本編のストーリー、ほんのちょっとだけ読めちゃいます!
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深夜2時。電気が消えたホストクラブは営業時間と打って変わって静かだ。
あの異次元のようなキラキラは作られたものだと改めて実感する。あの空間でさえ、こうして見ると現実と地続きの場所なんだ。
唯愛はじっと大和が出てくるのを待つ。LINEはブロックされたまま。
少し肌寒くなってきた。そういえば朝から雨が降ると天気予報で見た気がする。妊娠中の身体に負担をかけないよう、雨が降り出す前には家に帰りたいのが本音だ。
「大和さん、おつかれっしたー」
「おう、お疲れー」
やっと大和が出てきた。後輩たち数人といっしょだ。唯愛は気にせず大和に近づいていった。
「大和・・・」
「唯愛」
大和は驚いて立ち止まる。久しぶりに見た大和の姿に、どうしてだろう、涙があふれそうになる。
「あれ、大和さん彼女ですか?」
「なわけねーだろ、バーカ」
後輩たちは冷やかしながら通り過ぎていった。
「大和、LINE見たよね?」
唯愛は周囲を気にする余裕もなく切り出した。
「・・・で、何しに来たの?」
大和の表情から柔らかさは消え、鋭い目つきをしている。
「私、赤ちゃん・・・」
唯愛は上手く言葉を紡げずにいる。会ったらなんて言おう、ずっと考えていたことなのに、上手く口に出来ない。
「それ本当に俺の子なの?」
「だって・・・」
「お前風俗やってるじゃん、俺の子とか言われても信じられないし。客の子じゃないの?」
「だけど私たち付き合ってるよね?」
「は?」
大和の表情が一層険しくなった。
「なに言ってんの?お前はただの客。俺ら付き合ってたことなんて一度もねーよ」
予想以上に早く降り出した雨がぽつぽつと地面を叩く。
「うわっ、降ってきた。もう帰っていい?店も2度と来なくていいから、もう俺の前に顔見せんなよ」
大和はそう言うとマンションの方向に走り出した。追いかければよかったのかもしれない。だけど大和の言葉ひとつひとつが唯愛の心に突き刺さって、唯愛には大和を追いかけることも、その場から立ち去ることも出来なかった。
強さを増す雨に打たれながら、唯愛はその場に立ち尽くしていた。
唯愛ちゃん、雨に濡れるのはお腹の子によくないです。
これから唯愛はどうするのでしょうか?
気になる続きは本編にて!