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1年がかりで今年の2月にようやく完成した『京都 中京民商 商人・職人 生活史』。4月には出版記念トークイベントを開催することができました。
会場は、プロジェクトページに感想を寄せてくれた山本理恵さんのお店「京都ランドリーカフェ」さん。本に寄稿してくれた岡田知弘さん(京大名誉教授)と2人の「語り手」が、本の魅力や小規模事業者の役割について語り合いました。
人と人とのつながりの循環が見えてくる
岡田さんは「人と人とのつながりによって私たちの生活が支えられているのだということを再確認させてくれる本。統計だけでは絶対に見えてこない中小業者の姿が見えてくる」「私は地域内経済循環の大切さをずっと言ってきたが、ただお金が循環すればいいというものではない。馬場さんのインタビューでお客さんに『今日はもうこれ以上買わないほうがいいよ』と言うエピソードが出てくるが、たんなる金もうけじゃなく、人と人とのつながり、人と自然とのつながりがちゃんと循環していくことが大切」と紹介。
また、聞き取り、書き起こし、校正から本のデザイン、写真の撮影編集まで会員どうし力を合わせてつくりあげたことに触れて「大手出版社の本に負けないクオリティの高さがある。コストカットのために粗雑なつくりの本が増えているなかで、自分たちの手で丁寧につくるということの大切さを身をもって示したのはすごいこと」と語りました。
いろんな力を持った自営業者で連携して
続いて、「語り手」の木戸礼二さん(スタジオ梅や ヘアワークス)、吉岡富美子さん(カフェ&バー オフタイム)が、コロナ禍の下での営業に関するエピソードや完成した本への思いを語りました。
木戸さんは「インターネットを見ることが多くなって本というものとちょっと疎遠になっていたが、今回の本づくりを通じて、本でしか味わえないワクワクがあるんだと思った。一人ひとりの異なる人生が束ねられてまちが成り立っているんだということを感じたし、そういう本の中に自分が語ったことも載っているというのが嬉しい」と語りました。
吉岡さんは「本を読んでみて、みなさんそれぞれ信念をもって商売に取り組んできてたくましいなと思った。自営業者はバラバラにされて孤独になりがちだけど、いろんな力を持った人たちで連携し合っていけたらいいなと思う」と語りました。
新しい民商運動への突破口にも
その後、参加者も交えて、本の感想などを語り合いました。「通勤途上で何気なく利用してたお店の人が登場していて『へえー、こういうことを考えながらお店をやってたんだ』と思うことがあった」「お店の地図が載っているところもあるので、ぜひ訪ねてみたいと思う」などの感想が出されました。
最後に岡田さんが「物価高騰やインボイスなど営業や暮らしを守っていくことがますます厳しくなる時代。何が一番大切かと言えば、人と人との対話、交流、共感、笑いではないか。こうした本づくりの取り組みは新しい民商運動への突破口になるかも。ぜひ全国の民商にもこういう取り組みが広がっていって欲しい」とまとめました。