿として、1月からのプリプロに臨む。
●プリプロダクション・メンバー選定
メンバー募集に応えてくれた方や、ご紹介をいただいた方の情報精査と対話には、特に多くの時間を費やした。
ここまでの経験を踏まえ、今回のプリプロダクションでは、まだら牛が中心となってすべての業務の監修を行うつもりでいる。仲間となってくれる人たちとやりとりを密にするには、なるべくコンパクトな組織にしなければならない。
また、通常のアニメの現場とは異なるやり方をする場面が多々あるだろう。この企画に可能性を感じ、一緒に挑戦しようと思ってもらえるかどうかが重要になる。
※きちんとしたキックオフは1月になるため、お名前は伏せて現況のみ報告する
・演出・コンテ
応募やご紹介により、心強い味方が見つかった。うち1人の方は1月から早速プロジェクトに入れるということで、イメージボード作成にもご協力いただく見込みだ。
・設定
設定制作ができる方からご連絡をいただけたのは大きい。
1月から早速香盤表の作成に着手予定。
・美術
山の描写は「狂気山脈」の顔とも言えるため、美術には力を入れたいと考えていたところ、非常に強力な助っ人が現れた。
個人としてのモチベーションが高いだけでもありがたいことだが、会社として関わりたいと言ってくれており、会社訪問・見学済。本作独自の表現手法の開発にもご協力がいただけそうだ。
・音響
通常のアニメーションの現場では後の工程で扱われがちだが、本企画ではVコンの段階である程度の音も入れ込んでしまうつもりでいる。こちらについても、既にお任せできる方が見つかっている。現在、アイスクライミングのフィールド・レコーディング日程を調整中。
●プリプロ計画立案
2024/10/20付の活動報告(https://camp-fire.jp/projects/653933/view/activities/625968)にも記載したが、現在の方針は「2025年・丸1年間という期限を設け、Vコンを完成させる」というものだ。期間と予算を決めている以上、達成するために計画性を持って動く必要がある。
・目標や課題の具体化
プリプロダクションで行うことを立項し、実際の作業を想定しながら、具体的に必要な準備や作業、人員、発注すべきものなどを可能な限りリストアップした。
また、パイロット・フィルムやこれまでの制作経緯を踏まえて、劇場版本編に向けた課題点や問題点、そしてそれを解決するための手段など、まだら牛の頭の中にある「完成図」に近づけるためのマッピングをアウトプットしていく。
本企画がやろうとしている内容には「通常のアニメーションの作り方」とは違うアプローチも若干含まれている。 独自の施策やプロジェクトの目指すべき姿などについても、チームに共有し目線を合わせるために、資料化を進めていった。
・スケジューリング
前項で立項した作業内容を元に、大枠の年間スケジュールを組んだ。スケジュールには、プリプロだけでなくプロダクションを見据えた動きも含まれている。
これをさらに細かく具体的なスケジュールに落とし込んでいく作業が必要だ。
●情報共有方法の検討
スタジオを介さないこともあり、ほぼフルリモートでの作業になる。
対面でサポートができない分、膨大な資料をどのようにスムーズに・わかりやすく共有するかは課題のひとつだった。
基本的には、連絡はDiscordサーバーに集約し、資料の共有にはNotionを使用することにした。Notionの活用については手探り状態ではあるが、だいぶ形になってきたところだ。
●プリヴィズ撮影準備
実写での実演・撮影のためにかねてよりクライミングウォールを作っていたが、いよいよ出番がくる。
株式会社山屋を介してクライマーのアサイン、そして各種撮影の準備を進めており、3月頃に本撮影を実施予定だ。
ここで撮影する実写映像は、コンテやその後のレイアウトを書く際の資料になるだけでなく、実写映像をつなぎ合わせる事によりプリヴィズを作成し、コンテの精度をより高めるための下敷きとなる。
来る2025年、ついにプリプロダクションが始動する。
この3ヶ月、プリプロが始められる体制が作れるかどうかという、最初の戦いが既に始まっていたが、なんとかここまで漕ぎ着けることができた。
来年1年間、プロジェクトにとって勝負の年となるだろう。
(プロジェクト記録スタッフ 筆)







