すみません、数日前から、いきなり活動報告がエラー表示で送れなくなり、何回か再送し直しているんですが、もしうまく投稿できれば、以下の日付で投稿予定のものだった記事だと思って読んでください。
2016/06/16 21:52
(上の画像は、ロシアに演出家トフストノーゴフ氏を訪ねた時のものです)
今回は、私が一番衝撃を受けた、演出家トフストノーゴフ率いる、レニングラードのボリショイ・ドラマ劇場が初来日の時のお話を紹介させていただきます! いや、もうこれは、運命の出会い的な事件でした。
もちろん、彼らの舞台は、生き生きとしていて、素晴らしいものでした。なにせ彼らは、当時、ヨーロッパを代表する劇団として最も注目を浴びていましたから。 でも、彼らが来日したとき、実は東京渋谷の山手教会でデモンストレーションとして、各作品の一場面を抜粋で見せてくれたんですが…、これが実にすごかった。本当に身震いするほど素晴らしいものでした!
最初に、演出家トフストノーゴフによる短い講演があり、その後、彼らが持ってきた作品、チェーホフの「ワーニャおじさん」、トルストイの「ある馬の物語」、ゴーリキー「小市民」、ゴーゴリ「検察官」。-これらの作品を、ワン・シーンだけ抜粋で演じて見せてくれました。
(ゴーリキー「小市民」)
司会が、作品名を読み上げると、俳優たちが、普段着のまま、無造作に、素のままでステージに上がってきました。最初、僕たちは「何が始まるんだろう」位の気持ちで見ていました。だって、見たところ、誰一人、特別なスターという雰囲気もなく、本当に普通のおじさん、おばさん(と、きれいな女性もいました)ばかり…、ところが次の瞬間には、生の、きわめてドラマチックな場面に一瞬で変わってしまったのです。字幕も何もありません。ロシア語なんか一言も聞き取れません。でも、そこで確かに生身の人間がいて、彼らが何を考え、何をしたいのかはハッキリと分かりました。私たちは「え、何コレ!? 信じられない!」とビックリしながら舞台を見てました。
(ゴーゴリ「検察官」)
そして、数分ほどで抜粋シーンが終わると(私たちは「もっと続きを見せて~」と心の中で叫んでいましたが)、司会が次の作品を読み上げます。舞台を降りていく俳優もいましたが、何人かはそのまま舞台に残っています。そして次の瞬間…(以下、同文の体験が続きます)。
(チェーホフの「ワーニャおじさん」)
「こんなこと出来るの? 」一人の俳優が、次々に、各作品の色んな役を演じます。場面は、最も見どころのあるシーンばかり。それも、決まった動き、決まったセリフを見せるのでなく、ほとんど即興に近い雰囲気でした。
(トルストイの「ある馬の物語」、馬(!)を演じる名優レベジェフ)
そのリアリティ、迫真性、エネルギー、身体能力の高さ…。これがヨーロッパを代表する劇団の俳優たちなのか~! 素で演じられる、生の俳優の力に圧倒されながら、そして「いつか、こんな舞台を自分たちでもつくりたい…」とひそかに思いました。
(終わって、舞台を降りていくトフストノーゴフ氏と俳優たち)
そんな訳で、私たちは早速、翌年ロシアを訪れ、演出家トフストノーゴフと劇団の俳優の方々を訪ねてきました!(という訳で、表題の画像に戻ります)