「まだあどけなさが残る中学生くらいの女の子が、大きなお腹を抱えていた。学校には通っていなかった。」
こんな報告が現地から届くたびに、10代の妊娠がその後の人生に与える影響の大きさを痛感してきました。
ありふれた「早すぎる妊娠」の向こうにあるもの
今から2年前、「取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会」をめざすPLASとして、まだ十分な支援が届いていない領域で課題解決に取り組もうと、現地調査やヒアリングをスタートしました。
そのひとつが、10代の女の子たちの妊娠でした。
ケニアから届くレポートには、女の子たちが早すぎる妊娠によって、人生の選択肢を狭められてしまう事例が綴られていました。
17歳のときに妊娠した。あのとき、避妊について知っていれば。
もっと学校に行きたかったけど、諦めた。
妊娠した自分を恥ずかしく思った。誰にも言えなかった。
まわりの目が気になって学校に行けなくなった。
相手と連絡が取れず、赤ちゃんの食事代をまかなうのが大変。
さらに、「9歳の子どもが妊娠した」という報告に、わたしたちは衝撃を受けました。
PLASが活動するホマベイ郡では、10代の子ども・若者の妊娠は33%にのぼります。年間11,867件。
この数字の1つ1つの向こうには、自分の思い描いた人生を選択できずに、悔しい思いや悲しい気持ちを抱えて生きてきた女の子たちがいるー。
そして、それは防げた未来でもあったのです。
女の子たちの未来を地域とともににつくるために
正しい性の知識や、自己決定の力となるライフスキル、相談できる身近な大人たち。
そうしたリソースにアクセスすることで、女の子たちの選択肢が広がるのであれば、そこに取り組む価値がある。
そう考えて、わたしたちは新たな挑戦として、10代の女の子たちの望まない妊娠を防ぐためのプロジェクトをスタートしました。
プロジェクトの詳細は代表・門田のエッセイをご覧ください。
このプロジェクトでは、一過性のプロジェクトではなく、持続可能な課題解決の手法となるように2つの軸を持っています。
パートナー型でのプロジェクト運営
1つは、現地の人たちによって運営される「パートナー団体」と協働でプロジェクト立案から実施、評価まで行います。
パートナー団体「ビアジェンコ」は、ケニアで20年以上も活動を続け、地域から信頼されるNGOです。
PLASの事業マネジメントのノウハウをパートナー団体と共有し、パートナー団体は現地の価値観や文化、法制度と照らしながら、双方の経験値や強みを活かしたプロジェクト運営をめざします。
子どもや若者が課題解決の主体となる
もう1つは、子どもや若者を「支援対象者」ではなく、ともに課題を解決する仲間としてとらえます。
現地調査では、自分たちを取り巻く性の課題について、「自分たちでアクションを起こしたい」と手を挙げた子ども・若者に多く出会いました。
たとえば、
歌を作ってマーチングしながら街を練り歩きたい
水泳大会を開いて周知したい
仲間を連れてきて研修したい
など、さまざまなアイディアが出てきました。
「弱い立場に置かれた子ども・若者たち」ではなく、地域の未来を担う、大切な仲間としてこのプロジェクトをつくります。
みなさんのご支援で、変えられる未来があります
現地から届くレポートのひとつに、妊娠によって進学を諦めた女の子のストーリーがありました。
読みすすめていくと、彼女は、パートナー団体のスタッフにこんなことを話していました。
「( 妊娠によって)自分にひどく失望した。でも、すべてが失われたわけじゃない。まだ、わたしは自分で未来をつくることができると信じてる」
たとえ今がどんなに辛い状況でも、だれもが未来を変える力を持っている―。
そして、だれよりも未来を信じているのは、子どもたち自身なのかもしれない。
アフリカの人たちから学んだPositive Living(前向きに生きる姿勢)を原動力に、わたしたちの新たなチャレンジをみなさんと一緒に実現できると嬉しいです。
アフリカの人たちから学んだPositive Living(前向きに生きる姿勢)を原動力に、わたしたちの新たなチャレンジをみなさんと一緒に実現できると嬉しいです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
現在、ケニアの女の子の早すぎる妊娠を防ぐための活動資金を募る、クラウドファンディングを実施しております。
応援、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。