トップ写真は、我が家のホワイトボードに書かれたメモです。
今回でのコロンビアでのWCSJ2023年参加記を、日本の科学ジャーナリズム団体のために書こうとして、とりあえず何を書くべきかメモしてみました。しかし、盛り込めたのはほんの一部です。
それほど、今回のコロンビアでの大会に含まれた要素は幅広かったというわけです。
ハンパだった規制緩和・多極化・地域課題
ここ数年、ビジネスパーソンの多くは、気がついているのではないでしょうか。新自由主義と規制緩和はそろそろ終わるんじゃないかな? と。
二度の世界大戦が必然的に生み出した福祉国家路線は、冷戦と重なって行き詰まりを迎え、新自由主義と規制緩和に転換しました。しかし世界が本格的にそちらに舵を切った1990年代から30年。思ったようには成功しないし、かえって社会コストを増加させている側面もあるし、地球温暖化と関連して世界情勢が不安定になっているし。
見直しが進む中で、今回のWCSJ2023は準備され、開催されました。
新自由主義批判が大声で語られる場面は極めて少なかったものの、規制の必要性は繰り返し語られました。また、多極化の進む世界経済は、必然的に地域課題を地域で解決して地域経済を良好にする必要性をクローズアップします。それそのものではないけれど、その背景と密接に関係した話題は繰り返し現れました。
しかしながら、なんともハンパ。なんとも食い足りない。なんとも不徹底。それが私の率直な感想です。
でも、そういう課題をクローズアップすることは難しいでしょう。利害の対立する立場の国々の方々が場を同じくしていたりするわけですから。格差解消と言う代わりに「インクルージョン」と言っているのかなあ? という場面も何回かありました。
「コロンビア」と「メデジン」にフォーカスしてほしかった
私が最も食い足りなさを感じたのは、「コロンビア」「メデジン」についてのフォーカスの不足です。どういう地域なのか。どういう課題を抱えているのか。大まかな情報や大きなニュースなら、日本語でも簡単に探し出せます。でも、たとえば、
「集中豪雨があって、道路が冠水したら、旅行客はどうすればいいのか(1月、メデジンではちょっとした水害が起きたばかりです)。救助体制はどうなっているのか」
「すぐそこで火山が大爆発したら、どこからどのように警報が発せられ、住民はどう行動するのか(4月に近隣の火山の大噴火のおそれがありました)」
といった情報、まさにメデジンという地元密着のドメドメにドメスティックな話題が、まとめて語られることはなかったんですよね。スペイン語が不自由な国外からの参加者にとって結構切実な問題だし、そういう個別具体的な話題ほど地域と国の形を描き出すものはありません。そして、徹底して個別具体的だからこそ、何もかもが異なる他地域に持ち帰れる普遍的な気づきを提供できるはずです。
メデジン市の水道の水は飲用できます。これだけでも凄いのに、コロンビアという国の飲用水の供給体制の凄さといったら。ちょっと調べてみると、行き詰まった新自由主義と規制緩和が国と地域の中でどう転換されるべきか。世界にとってのヒントの宝庫なのに。
まあいいや、また行くから。そう言いたいのはやまやまですが、南米は遠いです。ああ、残念。