前回の続き
もう1つは、【「いたわり」の気持ちが、人類を発展させ、豊かにする】ということを信じている。
学術的な話ですが、(以下、私の過去ブログから抜粋)
*****
上あごの歯がすべて抜け落ちた原人の化石が、2005年西アジアのグルジアで発見されました。約177万年前のものと見られ、歯の抜けた穴が骨で埋まっていることから、歯が抜け落ちた後も数年は生きていたとみられています。野生では生存が不可能な状況で、仲間から柔らかくした食料をもらうなどの援助・介護を受けていた可能性があります。
人はなぜ「介護」をするのか? それは進化心理学からひも解くことができます。
人類が他の類人猿と分岐したのは約600万年前で、そのころから地球の環境は寒冷化、アフリカでは乾燥化が始まりました。その後、250万年前からさらに寒冷化、乾燥化が進み、人類は草原やサバンナに進出しました。そこには沢山の捕食者がおり、食料獲得は困難で、人類は食料獲得のための道具の発明と、密接な社会関係の集団生活が必須となりました。
この社会環境で生き延びていくためには、他者を理解するための社会的知能が有利となったに違いなく、他者の理解を共有する、つまり「こころ」を共有する術を見出しました。そして、他者を「いたわる」行動の1つとしての介護という行為が、私たち人類の遺伝子に刻み込まれていきます。(ブログここまで)
*****
現代社会でも、【「いたわり」を持つ人間が生き残る】、と思っています。であるなら「いたわり」の気持ち、それを実践することが「生き延びること」、「生きること」に繋がるであろうと思っているということです。
日本では文化的に「同調圧力(ピアプレッシャー)」が強く、一方で個性・多様性の尊重が声高々に叫ばれております。ここだけ切り取ると「矛盾」ですが、私は、他者からの情報の影響されることなく、自分に向き合い、そして心の深層に刻み込まれている「いたわり」を感じる「こころ」を呼び覚ましたときに、その人の本当の「幸福」が始まるのではないかと思っております。私はそれを「パッション」と呼んでいます。