いよいよ8月!絵本も完成します。みなさま、様々に応援してくださり、本当にありがとうございました。最後になってしまいましたが、絵本の中身をすこしご紹介します。ポーランドで1939年むごたらしい戦争があった。たくさんの町や村がいちめんの焼け野原になった。妹は兄を妻は夫を戦争のためにうばわれた。家をこわされ炎におわれて 子どもたちは親をなくした。ポーランドで何なにがあったのか。知らせはなく手紙もなかった。けれども東の国々では奇妙なうわさがひろまった。雪のふるころに東の人たちは話していた。子どもばかりの十字軍がポーランドではじまったと。こんな書き出しで始まる叙事詩。名前のない子どもたちの描写が続きます。小さな隊長12歳になる少女ビロードのえりの服をきたユダヤ人の子ども作戦担当の二人の兄弟やせた灰色の服の子……あえて、リアルでない小さな切り絵で描かれる子どもたち。今日は自分が、明日はあの子が、十字軍の子どもになっているかもしれない——そんなことを思わせる、描写です。小ぶりの横長の絵本は、十字軍の子どもたちが進む方向に読み進む形になっています。子どもたちはどこへ向かって、どうなったのか……?ぜひ実物を手に取って、最後までご覧ください。最後まで、ご支援ありがとうございます!
絵本 の付いた活動報告
戦場の軍隊に従い、幌車を引きながら商売をする母とその家族の戯曲「胆っ玉おっ母とその子どもたち」。この公演の宣伝美術のデザインに携わったのは、はるか昔(2008年シアター1010 西川信廣演出・草笛光子主演)。そして今回「子どもの十字軍」の絵本。ブレヒトと再び出会いの機会をいただいた。戦争の中でもひとの暮らしはある。絶望の中でも今日という日をとにかく生きなくてはならない。大人であっても子どもであっても。思い出した!「肝っ玉」の中で軍の奇襲を知った娘のカトリンは、子どもたちを救おうと町に急を告げる太鼓を屋根の上で打ち鳴らし続けて射殺されるのだった。「子どもの十字軍」の子どもが川べりで叩く太鼓は、カトリンが残した太鼓だったのかもしれないね。「子どもの十字軍」(ベルトルト・ブレヒト作 はらだたけひで訳)の子どもたちには名前がない。隊長の子、作戦担当の子、お母さん役の11歳の少女、ビロードのえりの服を着たユダヤ人の子。役割りや年齢や着ている服の説明はあるけれど「その子の名前」はない。だから、かわいそうな○○ちゃんの話しではない。○○ちゃんだけの話しではない。誰でもが隊長になるかもしれない。わたしも隊長になるかもしれない。行くべき道がわからず、降りしきる雪の中で途方に暮れるかもしれない。https://twitter.com/kanekoyu/status/1679360229501448193?s=46&t=Lox3Aa_spB57vopttoXlPw