今日、自分の博士論文の審査結果の要旨が公表されていることに気がつきました。審査してくださった、主査の榊素寛教授、副査の行澤一人教授および行岡睦彦准教授には感謝の念に堪えません。
この結果のおかげで、今になって博士号を授与された実感がわき、先生方にどうやって恩返ししたらよいのかと考えてしまっています。
また、「本論文になお求める点」については、論文指導を受ける過程で生粋の研究者が求める研究水準の奥の深さを知ることができました。自分には到達できないレベルだと思いますが、それを知ることができたというだけでも得るものはあったといえます。
ここで博士号と修士号に大きな違いがあるのですが、博士号の場合、大学が授与してから3か月以内に博士の学位の授与にかかわる論文の内容の要旨および論文審査の結果の要旨を公表することになっています(学位規則8条)。このような公表義務は、修士号にはありません。
たとえば、私の修士論文の評価結果は、「修士学位論文審査報告書」東洋大学大学院(1992)に掲載されています。しかし、公表はされておらず、大学の図書館に行けば閲覧できるのだと思います。この点、出版予定の本で指摘している、博士論文の難易度は修士論文の10倍という根拠の一つが、この公表義務かもしれません。論文を提出する者も、審査する者も相当なプレッシャーだと思います。他者から「なぜこの論文が合格なの?」という印象は持たれたくないでしょう。
また、審査する側の教員の立場からすると、おそらく剽窃・盗用が最難関です。いわゆるコピペですが、第三者の指摘で発覚するのは、指導教員にとっては一番怖くて、信用に傷がつくはずです。ですから、しつこいくらい出典は明示しておいた方が安心です。指導教員に安心してもらうためにも、本当に「しつこい」くらいがちょうどよいです。
今は、剽窃・盗用をチェックするツールがあるようです。私の論文も最低2回は、そのツールでチェックされていると思います。AIの時代が到来しましたが、おそらく論文の世界で使うのは危険です。自分だけでなく、指導教員や大学にも迷惑をかけます。だからしつこいくらい引用は頻繁にしておくことです。
やはり、博士論文は普通のサラリーマンにとって在籍期間を含めて8年計画くらいがプレッシャーがなくていいと思います。今回、博士(法学)を授与された方の中にも、社会人で2年の在籍で取得されている方が1人いるのに気がつきました。連絡を取って体験談を聞いてみようと思います。