道成寺
無事に鐘が吊り上げられると、ワキ(シテに相対峙するお役)=道成寺の住僧が従僧を伴い幕から舞台入りをします。
所は紀州道成寺、道成寺の釣り鐘の再興・鐘の供養の日。ワキの注意が「鐘の供養の場に女性は入れないように、民衆にもお触れをしなさい。」と狂言=能力(寺の男)に伝えられ、その旨を民衆にお触れを出す。
すると何処からともなく綺麗な女性が現れ、「私は紀州近くに住む白拍子です。」と名乗り舞台入りする。白拍子=男装して今様などを歌いながら舞う遊女。鐘の供養の様子を見に来たけどやはり女人禁制、寺の男に静止されます。1度は追い返されるも、白拍子の舞を見たい寺の男はお触れを破り、白拍子の女性を供養の場に入れてしまう。
寺の男が準備した烏帽子を被りジッと鐘を見つめ近づいて行く。
乱拍子(らんびょうし)と言う特殊な型を、小鼓とシテ(主人公=白拍子の女性)だけで演じる静と動・静寂と緊迫が長時間繰り返される。やがてせきを切るように急な速い速い舞が始まり、日没を告げる入相の鐘が響き、桜は散り、皆がウトウトと眠りだすタイミングで、釣り鐘に近付き鐘を引き落としてしまう。(命懸けの鐘入り、シテには鐘のある場所はほとんど見えてない状態で飛び上がり、頭上から80㎏もある鐘の作り物が落下してくる)
雷が落ちたか~?何事だー!?と飛んでくる。橦楼から鐘が落ちてるのを見つけた寺の男たち。厳重に吊り上げたのに落ちるとは、と鐘を触れると灼熱に焼けている!男達の1人が思い当たる節があると言う。女人禁制の鐘の供養の場に白拍子を入れてしまった事を告げ、「自分は住僧に怒られるので代わりにに謝ってくれ、もしも君が何かあり謝る時は代わりに謝ってあげるから」、「いや、謝るなら僕は自分で謝るからあなたの代わりに謝る事は嫌だ、自分で謝りなさいよ!」とコミカルな笑劇が繰り出される。
結局1人は逃げ帰り、泣く泣く住僧に謝りに行く寺の男。結局思ったよりお咎めもなく飛んで逃げ帰る男(笑)
ここからは住僧の道成寺の鐘の再興・昔にあった鐘にまつわる語りが始まる。(舞台での語りを楽しみに♪)
語り終わると僧たちは力を合わせ祈りを捧げ数珠を揉み念じると、ユラユラと鐘が動き出し、吊り上げられた鐘から蛇躰が現れる。
僧たちとの戦いに押され、日高川に飛び込み姿を消すが、やはり執念は消えずにいつまでも残るのかも知れません。