今日は、この本の値段、つまりお金のお話です。
『モッくまくんの星のレッスン』は定価2880円(+ 税)。
図解77点フルカラー。240ページのB5判です。
皆さんはこの価格、「安い」と思うでしょうか?
それとも「子ども向けの本にしては、高すぎるんじゃない?」と感じるでしょうか。
実はこの本、初版が売り切れてもまだ利益はありません。
3版目を重版し、その半分が売れてやっと数十万円、わたしの手元に残るのですが…。
売れっ子のブロガーさんが、3刷重版すれば「結果を出した」と言われるこの時代。
業界の厳しさを考えると、ビジネスとしては大変に無謀なんですね。
利益を出したいなら単純に、定価をあげること。
実際、出版前の当初、書籍の値段は4,500円にする予定でした。
それでも結局、2,880円に決めたのは、出版の動機、最初の信念に立ち還ったからでした。
この物語を届けたい相手。
それが子ども達だったから。
当初わたしは、利益と信念の間で悩みました。
占星術講座や専門書の一般的な価格を知る人は、
「4,500円は高くない。むしろ安い」
「書籍でこれだけ理解できたなら、もう何万もする講座はいらなくなるね」
と言ってくれました。
その言葉が、どれほど励みになったかしれません。
セラピスト業を休止し、約一年間没頭したこの仕事が、プロの占星術家や、占星術を愛する人たちに理解してもらえたこと。
それは本当に、涙が出るほど光栄なことでした。
けれどわたしが最も届けたい相手は…やっぱり子ども達なのでした。
もう既に、占星術の素晴らしさを知っている人たちは、それこそ様々な魅力ある占星術講座を、自分で選択して受けることが出来る。
その行動ができる人たちです。
一方で、子ども達の持つ選択肢は、彼らに比べてまだ少ない。
数万円もする講座を受けることは出来ないし、難解な書籍を読むことも難しい。
何より、その道を選ぶきっかけがない。
「夢を持つことの美しさ」を描いた、子供向けのこの物語を、ふと友達のお家で見つける。
本屋さんで手に取ってみる。
そんな小さなきっかけから、占星術の素晴らしさを知ってもらえたら。
ちょっぴり高いけれど、お年玉やお小遣いを少しよけておいて買える値段。
どこまでいっても感覚でしかありませんが、4,500円という値段が、子どもには小さなハードルになるように感じたのです。
もしかしたらそれは、2,880円でも、大差無いのかもしれません。
でも、(手が届く)と思える価格に少しでも近づけたかった。その努力をギリギリまでしたかったんです。
豊かな星の知恵を、まだ知らない子ども達。
占星術やスピリチュアルとは無縁の、ごく普通の子ども達。
そんな彼らにこの本を届けたかった。
何故ならこの物語が彼らの勇気になることを、わたしは確信しているからです。
芽生えた小さなワクワクや、途方もないと思える夢。
それを打ち捨てることなく行動するための、小さなヒントが詰まっている。
傷ついたり、壁にぶつかったりした時に、ささやかな励ましとなって、彼らを助けてくれる。
そんな物語と信じているからです。
一方でわたしは、自己犠牲的な仕事を良しとしません。
自分の生活を切り詰めて働いて、それがどれほど立派な志であっても、果たしてそのエネルギーは周囲の人を幸せにするでしょうか。
商品を手にした人たちは、心から喜びを感じられるでしょうか。
だからこそ、悩みました。
そこでわたしは、自分に問うてみたんです。
「この作品を生み出したわたしに、あなたはいくら払ってあげたい?」
胸に手を当てて、尋ねてみました。
少し緊張しますが、正直に出てきた数字を申しますと、
1000万円
という金額でした。
一年かけて働いたわたしに、子ども達の未来を祈り、全身全霊で仕事をしたわたしに、渡してあげたい金額。
それが1000万円だった。
あくまで個人的な感覚です。でも、この感覚をわたし自身が大切にできないのなら、一体誰ができるでしょうか?
だからわたしは決意したんです。
子ども達の手に届く、ギリギリの価格に抑えること。
同時に、生み出したわたしに、1000万円という対価を払ってあげること。
この二つを叶えるためにできることは、たった一つ。
それは、2万部を売ることです。
わたしはきっとこの本を、2万人の子どもたちに届けます。
そして、彼らのお父さん、お母さんの、大切なお金を受け取って、わたし自身にちゃんと対価を払ってあげる。
売れっ子の占星術家さんが、1万部に到達するのも大変な時代。これはきっと、非現実的な目標なのでしょう。
それでも、そう心に誓うことで、わたしは自分の仕事に敬意を払うことができるし、そして多くの子ども達に届けるという、志を曲げないですむ。
胸を張って、この本のプロモーションに当たることができます。
だからどうか、皆さんの応援を頂きたいのです。
この物語を子ども達に届ける、最初の一歩を踏み出すために。
わたしに、あなたの力を少しだけ、貸して欲しいのです。
最後までお読み頂き、有難うございました。
牧みき