
なぜ、ロシアなのか!?
…その想いは、30年以上前にさかのぼります。(すみません、今回は古い画像での紹介になります)
僕が演劇を勉強したくて上京して初めて出会った先生は、吉沢京夫(よしざわ たかお)先生という方です。当時、演劇研究所「吉沢演劇塾」というのを開催されていました。ロシアの演技システム(スタニスラフスキー・システムという舌を噛みそうな名前ですが)を研究されていた方です。
欧米、特にロシアでは、こういったシステムに従って、10年以上、徹底的に勉強させられます。向こうの演劇界はハードです。まず、演劇を勉強したい人は、高い倍率の厳しい試験をパスして国立の演劇大学に入ります。そして4年~6年、ほとんど演劇漬けの徹底した教育を受けます。毎年の試験を潜り抜けて、無事に卒業できても、その後いろいろな劇団に入り、今度はそこで劇団ごとの特別なトレーニングを受けることになります。そういう劇団が互いに競い合っているわけです。だから向こうの演劇レベルは半端なく高いです! 層も厚い!
で、吉沢京夫(よしざわ たかお)先生は、「日本に本当の文化を育てるためには、このシステムを勉強して、日本に根付かせなければならない」と頑張っておられました。当時、私は18歳。なんとなく、「ロシアって、スゴイんだ~」位にしか思いませんでした。そんな折、ロシア(当時はまだ、ソ連)から、演出家トフストノーゴフ率いる、レニングラードのボリショイ・ドラマ劇場が初来日。(サーカスのボリショイ劇場ではありません。念のため)。この舞台は本当に素晴らしいものでした! あの時の感動体験は今でも忘れられません…。
演目は、チェーホフの「ワーニャおじさん」、トルストイの「ある馬の物語」、ゴーリキー「小市民」、ゴーゴリ「検察官」。いずれも素晴らしい作品でした。何が素晴らしいかって、劇団の俳優全員が、名優なんです! 私たちは「なんだ、コレ!? 信じられない!」とビックリしながら舞台を見て、「いつか、こんな舞台を自分たちでもつくりたい…」とひそかに思いました。

このボリショイ・ドラマ劇場は、当時、ロシアだけでなく、ヨーロッパを代表する劇団として知られていましたが、日本には2回来日します。その後、レフ・ドージン率いるマールイ・ドラマ劇場、そして、オレグ・タバコフ率いるタバコフ劇団が来日を果たします。(いずれも、”超”が付く、世界的な活躍をする有名劇団です。ちなみに本国では有名すぎて、直接会うのは難しいです。)
あ、紹介が遅くなりました。トップの画像は、吉沢先生とレフ・ドージン氏です!
で、実は、この方々のほとんどが、私たちの劇団を訪れて下さっているんですね! なぜか、幸運にも、そういった方々を、身近に迎えながら、演劇の勉強ができました…!

この写真は、ドージン率いるマールイ・ドラマ劇場の方々です(中央が吉沢先生とドージン氏)

この写真は、トフストノーゴフ率いる、レニングラードのボリショイ・ドラマ劇場をお迎えしたとき、歓迎に、チェーホフの「プロポーズ」をお見せしたところ、向こうの俳優さんが即興で参加してくれたものです(右側が、トロフィーモフさんという素晴らしい名優です)

こちらは、オレグ・タバコフ氏(右側)。現在、モスクワ芸術座の芸術監督をされています。私たちのアトリエに来ていただき、特別にワークショップをやって頂きました。
さて、私たちの芸術監督レオニード・アニシモフ氏が、初めてこういった話を知ったとき、大変驚かれていました「えっ、そんな人たちが!?」
で、何故、今回この話を載せたかというと、「ロシア演劇への熱い思い…」というだけではありません。今回のロシア演劇祭公式招聘公演が決まったとき、アニシモフ氏に言われたのはこうです。「今度のロシア公演は、向こうのトップレベルの演劇人たちがあなたたちの舞台を楽しみにしています。あなたたちは、その期待に応えなければいけません!!」
そうです。今、私たちは「ロシアの国際演劇祭で公演をする!」という熱い思いと、「期待に応えなければいけない」というすごいプレッシャーの中で、毎日稽古に励んでいる訳です!





