旧満州生まれ、佐賀県多久市在住の坂口康子さんと30年ぶりにお会いしたのは昨年末のことでした。子ども時代、お父様がシベリアに抑留され、きょうだいだけで日本に引き揚げてこられたこと、シベリアへの墓参団として参加されたときの思いなどを綴った手記を書いていらっしゃるとお聞きしました。出版の相談をいただき、書籍化を進めてまいりました。
今年に入って編集に着手、半年以上という長い期間がかかりましたが、ようやく本が完成しました。クラウドファンディングの支援をしてくださった方には8月31日、返礼品を当方と康子さん分担の上発送いたしました。大変お待たせして申し訳ございません。
戦中戦後の苦労を経て、ご両親やきょうだいへの愛情、鎮魂を文章という形に込められています。読者の方も当時を旅しているかのように著者の「平和への願い」に触れることができるのではないでしょうか。シベリア抑留や引き揚げを体験され、あえて当時のことを語らない方も多くいらっしゃると言われます。一人の女性の物語(実話)の編集を通して、あらゆる方々の心情にも思いを馳せながら、このような体験をできるだけ形にすることも大切だと思いました。
30年前の1993年、高校生(17歳)だったわたしは、康子さん姉妹で書かれた詩歌集『シベリアの土』の発表コンサートに聖歌隊として母に駆り出され、出演したのでした。父はそのコンサートに作曲で携わり、5年後に50歳で他界。思い出深いあのコンサートのご縁でわたしは今回、編集と出版に携わらせていただきました。
さまざまな人の姿を思い浮かべながら、春から夏にかけ多久市に何度も通い、康子さんご本人と、文章のデータ化やアドバイスなどしてくださる支援者・最所和泉さんと一緒に編集作業を行いました。本体の印刷は鹿島の松浦印刷さんです。
このたびは改めまして応援をいただき、ありがとうございました。今回出版のステップを踏み出しており、販促活動も進めてまいります。今後ともどうぞご支援をお願いいたします。