きっかけは不倫カップルだった。5年前、あるカップルからの依頼が舞い込んだ。「2人だけの秘密の結婚写真が欲しいんです。」このように男女からの依頼は過去にも幾度かあった。私はこれといった実績のない無名のフリーカメラマンだが、撮影者が女性だと、彼女が安心するという理由で選ばれることが多いきっと2人のヌードを撮影するんだろう。そう思っていた。撮影の舞台に選ばれたのは、川崎市の『川崎迎賓館』という、昭和のラブホの最高峰のようなホテルだった。ロココ調メゾネットの部屋には、お姫様が下りてきそうな美しくカーブした白い階段があり、見上げれば天使が描かれた天井画と、ベネチアングラスのシャンデリア。その名に相応しく、桁外れの豪華で息を飲むほど美しい内装の下、私はカップルの幸せそうな姿をシャッターに納め続けた。2人にはそれぞれ、家族がいた。明日の朝にはもう会えないかもしれない、儚い2人だった。撮影のために用意したウエディングドレス姿で「朝になったら別れなきゃいけないのが辛い。だからいつも朝陽が憎いのよ。」と微笑む可愛らしい彼女。男性は小太りで決してハンサムとは言えないが、穏やかで優しく、そこに惹かれたのだろう。その部屋はすべての電気を落としても、天井の窓から僅かだが自然光が入る部屋だった。私は「ここからはすべての照明を落として窓の光で撮影しませんか?」と提案した。それには理由がある。この2人を照らすのはいつも閉鎖的なホテルの人工光なのだ。陽の光だけで微笑む2人が見てみたい。純粋にそう思った。これで儚い2人を写真というタイムカプセルに永遠に閉じ込めることに成功した。正式なカップルではない。でも、それが一体何になる?ここでは全てが許される。この撮影がたとえ不貞の幇助だと言われても。それまでの私は「ラブホテル」はベッドと風呂があれば良いという考えだったが、これを機に考えが大きく変わった。どんなカップルも素敵な思い出を作れるようにと、知恵を絞って演出やデザインを形にした人たちがいたのだ。その方々に心からの敬意を表したいと思うようになった。何かと世間の風当たりが強いラブホテルだが、日本が誇る至極の文化なのだ。私にとってラブホテルはその方々と触れ合える「逢瀬の間」なのだ。そして、ラブホテルのデザインを記録する活動が始まった。対象は、「個性的なラブホテルの部屋」。続く-----------------------------------------------那部亜弓 Ayumi Nabe千葉県出身在住。2005年に親の死をきっかけに廃墟に目覚める。2018年頃から現役廃墟問わず、全国の個性的ラブホテルを追求する。カメラマンとして出張でカップルの撮影なども行なっている。Instagram毎日更新。トークイベント、写真展、ホテルの見学会などを実施閉店したラブホテルから回転ベッドを自宅に移設。絶滅危惧種である回転ベッドを保護し、現在、撮影スタジオにするべく、内装をDIYしている。_________出版物SILENTxRUINS知られざる日本遺産 ~ 日本統治時代のサハリン廃墟巡礼 ~モーテル☆エロチカ 消し忘れ廃墟ラブホテル選集全て廃墟本で八画出版_________Instagram https://www.instagram.com/ayuminabe/ブログ 愛欲空間 http://furuyado.blog.fc2.comTwitter @aisiyonE-mail aiyoku_kukan@ymail.ne.jp写真:那部亜弓さん
今度という今度は自分に絶望しました。大学生に入ってから私にとってラブホテルは大好きな場所でした。それなのに私は、私の守るべき矜持を守れませんでした。女子大生ラブホライターとして、ラブホテルの記事を書くためだけに、セックスもしないのに恋人をラブホテルに連れていくことばかりしていたのです。今、目の前に突如現れた昭和ラブホテルの入り口。きっとこれは、神様が私に用意をしてくれた反省部屋の扉。それを開くことに迷いはありませんでした。最近の私は、あれほど好きだったラブホテルに恋人と行かなくなってしまいました。無理矢理行っても、そこは以前のように非日常と背徳感を覚えるラブホテルではなく、ただのベッドがある少し装飾が多めな部屋に過ぎません。大人は、秘密をどこに隠すのでしょうか。誰にも見せない日記の中か、音楽の歌詞の中か、あるいはカメラの中でしょうか。私にとって、それはラブホテルでした。つまり、私にとってのラブホテルとは、本来、秘密基地のような場所だったのです。先日、私の友達にしては割とプラティカルな友達と、将来どんな家に住みたいかという話をしていていました。友達が「豪邸に住みたい!」と言い始め、それなら私は、「見た目はボロボロで、一見普通の狭い部屋の中にあるクローゼットの扉を開けたら実はすごい豪邸だったっていう家を作りたい。地下には一流のコックがいるとか」と言いました。続く------------------------------------------------------時田桜さんprofile1999年8月生まれ。2023年3月に東京大学教養学部卒業(学科総代)後、2023年4月から、東京大学大学院在学中。2019年の大学入学後から、恋愛や家族、性に関する話題を中心にエッセイブログを書き始める(https://note.com/sakurachan_kyo/n/n4ec9e4fc3f21)。2020年〜2021年には、ラブホテルの魅力を語った記事が、note主催のクリエイターコンテストで6000人以上の中から最優秀賞を受賞したのをきっかけに、ウェブメディアcakesで『ラブホはわたしのワンダーランド』を連載(https://note.com/sakurachan_kyo/n/n6e4c2d39f0ff)2021年に内野未唯らと渋谷のラブホテル街を盛り上げる活動を始める。2022年から、渋谷QWSにてラブホテルに関するプロジェクトに参加。2023年には、ラブホテルの弱電を扱う会社に支援してもらいながら、ラブホテルオーナーを目標に掲げてラブホテルの記事を書いている(https://note.com/sakurachan_kyo/n/n969bd1b47dc6)好きなものは平成ギャル、筑駒、山田詠美、レトロな服や小物、映像の世紀、数学Twitterhttps://twitter.com/amy_to_me
こんにちは!本日は、クラウドファンディングのリターン「密会電話プラン」についての解説です✩密会電話プランとは・・・・その名の通り、お忍びで電話をするプランです。具体的に胃は、60分ほどどんなテーマでもNGなしでお悩み相談に乗ります!!!特に、恋愛に関する相談は、ねえ。もう、みんな日常で鍛えられていますので。お任せください。共感してほしい、解決策の案が欲しいなど、ご要望もいただければそちらに合わせてお電話で真摯に全力でご対応します。もちろんプライバシーは全て守りますのでご安心ください。ぜひ、密会電話プランのご支援お待ちしております!✩ドキドキ!